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親の理不尽要求で学校運営阻害 教員疲弊、教育の質低下恐れも
2012/2/21
FUKUI NP http://www.fukuishimbun.co.jp/localnews/school_education/33195.html
近年、学校と家庭の関係が様変わりしている。福井県内でも保護者の理不尽な要求やクレームが年々増え、正常な学校運営を阻害する要因ともなっている。「モンスター・ペアレント」と呼ばれる保護者の存在がクローズアップされる中、支援チームを設置して対策に乗り出した教委もある。専門家は「こうした環境が続けば優秀な人材が離れ、教育の質が低下する」と警鐘を鳴らす。(小島茂生)
■朝、起こして
「子どもが朝起きない。先生が起こしに来てもらえないか」「塾があるのに宿題が多すぎる」「子どもが勉強が分からないと言っている。家に教えに来てほしい」「予定があるので、運動会の日程を変えてほしい」…。
県内のある小学校の男性教員は、この10年ほど「親からの非常識な要求に悩まされるようになった」と打ち明ける。
学校で子ども同士のもめ事はよくあるが、話し合いながら公正に解決していくのが教育の基本。ところが子どもの話を聞いた保護者は、正確な事実確認もせずに「いじめだ」とクレームをつけ、説明しても聞く耳を持たない。この教員は「おかしいと思うなら先生に言ってみなさいなどと、解決を子どもに委ねることが大切なのに」と嘆く。
福井市の小学校の女性教員がこれまで務めた学校には「大抵は“有名”な親がいた」。厳しいクレームで知られる保護者を持つ児童の弟妹が入学してくる年は「誰が担任になるかで戦々恐々としている」と明かす。どんな子どもと出会えるかは、教員にとって大きな関心事だが「どんな保護者と出会うかは、それ以上に関心が高い」という。
■多忙化に拍車
県教委は「大都市と比べ、福井では不条理な要求をしてくる保護者は少ない」とするが、福井市の元校長の男性は決して珍しい話ではないと言い切る。こうした保護者の存在が教員の多忙化に拍車を掛ける要因になっていると問題視する。
「深夜自宅に電話をかけてきて、1時間も2時間も切らない。授業前や放課後に学校にやってきて長時間教員を離さない。本来の仕事がストップするばかりか、精神的にも追い込まれる」
文部科学省が2006年度に40年ぶりに行った教員勤務実態調査によると、小学校で84・8%、中学校で83・8%の教員が「行うべき仕事が多すぎる」と感じ、中でも小中学校の7割以上が「保護者や地域住民への対応が増えた」と答えた。
元校長は、大多数の保護者は常識的としながらも「学校に一人でもこうした親がいると、担任や管理職はもちろん、相談担当や養護教諭、他の保護者にまで影響が及ぶ。学校全体に重くのしかかってくる」と明かす。
■支援チーム
「保護者の要求によっては、現場で対応するのが困難なものもある」として行政も対策に本腰を入れ始めた。福井市教委は08年度から学校問題解決支援チームを設置。メンバーには顧問弁護士も加わり、対応に苦慮する学校に助言を行う。
苦情対応に必要以上の時間をとられ、本来の業務に支障が出る場合に備えるほか、訴訟に発展することも想定している。実際に訴訟になったケースはないが、市教委を通して弁護士が学校に法的なアドバイスを行ったのは6件に上る。
福井大大学院教育学研究科の松木健一教職開発専攻長は「こうした状況が続けば教員は疲弊し、教育への情熱を失う。その結果、優秀な人材が離れ学校教育の質が低下する恐れがある」と危惧する。
保護者の高学歴化や権利意識の高まりに加え、地域社会の結びつきが薄れるにつれ「本来あるべき『地域』という緩衝材を飛び越え、直接学校に要求が届くようになっている」と背景を語る。
その上で「学校が責任を家庭に戻そうとすれば押し付け合いになる。保護者も学校も地域を一緒につくり上げ、子どもを育んでいくという意識に立つことが唯一の解決の手だてだ」と述べた。
●モンスターペアレントの実態(1)
●モンスターペアレントの実態(2)
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