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鳥たちの舞うとき-書評
高木仁三郎さんは生前、「小説を書きたい」と語っていた
この『鳥たちの舞うとき』が、ガン治療中の病床で、テープに収録され作品として遺された
高木氏は、もう一つのノーベル賞、ライト・ライブリフッド賞を授賞する
『鳥たちの舞うとき』の舞台は、利根川源流らしい山深い里、天楽谷。ダム建設をめぐる、謎めいた事件が次々と起こり、カラスをそそのかして、殺人を犯したとして、天楽谷の長である、80歳の平嘉平が逮捕され、裁判にかけられようとしていた
事件の裏には、政治的な利権争いも絡んでいるらしい
天楽谷事件と、ダム建設反対の裁判支援を頼まれたのが、主人公の草野浩平。高木さんを思わせる科学者だ
この裁判は、カラス、つまり野生動物が被告になりうる可能性を認める立場から、提訴されているという点で特異だった
原告が人間でなければならないか、という重要な提起がされている
小説の見せ場は、裁判所の法廷に、数百羽の鳥が入ってきて、傍聴するシーン
鳥たちは、天井の梁に陣取って、裁判長を見下ろし、冒頭陳述が終わると、一斉に声をあげ、羽をばたつかせた
裁判所の、前代未聞の慌てようときたら
天楽谷の長、嘉平の冒頭陳述。「動物には、それぞれの文化があり、それを守ろうとする意志がある。鳥に釈明のなかった、ダム工事計画は成立しない」
クライマックス――ダム建設反対を訴える、「鳥と人の共生のための、天楽谷コンサート」で、モーツアルトの『ジュピター』にのって、何十万羽の鳥が、自分たちの森を守るために舞う――場所はまさしく大利根源流、そして大空からの俯瞰(ふかん)
この作品の主題を深めるために、ぜひ読んでほしいのが、高木氏の代表作『いま自然をどうみるか』である
本書は、人間に火を与えた、智者の古代神話から、民衆の自然観、核テクノロジー、チェルノブイリまでが語られ、私たちの自然観が、どのように形づくられてきたかを、照らし出す
増補版で提起される、環境汚染などで、高まりつつある「市民の不安」を共有して、それに答える科学を実践すること。これは、宮澤賢治の精神につながるものだろう
高木氏は、「宮澤賢治学会・イーハトーブセンター」から、イーハトーブ賞を受けた
イーハトーブとは、農民の自立と解放を目指して、賢治が命名したものだが、そういう賢治の精神を、現代に実践的に継承する活動に対して贈られた
高木氏には大きな夢があった。「プルトニウム利用計画」に、ストップをかけることだ
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