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生活保護制度の改革を目的に進められている国と地方の協議に対し、受給者らが不満を募らせている。医療費の自己負担導入など、制度の縮小が議論されているのに、協議が非公開で、受給者が意見を述べる機会が一切設けられていないからだ。暮らしの実態を訴える受給者の声に耳を傾けた。 (稲田雅文)
「仕事がないのに生活保護を打ち切るとしたら、死ねっていうことですよね」と東京都内在住の四十代男性。二年半前から生活保護を受け、求職活動を続けている。今も、家族を養える仕事は見つからず、週一回、ハローワークで求人情報端末を操作する。
七年前、長女の誕生を機に岩手県から単身東京へ出て仕事を探した。派遣社員として職を転々とした後、車の整備工場に勤めていた二〇〇八年末、派遣切りに遭い、失業。日比谷公園の年越し派遣村に身を寄せ、生活保護を申請した。
厚生労働省によると、六月の有効求人倍率(季節調整値)は〇・六三倍で、雇用情勢は依然厳しい。協議では、失業した現役世代の受給者への対策が焦点の一つ。こうした世帯は〇八年のリーマン・ショック後から倍増。四月現在で二十四万三千五百世帯に上る。
受給者が最も懸念するのが、自立を促す狙いで生活保護に期限を設ける有期保護の導入だ。提案した地方側は「機械的に保護を打ち切る制度にしてほしいという趣旨ではない」と協議で火消しに努めたものの、受給者の不安は尽きない。
都内の三十代男性は統合失調症で就労が困難な境遇。十年以上前から生活保護を受け、検討されている医療費の一部自己負担導入に不安を感じている。
同じ病気の妻と二人暮らし。お互い一人で病院に行くのは難しく、通院の際は互いに付き添う。生活保護制度から「通院移送費」として出る一人分の交通費を除き、付き添い分は生活を切り詰めて捻出する。自己負担が導入されると、夫婦合わせて月十回以上ある通院によって生活費がさらに削られる。男性は「私たちにとっては大きな問題。なぜ弱い人を苦しめようとするのか」と訴える。
「わたしたちの声を聞いてください!」。八月十日、生活保護の受給者や支援者ら七十人が厚労省前の日比谷公園を起点に、声を上げながら東京駅近くまでデモ行進をした。
参加者は「有期保護では生存権は守れない」「自己負担の導入はいのちの値引き」などと書かれた看板を掲げてアピールした。
責任者を務めた東京都内の四十代男性も生活保護を受給する。昨年六月、職場での嫌がらせが原因でコンビニを退職。職を探しているときに体調を崩し、生活保護を申請した。今回の協議を知り、仲間とともにデモを準備した。「受給者の意見が反映されるべきだ」と話す。
http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2011082502000074.html
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