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毎年恒例、『24時間テレビ』の終了直後、9月1日に24時間ストライキを実施し、「24時間テレビの後に24時間ストかよ」と揶揄された、日本テレビ。9月30日正午から、今年3度目となる36時間ストライキが開始されている。
ストライキの原因は、今年3月に会社側が提示している昇給ベースの変更や残業代の時間単価の切り下げなどを柱とした、人事労務制度の改革案。組合側は、これを「賃金カットになる」として拒否し対立が続いているのである。
もっとも「賃金カット」に対して怒っているのは、組合に所属する「正社員」たち。誰しも給料が下がれば怒るのはもっともだが、彼らの生涯賃金は推定4億円と言われる。それが、今回の改革案では平均1億から1億5,000万円下がるのだという。だとしても、高額なことには変わりなく、にわかに怒りを共有することはできない。
そんなテレビ局で働いているのは正社員だけではない。制作会社から出向や派遣の形で机を並べて仕事しているスタッフは、なくてはならない存在だ。しかし、彼らの待遇は正社員に比べて格段に下がる。毎月の月給はいわずもがな。出張手当にしても日テレでは、正社員に1万円程度支給されるが、出向・派遣スタッフの場合は5,000円。中には「ウチは3,300円!」という酷い話も聞かれる(残りは所属している制作会社の懐に入るワケだ)。
特に報道局なら、やっている仕事はほとんど同じ、危険な場面に遭遇する確立だって差はないのに、待遇だけは格差だらけ。ゆえに「賃金カット」に怒る正社員に、もっとも憎悪を燃やしているのではないか?
そこで、スト開始の数時間前に話を聞いてみた。話してくれたのは、長年、日テレの報道局に出向しているベテラン記者のM氏。
M氏によれば、報道局では約6割の人間がストに参加する正社員。後は非組合員の社員と、制作会社から出向・派遣されている記者だという。約6割が職場を離脱してしまうのだから、複雑な対立構造があるかと思いきや、実態は、なんら対立も存在しないという。
「まず、非組合員は正社員だから組合の要求が通れば恩恵に預かることができるわけで、ストに文句は言わない。では我々、制作会社から来ている人間がどうかといえば"社員のやってることだから関係ないよ"という受け止め方。対立なんて生まれるはずもありません」
正社員と、派遣・出向者の関係はいわば、省庁におけるキャリアとノンキャリアの関係に似ているとM氏。
とは言え、ただでさえ高い給料を維持する目的で6割の人間が職場を放棄するわけだから、殺人的な忙しさになるはず。混乱などは起きたりしないのか。
「自分の場合は、報道局ですから突発的な事件や災害で寝る間もなく取材に駆け回るのは、よくあること。ストもそれと同じような感覚です。なにより、ストの日時は分かっているわけですから、数日前からそれに備えたシフトが組まれていますよ」
どうも、突発的な事件や災害に比べると、日時が分かっていて備えることができるからマシということらしい。
「影響があるとすれば"明日ストらしいから、今日は飲まずにまっすぐ帰宅しよう"ってことになったのくらいですね」
さらにM氏によればスト自体を批判するような声もないという。
「一応、ジャーナリズムの現場にいるわけですから、誰もがストライキが労働者の正当な権利の行使という意識を持っています。ですので、応援はしないまでもスト自体に悪い感情は持ちませんよ。むしろ、カタルシスを味わうことができているような気もします」
こんな境地に達するのも報道に携わる者の行動の原点である、非日常的な出来事にワクワクする野次馬的な感覚があるからだろうか。ちなみに、生放送番組のアナウンサーなどは正社員であってもスト参加から除外だという。いっそのこと「スト決行中」と銘打って、ずっと環境映像でも流してくれれば、我々視聴者も非日常的なワクワク感に浸って、むしろ視聴率がアップするのではなかろうか。
(取材・文=昼間たかし)
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