http://www.asyura2.com/10/senkyo99/msg/731.html
Tweet |
菅よ、そんなに小沢が怖いのか!(岩見隆夫=政治ジャーナリスト)
2010年11月18日 09時00分
「一兵卒で…」を繰り返しながら、政界、民主党を混乱させる小沢一郎氏。そんな小沢氏を菅直人総理は切るに切れない…
評判が極端に悪い菅直人首相も、気がきいた発言をしたこともある。六月二日、鳩山由紀夫首相(当時)が〈政治とカネ〉等の責任をとって小沢一郎幹事長を道連れに電撃辞任した時、菅は小沢に対して、
「しばらく静かにしていたほうがいい。それがご自分のため、民主党のため、国のためにもなる」
と相当思い切った注文をつけた。政治家にとって、静かに、とは活動停止を意味している。その先のことはいっていないが、当然引退が想定されるし、菅も小沢は年貢の納め時だ、と秘かに期待したに違いない。
■日本漂流の元凶
私もまったく同感だった。私はジャーナリストだから、菅のように発言に政治配慮を加える必要はない。六月五日付の政治コラムで
〈小沢は身を引くべきだ〉
と政界引退をすすめた。この約二十年間、小沢の権力闘争至上主義、そのための選挙至上主義のために、日本の政治はかき回され、漂流が続いたのである。政治の不安定は経済を疲弊させ、国際的地位を下落させた。日米関係もおかしくなっている。〈小沢劇場〉はもう幕を下ろさないと、とんでもないことになる、という危機意識からだった。
しかし、それから四カ月余、情けないことに、小沢の権力闘争は止むことがない。当初は、
「一兵卒になる」
と殊勝なことを漏らしていたが、一兵卒どころか、ポスト鳩山の代表選では反菅で動き、菅新代表が党・内閣人事で〈脱小沢〉の布陣を敷くとがぜん反発を強め、九月の代表選に向けた小沢勢力の結集に動いた。
菅にも重大な失態があった。不用意な消費税発言で世論のひんしゅくを買い、夏の参院選に惨敗したのだ。民主党内は早々に菅に失望した。
「小沢の腕力に頼らなければ、民主党に展望はない」
という空気が次第に強まり、小沢擁立論を後押しすることになる。
静かにするどころか、小沢は代表選出馬を決意した。
「政治生活四十年の集大成だ」
とアピールし、小沢政権実現に向けて突っ走り出したのだ。刑事被告人になるぐらいなら、首相の座に逃げ込んで、裁判をまぬがれたいという思惑もあったに違いない。当時、政界の有力者は、
「小沢はカネの問題で罪の意識はみじんもないのだ。おれが総理大臣をやって何が悪い、とうそぶいている。もう、仕方がない。代表選に出れば、小沢のことだから勝つだろう。やらせるしかない。しかし、(政権は)もって三カ月だろう。あとはガラガラポン(政界再編)だな」
と私に漏らした。小沢に最後の花火を上げさせて、一気に再編、というテもあるのかもしれないが、危険過ぎる賭けのように私には思えた。
菅の力量をあなどっていた小沢は、代表選で勝てると踏んでいただろう。党内力学だけで見れば、そうに違いなかった。首相辞任の時に政界引退を表明していた鳩山まで小沢支持に回ったのだから、〈小沢首相〉の誕生か、と思われたのも無理もない。
■「老害ですな…」
だが、小沢は負けた。全国三百の衆院小選挙区で実施された党員・サポーター投票で菅が圧勝し、勝敗を分けた。〈小沢は首相にふさわしくない〉という八割以上の世論に影響されたのだった。小沢はついに世論に屈したのである。
これでようやくけじめがついた、〈小沢の時代〉は幕を閉じたのだ、と私は見て、
〈権力闘争はもういい〉
という政治コラムを書いた。引退は当然織り込みずみだった。
ところが、小沢はまたしても、
「一兵卒で……」
を繰り返し、そのうちに、
「天命が下れば、また頑張りたい」
等と戦意を見せはじめた。私は唖然とした。晩節を汚す、等という言葉は小沢の中にない。もはや、手のつけようがない。すでに六十八歳の小沢が、見境なく走り続ける。かつての小沢側近が、
「まあ、老害ですな」
と悲しい目をして私につぶやいたが、そういうことだろう。
十月四日、東京第五検察審査会が小沢の政治資金疑惑について、予想通り二回目の〈起訴相当〉の議決を発表し、強制起訴が確定しても、小沢は、
「誠に残念だ。裁判の場で無実であることが必ず明らかになるものと確信している」
とコメントし、後日、離党も引退も考えていないことを明らかにした。師匠の田中角栄元首相の運命と同様、法廷闘争を覚悟したのかと思ったら、こんどは検察審の議決を無効とする行政訴訟を起こしてみたり、手段を選ばない構えだ。小沢裁判は始まるだろうが、一方で権力闘争のさらなる続行も決意しているらしい。
なぜなら、検察審の議決が発表された日、小沢は側近議員に、
「これは権力闘争だ」
といって悔し涙を流した、と報じられたからだ。小沢は闘争の相手に誰を見ているのだろうか。検察権力か、世論・メディアか、反小沢の政治勢力か、あるいは小沢復権を阻もうとするあらゆるものと敵対し、戦い抜くということなのか。
なにしろ、代表選で二百人の民主党衆参議員が小沢に投票した(菅支持は二百六人)という実績がある。これを足場に、最近は小沢、鳩山両グループが反主流の大勢力に結集し、菅政権追い落としに動く気配を見せている。性懲りもない〈小沢首相〉への再挑戦と見ていいだろう。
■それでも怯える菅首相
それにしても、不甲斐ないのは菅首相と民主党執行部である。菅政権を脅かす主敵は、野党よりも小沢復権勢力と見ているのだろうが、それなら野党勢力と結託してでも小沢を排除すればいいのだ。ところが、野党が足並み揃えて、小沢の国会証人喚問を求めても、民主党は煮えきらない。菅は、
「なぜ小沢をかばうのか」
と野党に追及されて、
「小沢氏は功績のあった仲間だ」
等と間の抜けた答弁をする始末なのだ。自分の首を狙っている小沢を仲間扱いする菅の神経は、到底理解できない。
小沢はすでに国民が見放している。かりに裁判で無罪になったとしても、灰色の小沢が表舞台によみがえることはない。菅首相よ、そんな小沢がそれほど怖いのか。(文中敬称略)
リベラルタイム12月号 特集「政界」を読む!
http://opinion.infoseek.co.jp/article/1103
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
- 「rui、機密費を貰った御用評論家は「説明責任」を果たすべきだ」(岩見よ、そんなに小沢の記者クラブ開放が恐いのか!です) 小沢内閣待望論 2010/11/18 15:11:06
(0)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK99掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。