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http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2011051402000045.html
2011年5月14日
情報誌「月刊消費者」(四百六十円、日本消費者協会)が四月号で休刊した。国民生活センターの「月刊国民生活」(五百円)も来年の四月号を最後に廃刊。情報が氾濫するネット社会で、確かな暮らしの知恵を発信し続けてきた雑誌の廃刊を惜しむ声が上がる。 (境田未緒、石井友恵)
月刊消費者は一九六三(昭和三十八)年に創刊。商品の選び方や消費者トラブルなどを扱い、四月号の特集テーマ「貧困のゆくえ」では、貧困にまつわる高齢者や健康の問題を取り上げた。
創刊時からの目玉の一つが商品テスト。複数メーカーの冷蔵庫や掃除機など電化製品や日用品をテストし、公平な観点で利点や欠点を比較。一般読者のほかメーカーからも毎回、注目された。
雑誌の性格上、広告収入に頼らず、刊行を続けた。だが、経済産業省によるテストの補助金が、「国産品のレベルが上がり、商品格差が縮まった」などの理由で二〇〇四年度で停止。公共的な広告に限って掲載するなど増収策を講じたが収支が合わず、「経費削減も限界」と休刊に至った。公称部数は三万部。実売はかなり減っていた。
「情報は必要なはずなのに、お金を出して雑誌を買う人は少ない。情報の出し方の問題なのか、受け手の意識の問題なのか」。発行元の日本消費者協会教育企画部長、伊藤健一さんはこう話し、「消費者庁発足で消費者という言葉はクローズアップされたが、消費者教育の展開は鈍い」と残念がる。復刊を目指すが、ウェブ上での展開になる可能性が高い。
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月刊国民生活は〇八年、一般消費者向けの「たしかな目」(一九八一年創刊)、専門家向けの「国民生活」(七一年創刊)を廃刊・統合する形で創刊された。
たしかな目は商品テストや消費者問題を分かりやすく解説し、ピーク時には毎月四万一千部を販売。国民生活も五千部を発行した。廃刊前はそれぞれ一万四千部と三千部に落ち込んだ。月刊国民生活も〇九年度、約四千六百冊にとどまった。
業務改革の一環で廃刊が決定。センター企画調整課は「無償化して、情報提供する目的もある」として、ウェブ上での情報公開を検討する。
「相談員にとっては良い教科書だった」。月刊国民生活を十年以上、定期購読してきた全国消費生活相談員協会専務理事の池田澄子さん(61)は廃刊を残念がる。
「商品テストは消費者からの『メーカーのうたう効果が本当にあるのか』といった相談に対し、客観的なデータを提供するのに役立っていた」という。「ウェブの画面をその都度、印刷するより、必要な情報が集約された雑誌の方が体系的に勉強しやすかった」と情報誌の利点を強調した。
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関西消費者協会(大阪市)が発行する同様の雑誌「消費者情報」(五百円)は一九六八年創刊で三千部を発行。大阪府の委託事業として出発し、途中で買い上げ方式になった。
だが〇九年度以降は買い上げがゼロ。現在は「赤字すれすれ」という。音田昌子副理事長は「相談員や研究者などの固定客に支えられている。巧妙になる悪質商法に負けないためには知識が必要。厳しいが、頑張って続けたい」と話す。
相次ぐ休廃刊の背景について、消費者問題に詳しい名古屋経済大名誉教授の小木紀之さんは、「消費者運動が下火になったことと、活字離れが大きい」と分析。「悪質業者らにだまされないために、消費者は理論武装が大切だが、高齢者がウェブで情報を得るのは難しい。消費者庁は、消費者サイドに立った確かな情報を提供する方法を考える必要がある」と指摘する。
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