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「あなたたちは、企業と心中してはいけない」
http://www.asyura2.com/10/social8/msg/269.html
投稿者 gikou89 日時 2010 年 12 月 29 日 12:48:14: xbuVR8gI6Txyk
 

http://www.asahi.com/job/syuukatu/2012/hint/OSK201012240050.html

いま就活生の皆さんが日々、努力している「就活」は、どうして始まったのでしょうか。海外では余り見られないというこの仕組みを、フェミニストで社会学者、東大教授の上野千鶴子さんが、鋭く語ってくれました。

――いまの就活の問題点は、何にあるとお考えですか?

 はっきり言って、新卒一括採用という企業の慣行が諸悪の根源です。背後にあるのは終身雇用・年功序列給与制で、この場合、採用リスクが高いので、うかつな採用はできません。企業が学生を厳選しようとして就活は前倒しになり、長期化。学生が専門教育に入るところで就活が始まり、大学教育は非常に悪影響を受けています。いまや、かつての就職協定は反古と化し、学歴偏重とか指定校制度の批判すら聞かれない。大学進学率5割の時代、大学間隔差は拡がり、大学の銘柄による選別が公然と横行しています。

――書類に大学名を書かせない有名企業もありますが

 そんなの真っ赤なウソ。採用実績を見れば一目瞭然です。個性尊重というのもウソ。就活にベージュ色のスーツを着て行ったらアウトだし、茶髪もピアスもアウト。学生は3年生になるとルックスが変わります。いったん就活という場の空気を読んで没個性になり、画一主義に適応できることを証明する。個性も才能も、標準化の上のプラスアルファにすぎません。民主党は卒後3年間、新卒扱いにするとか言っていますがナンセンス。新卒一括採用の原則は変わりません。男女雇用機会均等法が制定されたとき、それまで門前払いにした女子にも確かに応募の門戸は開かれた。でも多くの企業で女子枠は実質上決まっています。制度と運用にはギャップがあるのです

――そもそも新卒一括採用は、どうして始まったのですか

 先ほど新卒一括採用の背後にあるのは終身雇用・年功序列給与制と言いましたが、実は、この日本型雇用制度は1920年代のアメリカ企業で生まれたのです。それが1950年代の日本企業に導入され、1960年代に、あっという間に定着。高度経済成長期に労使協調のもと利害が一致、80年代のバブルまでを支えたので「成功体験」があるのです。人手不足の時代に効率よく人材を集めるにはいい仕組みでしたが、バブル崩壊から20年もたち、終身雇用は実質崩壊しているのに、あの成功体験が忘れられず、旧体制が崩れない。このままでは日本は滅びますよ。実際、そごう、山一證券、長銀…巨大企業が次々沈没しました。うちの学生は大手企業に入る子が多いんですが「内定が出ました」と言って来ると、「おめでとう」の次に私は言うの。「その会社、キミの定年までもつかしら?」。

――新卒一括採用をやめ、通年採用にすれば、学生は専門の勉強に打ち込み、留学したり社会貢献に視野を広げたり個性を磨いたりできるのに

 それが難しい。なぜなら日本は中途採用市場が活性化しないからです。中途採用市場を活性化する唯一の道は、年齢給をやめ、職能給に変えることですが、その条件は、査定評価を能力と実績に応じて個人ベースにすること。すると、例えば50代の男性が中途採用で30代の上司の部下になることも受け入れなければならないし、無能な人は、すぐにクビを切られる。そういうことが日本の企業にはなじみにくい。日本の企業の秩序は男集団がつくり上げたもので、女や外国人を排除し、男の「同期」と「年齢」で固められていますから。だから有能な女は外資へ行くし、国費で育てた外国人留学生が日本を出る。日本では、転職はリスクですが、査定評価が個人ベースの海外では、転職しない人は、どこからも声がかからない無能な人と見られます。


――現代のアメリカは、転職でキャリアアップする社会ですね

 大学教育を見ても、人種・国籍・性別を問わず、優秀な学生を世界中からリクルートし、生活費込みの奨学金を保証して切磋琢磨させる。アメリカの企業は終身雇用なんて約束しません。その代わり、能力さえあれば、人種・国籍・性別を問わず採用して、チャンスを与えます。いまアメリカのIT産業を支えるコンピュータサイエンスの博士号取得者のうち、非アメリカ人の中でいちばん多いのがインド人、その次が中国人。アメリカは、どこで生まれた才能も受け入れるシステムを、グローバルマーケットを相手にした高等教育産業と連携して完成させましたから、成長しないわけがないです。

――日本の未来は相変わらず厳しそうで…最後に、就活生に生き残るヒントを

 閉塞感の中で、学生は安定志向に走り、旧態依然とした大組織に行きたがっていますが、目先だけ見て選ぶ、就活生にも問題があります。企業が一人の採用に何百万円もかけて新卒一括採用をするのは、実は運命共同体のメンバーの選別をやっているから。運命共同体に入るには忠誠心が要請されますから、忠誠心のない女は歓迎されません。しかし、古い体質を引きずる組織は、もはや泥舟かも知れません。あなたたちは、所属する組織と決して心中してはいけない。これは「基本のキ」。会社の延命より自分の延命を図れる、したたかで自立した社会人を目指すことです。


 うえの・ちづこ 1948年富山県生まれ。京都大学大学院社会学博士課程修了。平安女学院短大助教授、国際日本文化研究センター客員助教授、コロンビア大学客員教授等を経て、1993年東京大学文学部助教授(社会学)、1995年東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は女性学、ジェンダー研究。1994年『近代家族の成立と終焉』(岩波書店)でサントリー学芸賞を受賞。『おひとりさまの老後』(法研)など著書多数。近年は高齢者の介護問題研究でも知られる。新刊に『女ぎらい』(紀伊國屋書店)。


上野さんたちが主宰する女性をつなぐ総合情報サイト

「ウィメンズ アクション ネットワーク」

http://wan.or.jp/
 

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コメント
 
01. 2010年12月31日 05:22:24: ibwFfuuFfU
大学教育を見ても、人種・国籍・性別を問わず、優秀な学生を世界中からリクルートし、生活費込みの奨学金を保証して切磋琢磨させる。アメリカの企業は終身雇用なんて約束しません。その代わり、能力さえあれば、人種・国籍・性別を問わず採用して、チャンスを与えます。いまアメリカのIT産業を支えるコンピュータサイエンスの博士号取得者のうち、非アメリカ人の中でいちばん多いのがインド人、その次が中国人。アメリカは、どこで生まれた才能も受け入れるシステムを、グローバルマーケットを相手にした高等教育産業と連携して完成させましたから、成長しないわけがないです
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なるほど。そのおかげでゴールマンサックスとかベア・スターンズとかそういう立派な企業が何とかプライムとかいうもの凄い難しい、普通の人には分からないような凄い金融商品を作り出せたわけだ。よーく分かりました。


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