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何様? 検事総長 税金で「麻布に800坪の大豪邸」暮らし
これこそ仕分けしたら
永田町ディープスロート
2010年11月17日(水) 週刊現代
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何様? 検事総長 税金で「麻布に800坪の大豪邸」暮らし
これこそ仕分けしたら
永田町ディープスロート
2010年11月17日(水) 週刊現代
日産・ゴーン社長らが住む超高級マンションのハス向かいに、その邸宅はある。800坪の敷地に、美しい日本庭園と、広壮な平屋建て。まるで高級料亭だ。これほど贅沢な住居が、なぜ必要なのか。
11月はじめのある日、朝9時ちょうど。東京・元麻布の、各国大使館が密集する超高級住宅地の一軒に、黒塗りの「トヨタ・ロイヤルサルーン」が吸い込まれた。
高い塀、うっそうとした木々に囲まれ建物の様子を外部から窺うことさえ難しいが、このエリアには珍しい広壮な平屋建ての一軒家である。
高さ2mほどもある巨大な門扉は黒塗りを迎えるために一瞬だけ左側に開き、すぐさま閉じられた。車が出てきたのは、わずか2分後である。後部座席には、現在の検事総長・大林宏氏(63歳)の姿があった。
運転手と、秘書の2人に「送迎」され、霞が関の最高検察庁に出勤する姿である。
「検事総長には、専用の住宅と車、秘書官が用意されています。住宅前には24時間駐在可能なポリスボックスが置かれ、パトカーによる巡回も定期的に行われています。大臣クラスのVIP待遇と言えるでしょうね」(全国紙司法担当記者)
エリート組織から一転、スキャンダルの泥沼に嵌り込んだ検察---。
逮捕・起訴された大坪弘道・前大阪地検特捜部長らは二度にわたって保釈申請したが、却下がつづいている。獄中で検察の描いた「ストーリー捜査」に抵抗を続けているため、保釈が認められないのである。
このままいけば、検事vs.元検事の内輪同士の醜悪な争いが、法廷で白日のもとに曝されることになる。検察組織にとってはまさに生きるか死ぬかの存亡の危機にある。
検察組織のトップに立つ大林総長は、事件発覚から1ヵ月以上が経った10月21日になって、ようやくメディアの矢面に立った。強張った表情のまま、
「国民の皆様に深くお詫び申し上げたいと思います」
と頭を下げたが、職を辞するという発言はいっさいなかった。最近、大林総長は関係者に、
「事件の真相解明と、検察の組織改革を自分の手でやりたい」
と話しているという。一部で「総長の辞任は必至」と報じられたが、結局自ら辞める気はまったくないようだ。
この大林総長が居を構えるのが、冒頭で紹介した元麻布の超一等地にある大豪邸である。
敷地面積2688u(約815坪)。今年の公示地価によるとこの周辺の住宅地は1uあたり173万円だから、土地だけで少なくとも46億円。実勢価格は、坪単価700万〜800万円と言われる。不動産不況のいまでさえ、60億円を超える価値のある土地なのである。
この土地は昭和25年に大蔵省が取得したもので、その後、法務省に名義人が移管されている。
敷地内には奥に長い平屋が建ち、前面に石造りと芝生の二つの庭園があるという。
周囲を高い塀と樹木に覆われているため、内部に入らないとこの庭園を観賞することはできない。まるで高級料亭のようなつくりなのである。
近隣には有名写真家が住み、大使館関係者や、インターナショナルスクールに通う外国人子弟らが行き来する。この邸宅が、事実上の「検事総長公邸」だということを知る人は近隣にも少ない。
表の表札には「大林」と大書され、検察とか、検事総長という言葉はどこにもない。玄関脇のポリスボックスが物々しい雰囲気を醸し出してはいるが、パッと見には、一般の住宅と見えないこともない。
法務省ではこの土地を「公安関係施設」とし、セキュリティ上の必要性のため、所在地を公にしていないというが、わざわざ800坪もある大豪邸に住まなくても、マンションなどのほうがよほどセキュリティ上のメリットがあるのではないか。
現に、大豪邸の裏側に回ると、高い壁の向こうに家の屋根部分が見えるが、警備員の姿はなかった。
この大豪邸について、法務省刑事局総務課施設企画係はこう話す。
「検事総長と各高検検事長の宿舎の使用料は、法律や省令によって算出方法が決められています。それによると、おおよそ3万5000円から13万2000円となります。一番高いものが検事総長の宿舎です」
つまりはこの815坪の大豪邸は家賃13万2000円ということ。普通に借りたら、月400万円は下らないはずだが。
全国紙のベテラン司法担当記者は、かつてこの検事総長用の豪邸に出入りしたことがあるという。
「内部にお手伝いさんはおらず、家事は基本的に奥さんがやっていました。建物は天井が高いのですが、古くて使い勝手が悪く、機能的とは言えないと思います。料理人もいませんが、法務省の一番上の階にレストランがあり、そこの料理を運んでもらっているという話は聞いたことがあります。
また、1週間に一度のペースで最高検のスタッフと昼食会をすると言っていました。検事総長によっては捜査関係書類を持ち帰り、土日に目を通している人もいました。最近は、そこまで細かく事実関係を見てはいないんじゃないですかね」
ちなみに最高裁判所長官公邸は東京・若松町にあり、敷地面積は3837u(1163坪)。昭和3年に建てられた981uの木造2階建てである。
検事総長の豪邸に比べると、広さでは上回っているが、建っている場所の格では検事総長のほうがはるかに上。資産価値では、検事総長の豪邸のほうが上回っているだろう。最高裁長官公邸は老朽化のため、昨年修繕と移築の検討が行われた。
検察幹部で、こうした豪邸に住んでいるのは、検事総長だけではない。東京高検検事長も目黒区内の高級住宅街に約200坪の専用住宅があり、送迎の車がつく。仙台、広島など各地の8つの高検でも、一等地に検事長専用住宅が用意されている。
「検事長が交代されるたびに、ご挨拶に来られます。警察は常駐していませんが、定期的にパトカーが回っていますね。出勤は朝、専用車が迎えに来ます」(目黒の高検検事長用住宅近くの住人)
検事総長らの「特権」は、これだけではない。
「東京の場合、一般の職員が使うエレベーターとは別に、検察庁舎内に検事総長専用エレベーター、東京高検検事長専用エレベーターがあります。秘書官が同乗することはありますが、一般の職員は使えません」(元最高検検事・土本武司氏)
さらに、検事たちは受け取る報酬の額も破格そのものだ。
法務省がある国会議員に対して開示した資料によると、一般省庁の官僚のなかで給与額が最高なのは事務次官で、年収約2310万円。現在、この額を受け取っている次官が18人いる。
ところが検事になると、各地検トップの検事正、高検次席がこれと同ランクとなり、59人が同額を受け取っている。
高検検事長、検事総長となるとこれをさらに上回り、検事総長は約2900万円に及ぶ。これは国務大臣と同ランクである。政治家以外の公務員で、これ以上の報酬を受け取っているのは、ほかに最高裁長官(約4000万円)がいるだけだ。
ある検事OBはこう話す。
「同僚で、報酬額について文句を言っているヤツはいませんでしたね。検事には超過勤務手当などはつかないけど、裁判官と同等の報酬をもらっているし、官舎もあるから家賃もいらない。
ボクはいま弁護士として開業しているけど、家賃や事務員の給与などを支出しなければいけない。検事は、そうした費用はいっさい必要ない。全部国が持ってくれるわけですから。実質的な身入りは、検事時代のほうが多かったくらいですよ。検事がそれだけの報酬を受け取るのは、カネに目がくらんで不正を行わないように、という意味もあるのではないでしょうか」
一般には知られていない「役得」もある。
「部長クラスの検事になると、『海外視察』に1ヵ月くらい出かける人がいます。いちおう、『法務検察の事情調査』などもっともらしい名目はありますが、実態は単なる視察です。検事正などの幹部になる前、むしろ若いうちに行くという感じですね」(前出・土本氏)
公務員として破格の報酬を受け取り、旅行や自宅など「特別待遇」を受け続けるなかで、自分が特別な存在であるというエリート意識を強めていく。
法務省の言うようにセキュリティ上の理由だけであれば、大使館の立ち並ぶ最高級住宅街に居を構える必要もなければ、800坪もの広さも逆に危険だ。
「検察は、古くから保持している"既得権"を手放したくないんでしょう。全国の一等地に持っている土地は、権威の象徴のようなものです。国有財産名簿にも住所を公開せず、密かにこうした資産を維持し続けていること自体が、検察の体質を反映している」(前出・司法担当記者)
今回の事件の底流にあるのは、こうした検察の権威主義、秘密主義そのものではないのか。
法相による「検察の在り方検討会議」メンバーとなったジャーナリスト・江川紹子氏は、今後の検察改革について、こう話す。
「私個人としては、まず問題点全体の洗い出しからはじめたいと思っています。特捜部のあり方自体も、議論したい。それから、すべてに不透明な検察のやり方、あとから検証できない取り調べ方法などについて、ルール作りをしたいと考えています」
まもなく「事業仕分け」も再開するが、こうした法外な専用住宅こそ、仕分けの対象とすべきだろう。
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