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★誘惑してその気にさせて
昨年、政界を引退した海部俊樹元首相(79)が17日に発表した回顧録で、かつての盟友だった民主党の小沢一郎元代表(68)に強烈な“紙ビンタ”を見舞った。「壊し屋」の異名を取る小沢氏の政治手法を「どうしようもない性癖」「誘惑してその気にさせて、壊す」と猛批判したのだ。疑惑を呼んだ政治資金集めについても「強引」などとバッサリ。永田町激震必至の中身とは−。
回顧録のタイトルは『政治とカネ』。発売元である新潮社の担当編集者は「企画が上がったのは今年1月。海部先生が政界を引退されたのを機に回顧録出版をオファーしました」という。
海部氏は1931年、愛知県出身。早稲田大法学部を卒業後、60年に衆議院議員に初当選した。
内閣官房副長官、文相などを経て、89年に首相に就任。その後、自社連立に反発して自民党を離党し、新進党党首、自由党最高顧問を歴任した後に自民党に復党。しかし、自民党が歴史的大敗を喫した昨年8月の衆院総選挙で落選し、政界を引退した。
著書の中で海部氏は「世の中には『墓場まで持っていく話』というのがあるが、私は、隠し立てすることなくありのままの出来事を書いていく」と宣言。刺激的な書名通りの、実にぶっちゃけた内容がつづられている。
その中で最大の注目は、かつての仲間である小沢氏の人間性について詳細に論評したくだり。海部氏は、自民党、新進党、自由党で3度にわたって組んだ感想として「あの『壊し屋』に関わるとほとほと疲れる」とぼやき、何度も離合集散を繰り返した小沢氏の政治手法を「人の陣地に手を入れて、誘惑してその気にさせて、壊す。あの性癖は、死ぬまで治らないのではないか」と書いている。
さらに、89年8月に発足した第1次海部内閣で、幹事長だった小沢氏から「担ぐ御輿は、軽くてパーなヤツが一番いい」と新聞紙上で揶揄(やゆ)されたことを小沢氏に問いつめると、「言った憶えは断じてない」とすごみ、書いた記者を呼びつけたエピソードも明かした。
新進党解党後、無所属になっていた海部氏を自由党に迎え入れる際には、「しおらしく」頭を下げたこともあったという小沢氏だが、その「傍若無人」ぶりに幾度も振り回された海部氏は、「腹の底から信頼し合う関係を築こうとは思わなかった」「誰にとっても心の通い路を造れない相手」と断じている。
このほか、回顧録では55年体制下での自民党の金権政治の内幕も暴露。在任時はクリーンなイメージが売り物だった海部氏だが、河本派(当時)に所属していたころは、自民党総裁選で「各派に金を運んだ」と懺悔。「立たぬ札束は端金」「300万円積んではじめて(札束が)立った」「デパートの紙袋であれば、1袋に入るのは、せいぜい2億円まで」などと大金が飛び交った時代を振り返っている。現在の民主党政権の外交における無策ぶりや、子ども手当や高速道路無料化などのご都合主義的政策については、「大いなる危惧を抱いている」。そうした民主党の体質を生んだ元凶として小沢氏の存在を挙げ、「日本社会全体を傷つけている罪は海より深い」と非難している。
海部氏からの批判について小沢氏の見解を聞こうと事務所に取材を申し込んだが、期限までに回答はなかった。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101120/plt1011201236002-n1.htm
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