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(BBC NEWS ASIA-PACIFIC)
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12358440
2011年2月6日最終更新01:40 GMT
外国人の父親に、日本の親権がもたらす心痛
ローランド・バーク
BBCニュース、東京
毎年数万人の日本人が外国人と結婚する。多くは幸福だ−しかし、結婚が破綻すると、外国人の配偶者は子供の人生から切り離される結末となる場合がある。
医学出版社に勤めるアレックス・カーネイは、かつて家族で住んでいた家に今でも住んでいる。家具はほとんどないが、思い出にあふれた家だ。
東京近郊の高級住宅街の一つにある、4階建ての小さな家の壁には、娘たちの写真がいくつも貼ってある。
娘たちが好きだった犬やネズミのぬいぐるみが、ソファにもたれている−9歳と7歳の幼い娘たちを思い出させる品々だ。彼は娘たちに何ヶ月も会っていない。
結婚が破綻したとき、彼の日本人妻は、多くの家財道具と一緒に娘たちを連れていった。彼を娘たちに会わせることを、元妻は拒否している。
カーネイ氏は最初、警察を頼った。
しかし、妻が娘たちを誘拐したと彼が話したとき、警官は彼を笑った。
彼女たちの新しい家が道路を少し下がったところにあることが、彼を余計に苦しめている。
変化への圧力
「彼女たちは2階建てのアパートに住んでいて、」同氏は言う、「部屋の中でみんなが話しているのが聞こえる。私はその方に行き、バルコニーの下に立って、話し声を聞く。耐え難い思いになる。」
「最初の何ヶ月か、私は泣いた。泣きわめいた。時には30分も。私はほとんど眠れない。ふだんは夜の大部分、目を覚ましている。私は夢を見る。毎晩、娘たちの夢を見る。」
日本では通常、結婚が破綻すると、裁判所は一方の親に親権を与える。もう一方の親とのいかなる接触も、それを許すのはその親次第だ。
多くの別れたカップルは友好的な協定を結ぶが、片方の親が子供たちの人生から永久に切り離されることも珍しくない。
小泉純一郎元首相が離婚したとき、同氏は長男と次男の親権を得て、その後息子たちは母親に会っていない。
母親は当時妊娠6カ月だったが、小泉氏は自分の末子となる息子に会うことはなかった。
それでも、今日では、法律を変えるよう圧力がかかっている。
数週間ごとに、アレックス・カーネイ氏はレフト・ビハインド・ペアレンツ・ジャパン(Left-Behind Parents, Japan、日本語での団体名はないようですが、直訳すれば『日本の連れ去られた親の会』でしょうか:投稿者注)というグループが組織する街頭デモに参加している。
彼らは国会議員にロビー活動を行っており、最近の日曜日も、100人以上の人々が東京の中心部を行進した。
デモ行進をした人々の中には、日本人の親がたくさんいた。
法廷は拒否する
日本では毎年25万件の離婚が発生する。国際的な基準から見ると相対的に低いが、若い世代では劇的に増加している。
それでも、最も注目を集めるのは、外国人が当事者となる事例だ。
離婚をめぐる日本の慣行は外交問題となっている。なぜなら、日本は1980年の子供の奪取に関するハーグ条約に調印していないからだ。その結果、海外で離婚した日本人の親がその後子供を連れて帰国した場合、共同親権を命じる外国法廷の決定を拒否できるのだ。
イギリス大使館は子供に関わる38件の事例を抱えており、他の大使館はもっと多い。
「この件について12カ国の大使館が関わっている」と、東京駐在イギリス大使のデヴィッド・ウォーレン氏は語る。
「私たちは日本政府に対し、公式な申し入れを頻繁に行っている。こういった事例を解決するために、日本はもはや国際的な法的枠組みなしでやっていくことはできないと、私たちは日本政府に話している。」
虐待の関係
日本はハーグ条約の批准を検討している。
今月初めのある新聞報道によると、早ければ、春には何らかの発表があるかも知れない。
しかし、施行は長い道のりとなりがちだ。
家族の問題は主として家族で解決するべきだと期待されているが、それを、接触と子供の養育費について、国が強制力を持つ協定に変えることになるだろう。
また、この慣行のおかげで、海外で虐待を受けた関係から逃れようとする日本人をかくまうことが可能なのにと憂慮する人たちもいる。
大島明子氏は、家庭裁判所の調停員を務めてきた結婚カウンセラーだ。
「そのような帰国をした女性たちはそれをしない。なぜなら、彼女たちはそれを望まないからだ」と同氏は語る。
「彼女たちは、出口がそこにしかないと感じている。彼女たちは、子供は日本で成長するべきだと望んでいる。生まれ育った国ではだめで、そこには暴力を振るう父親がいて、子供の教育やいろいろなことを母親が思い通りにできない。自活のために職を得ることすらままならない。そこに問題がある。」
アレックス・カーネイ氏は家の近くの遊び場など、子供と一緒に来た場所を訪ね、長い時間をそこで過ごす。
彼は、自分はいい父親で、娘たちは自分になついていたと語る。
彼が娘たちに再会することがもしあるなら、彼はただ、母親が哀れみをかけてくれるのを望むに違いない。
・外国女性と結婚する日本男性の数は、外国男性と結婚する日本女性を上回る。欧米の女性と日本男性が結婚することは稀だが、欧米の男性と日本女性が結婚することはよくある。
・日本男性が外国人と結婚する場合、女性の出身国は、中国・フィリピン・韓国の順に多い傾向にある。日本女性が外国人と結婚する場合、男性の出身国は、韓国・米国・中国の順に多い傾向にある。
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(BBC NEWS ASIA-PACIFIC)
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12317895
2011年1月30日最終更新11:23 GMT
「家でも、職場でも、通りでも、私はいつも泣き出してしまう」
日本人と外国人の結婚が増加するのに伴い、子供の親権についての法律を諸外国に合わせるよう、日本は圧力を受けている。
親権は共同とするという決定にもかかわらず、海外で離婚した日本人親が子供を連れて帰国したという、数十の事例が報道されている。
日本は、子供の奪取に関するハーグ条約に調印しておらず、そのため、裁判所が送還させた子供は1人もいない。
東京から、BBCのローランド・バーク記者が報告する。
(下記のリンクをクリックし、BBCサイト上の動画をご覧ください。)
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-pacific-12317895
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(国際的な親による子の奪取に関する共同声明:在日フランス大使館)
http://www.ambafrance-jp.org/spip.php?article4150
国際的な親による子の奪取に関する共同声明
オーストラリア、ベルギー、カナダ、コロンビア、ドイツ、イタリア、ニュージーランドおよび米国の駐日大使、欧州連合代表部の臨時代理大使、在日スペイン大使館および英国大使館の次席代表、および在日フランス大使館の政務参事官は、本日、日本の法務大臣を訪問し、日本がかかわり、われわれの国民と日本国民双方に影響を及ぼす国際的な親による子の奪取の事例が増加していることへの懸念を表明し、日本が「1980年国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を批准するよう要望した。
(仮翻訳)
オーストラリア、ベルギー、カナダ、コロンビア、フランス、ドイツ、ハンガリー、イタリア、ニュージーランド、スペイン、英国、および米国の各国駐日大使、および欧州連合代表部代表による国際的な親による子の奪取に関する共同声明
2010年10月22日
オーストラリア、ベルギー、カナダ、コロンビア、ドイツ、イタリア、ニュージーランドおよび米国の駐日大使、欧州連合代表部の臨時代理大使、在日スペイン大使館および英国大使館の次席代表、および在日フランス大使館の政務参事官は、本日、日本の法務大臣を訪問し、日本がかかわり、われわれの国民と日本国民双方に影響を及ぼす国際的な親による子の奪取の事例が増加していることへの懸念を表明し、日本が「1980年国際的な子の奪取の民事面に関するハーグ条約」を批准するよう要望した。
ハーグ条約は、関係する者すべてにとって悲劇となり得る国境を越えた不法な連れ去り、または留め置きの悪影響から子供たちを守ることを目的としている。さらに同条約は、子供が不法に連れ去られた、あるいは留め置かれた時点で常居所があった国に、子供を速やかに戻す手続きを規定し、いずれの親に対しても子供と面会する権利の保護を保証している。しかし同条約は、常居所があった国に戻せば子供が身体的あるいは精神的な危害を受ける、または耐え難い状況に置かれる危険性が高いことが証明された場合には、子供を常居所があった国に戻すよう命令することを加盟国に義務付けてはいない。現在までに、本日共同で申し入れた12カ国を含む82カ国が、ハーグ条約に加盟している。
日本は、G7の中で唯一、ハーグ条約に加盟していない。現在、日本へ、あるいは日本から子供を連れ去られた親には子供を連れ戻す望みがほとんどなく、子供と面会し、親としての権利の行使し、責任を担うことが非常に難しくなっている。
柳田稔法務大臣との会談において、私たちは、国際的な親による子の奪取の犠牲者となってきた子供たちの福祉を最優先としていることを重ねて説明し、子供はどちらの親とも接触を保ちながら成長すべきであると強調した。また、東京で開催されたシンポジウムへの参加や、法務省と外務省との連携など、日本政府による前向きな対応に勇気づけられていることを伝えると同時に、子供を連れ去られた日本国籍の親にとっても利益となるハーグ条約を日本が批准するよう再度要望した。さらに、私たちは日本に対し、子供と引き離された親が、子供と接触を保ち、子供への訪問を可能にする暫定的措置を示し実施し、現在存在する子の奪取の事例解決に向けた枠組みの構築を求めた。
日本は、私たちそれぞれの国にとって大切な友人であり、またパートナーでもある。そして、私たちと多くの価値観を共有している。このことが、日本で起きている親による子の奪取のすべての事例について、直ちに解決策を講じるための基礎になると確信している。2009年10月に千葉法務大臣(当時)、2010年1月に岡田外務大臣(当時)と会談した時と同様、私たちは柳田法務大臣に対し、この重要な問題に関して、日本政府と引き続き緊密かつ積極的に協力していくと伝えた。
Service d’Information et de Communication (2010年10月22日)
(参考−この共同声明の英文:在日米国大使館)
http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20101022-71.html
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(民法(一部抜粋):電子政府の総合窓口 イーガブ)
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=2&H_NAME=&H_NAME_YOMI=%82%dd&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=M29HO089&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1
民法
(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)
(途中省略)
第四章 親権
第一節 総則
(親権者)
第八百十八条 成年に達しない子は、父母の親権に服する。
2 子が養子であるときは、養親の親権に服する。
3 親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他の一方が行う。
(離婚又は認知の場合の親権者)
第八百十九条 父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
第二節 親権の効力
(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
(居所の指定)
第八百二十一条 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
(以下省略)
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(投稿者より)
離婚した夫婦の親権についての、日本と世界の法制度の谷間で苦しむ、外国人親の実態をBBCが報告しています。関連した文章も添えて投稿いたします。誤訳があるかもしれません。ご容赦ください。
日本の伝統的な家族制度では、「個人は家に属する」ということでした。この思想を背景に、日本の戸籍制度が成立していると理解しています。
離婚とは、すなわち戸籍を分けることですから、子供は分かれた戸籍のいずれかに属さなければなりません。両方に属することはできないのです。そのため、日本では共同親権は認められない、ということだと考えています。
厳しい現実と向き合っておられる方もいらっしゃいますが、日本人として生まれた以上、これは仕方がありません。そうでなければ、日本の戸籍制度が崩れます。「戸籍制度は個人を家に縛る封建時代の悪弊だ」という批判は聞いていますが、日本国に戸籍を持つ人が日本人の定義である、ということも事実です。この戸籍制度が崩れれば、一人一人の日本人が日本人であることの法的な根拠が失われることになりかねません。
問題は、国際結婚が破綻した場合です。多くの母親が子供を連れて日本に帰ります。この場合、欧米の常識では、「元妻が子供を誘拐した」と考えられるようです。ヤフー・アンサーズなどでも、「日本人の親はなぜ子供を誘拐するの?」などという質問をたまに見ました。日本人である私は「誘拐」という言葉にギョッとするのですが、子供は生まれ育ったその国で生活すべきであり、例え離婚したとしても、両親は共同で子供の成長を見守るべきだ、と考えるのが欧米では一般的なのかも知れません。
しかし、上述の通り、日本の民法は共同親権を認めていません。母親が子供を連れて日本に帰れば、母親が単独で親権を行使することになります。
父親が日本に入国して、生まれ育ったその国に子供を連れ帰ろうとしたところ、日本の刑法で規定された誘拐罪で逮捕された、という事例が実際にありました。その逆もありました。子供を日本に連れ帰った母親が国際手配され、その後旅行で訪れた海外の空港で逮捕されたことがあったようです。
この問題についての国際的な圧力は強く、日本のメディアでも度々報道されます。民主党政権の一部には、これに応えようとする動きもあるようです。
しかし、個人的には共同親権には反対です。理由は先ほど述べさせていただいた通りです。これを認めれば、日本社会を支える制度の根幹が崩れます。厳しい意見かも知れませんが、世の中には個人の力ではどうにもならないこともあると思っています。
もし英語がおできになれば、上記のリンクから動画記事もご覧になってください。よくまとまったレポートです。
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