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全10回でお送りする、匿名ブロガー・ちきりんさんとフリーライター・赤木智弘さんの対談連載6回目。「自分は働きたいと思っているのに、企業が雇ってくれない」という若者も多いだろう。いわゆる“ロスジェネ世代”の雇用問題を解決するためには、どのようにすればいいのだろうか。この問題について、ちきりんさんと赤木さんが語り合った。
赤木智弘さんのプロフィール1975年8月生まれ、栃木県出身。長きにわたるアルバイト経験を経て、現在はフリーライターとして非正規労働者でも安心して生活できる社会を実現するために提言を続けている。
著書に『若者を見殺しにする国 私を戦争に向かわせるものは何か』(双風舎)、『「当たり前」をひっぱたく』(河出書房新社)がある。ブログ「深夜のシマネコ」、Twitter「@T_akagi」
労働は“資源”
フリーライターの赤木智弘さんちきりん:経済的な格差について、政権与党が自民党から民主党に変わって、少しは良くなったと思いますか?
赤木:どうでしょうか……。民主党に投票した多くの人は「昔のような日本にしてくれ!」といった思いがあったのではないでしょうか。例えば「経済成長すれば世の中は良くなる」と思っていたりする。絶対にそんなことはあり得ないんだけれども、それを望んでいる人が「民主党に投票した」という印象がありますね。「自民党のほうがいい」「いや民主党のほうがいい」という話ではなく、国民の多くが望んだことは高度経済成長時代の日本だったのではないでしょうか。
ちきりん:確かにそうかもしれません。
赤木:しかし日本経済が成長を遂げても、そこに労働力を吸収することはできません。これからは企業が高付加価値なモノを生み出そうとすればするほど、労働力は減らされていきます。なぜなら人間は機械やPCといったモノに置き換えられてしまうから。しかし日本人の多くは、仕事のない状況を肯定できなくなってしまった。もはや労働というのは“資源”であって、それが枯渇しつつある状況であるのに。
これからは枯渇しつつある資源をいかに平等に分けていくかが大切なのではないでしょうか。「資源を平等に」というのは、労働時間の短縮だったりします。しかし今の正社員に「時短がいいですか?」「サービス残業はありますが、安定した労働がいいですか?」と聞くと、ほとんどの人は後者を選ぶでしょう。
ちきりん:でしょうね。
赤木:正社員は不安を抱えているので、決して時短を選びません。なので、労働時間が減っても「豊かな生活を送ることができる」といった話をしていかないといけない。
ちきりん:団塊世代やバブル世代の正社員の人たちが、「得られるお金は少なくなっても、短い時間しか働かない生活を選ぶ」といった考え方に変わらないといけない。そして残りの仕事を他人に分け与える、という感覚を持たない限り「ダメ」だといことですね。
赤木:そうです。
雇用を引っぺがすことが、一番効果がある
匿名ブロガーのちきりんさんちきりん:人間、35歳くらいまではいろんな意味で自由があります。今は結婚する年齢も遅くなっているし、20代で住宅ローンを抱える人も少ない。しかし40歳を超えると、多くの人はさまざまなモノを抱え込んでしまっている。その人たちが考えを変えるということは、相当難しそうですよね。
赤木:しかしそれは、自分たちが勝手に抱え込んだだけのこと。家を持って当たり前、結婚して当たり前、子どもを生んで当たり前といった観念があって、それを選んだのは自分自身。住宅ローンで50年返済ができる商品がありますが、わたしからすれば「そこまでして家がほしいのか」と思ってしまう(笑)。
ちきりん:そうですね、わたしもなんであんなに無理して家がほしいのか理解できません(笑)。
赤木:けれども、彼らは家が欲しいんですよ。なぜなら家を持ち、家族を養うことが自尊心につながるから。そして景気が悪くなったり、給与が減らされると「家族が家を失えばかわいそうだ。だから労働時間を減らすことはできない」といった話になる。
就職氷河期が起きたのは、リストラをしなければいけないときに「年配の人たちのクビを切るのはかわいそうだ」といった理屈で、若者を採用しなかったから。その結果、今は手遅れ状態になってしまった。彼らの責任を追及しなければいけないのに、いまだ一度もされていないことが問題ですね。
ちきりん:実際問題、それだけのモノを背負っている人たちは、ちょっとくらい追及されても絶対に手放しませんよ。なのでそこの部分を直したいのであれば、彼らから財産を引き離すくらいのことをしないといけませんね。
赤木:彼らを説得するのは、無理だと思う。なので雇用を引っぺがすことが、一番効果があると思いますね。今の公務員の人件費を減らそうとして、新卒採用を半減するといった動きが出ています。しかしそんなことをするよりも、エライ人たちを3分の1くらいクビにすれば新卒を雇えるはず。
ちきりん:残業代を廃止するだけでも、残業代分で他の人を雇えるかもしれませんね
労働を引っぺがす方法
赤木:労働を資源というように考えれば、サービス残業は資源のムダ遣い。働いている側にも問題があって、少しでも労働時間を減らしていく必要があるでしょう。
労働時間を無理矢理減らすということは、彼らのお金を奪うことになりますが、その部分は国の社会保障によってある程度下支えすればいい。そして彼らが早く帰宅するようになれば、労働以外で社会性を得るような行動がでてくるでしょう。例えば海外だと休日に教会へ行ったりしている。そうした行動はお金にはならないかもしれませんが、社会にとって必要であったりする。
そうしたものを日本人も取り始めればいいのではないでしょうか。つまり個人の自尊心が満たされるような活動をすれば、彼らの不満もある程度解消されるかもしれません。
ちきりん:労働さえ引っぺがせば、彼らは自分の生きがいを必死に見つけようとすると思う。なので、何もしなくても趣味やボランティアを始めるはず。一番難しいのは、労働を引っぺがす方法ではないでしょうか?
赤木:そうですね。そのためには、まず労働基準法を厳罰化しなければいけません。今の労働基準法は適用が甘すぎるし、運用もほとんどされていません。例えば企業が労働基準法に反すれば、禁固刑にすればいい。
ちきりん:社長を懲役にすることですね。
赤木:そのくらいのことをやっていかないと、企業は労働基準法を遵守しない。「従業員を働かせ過ぎることによって、逮捕されるかもしれない」ということになれば、もう少し慎重になるのではないか。
ちきりん:社長や管理職が労働基準法に反することをすれば、刑務所に入れられるかもしれない。そうなれば彼らの行動は変わるでしょうね。サービス残業の禁止、偽装請負の禁止、派遣労働の雇用契約期間のごまかしの禁止などが考えられますね。
赤木:また労働基準法の中だけにとどまらず、経営者が労働者を定年まで雇い続けることの不自然さを考えるべきでしょうね。
ちきりん:解雇規制を緩和すべきという話ですか?
赤木:そうです。
ちきりん:今の労働基準法を遵守するというよりも、積極的に労働慣行を変えた方がいいというわけですね。
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