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2010年11月15日 (月) 13:30
GDP比で農業を切り捨てる前原誠司氏の浅薄さ
菅直人氏がAPEC会合に向けて、突如、TPPなる提案を示した。TPPは「トッピなプラン」の略語かと思ってしまう。
TPPは、Trans-Pacific Partnershipを略したもので、日本語では「環太平洋戦略的経済連携協定」と呼ばれるものである。
TPPに参加すれば、参加国間の関税が原則として完全撤廃されることになる。TPPは米国が主導しているものである。菅政権は突如、この提案を示したが、与党内でも反対意見が根強く、政府は情報収集の開始についてのみ合意を得た。
日本のTPP参加是非をめぐり、問題になるのは農業の取り扱いである。現状で農産物の輸入が自由化されれば、日本の農業は壊滅的な打撃を受ける。この問題がTPPの最大の障害になる。
TPP参加に前のめりになっているのは菅直人首相と前原誠司外相である。前原誠司氏は、日本のGDPに占める農業の比率が1.5%だとしたうえで、「1.5%を守るために98.5%を犠牲にするのか」と主張する。
関税がゼロになれば、日本の輸出産業の輸出が有利になる。前原氏の主張は輸出産業を有利にするためには農業を犠牲にしても構わないというものである。
しかし、GDPの比率だけを根拠に農業を切り捨てる前原氏の姿勢はあまりにも浅薄である。
主食である米の自給は日本の経済的安全保障を考えるときに、ひとつの基本になる。関税を撤廃して、日本の米作りが消滅することを前原氏はいとわないと考えるのだろうか。
関税を撤廃して、なおかつ日本の農業を存続させるには、日本農業の生産性を飛躍的に高めるか、農家に対する所得補償を一段と強化することが不可欠になる。しかし、前原氏の主張には、この点での対策が盛り込まれていない。つまり、自由化を進める結果として、日本農業が消滅しても良いとの考えが前提とされているとしか考えられない。
農業の重要性は経済的安全保障上の理由だけに基づかない。最も重要な視点は「国土の保全」である。
小沢一郎民主党元代表が9月14日の民主党代表選最終演説で次のように述べた。
「私には夢があります。役所が企画した、まるで金太郎あめのような町ではなく、地域の特色にあった町作りの中で、お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本。その一方で個人個人が自らの意見を持ち、諸外国とも堂々と渡り合う自立した国家日本。そのような日本に作り直したいというのが、私の夢であります。」
小沢一郎氏が強調した、「お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会。青空や広い海、野山に囲まれた田園と大勢の人たちが集う都市が調和を保ち、どこでも一家だんらんの姿が見られる日本」
の価値を私達は軽視するべきでない。
日本の国土は山がちで、平地面積が極めて限られている。国土面積37.7万平方キロのうち、山林と湖沼を除く可住面積は12.1万平方キロで、全体の32.1%にすぎない。もともと平地面積が全体の3分の1しかない。
この12.1万平方キロの可住地のうち、耕地面積が4.6万平方キロを占めている。可住地面積の38.2%が耕地なのである。
この耕地で農業が営まれている。小沢一郎氏が述べる青空や広い海、野山に囲まれた田園は、農業が存在することによって、美しく保たれているのである。
関税が撤廃されて日本から農業が消滅するなら、この美しい日本の田園風景は一気に失われることになると思われる。美しい稲穂の実る国土は、荒地と化すだろう。美しい田園風景を生み出している中心は米作用の水田である。この水田が荒れ地に転じれば、日本の風景はまったく異なる殺伐としたものになる。
中国の詩人杜甫が記述した「国破れて山河あり」になることは間違いないだろう。田園風景の喪失は、同時に、「お年寄りも小さな子供たちも近所の人も、お互いがきずなで結ばれて助け合う社会」、「どこでも一家だんらんの姿が見られる日本」の喪失を意味することになるだろう。
前原氏は、「1.5%の農業のために98.5%の産業を犠牲にする」と言うが、農業は、他の産業を犠牲にしているわけではない。日本の製造業には技術力があり、低水準の関税が存在しても、十分に競争力をもって国際競争に耐えているのが現実である。
関税が撤廃されて日本の輸出が急拡大すれば、その分、為替レートが円高に推移して、輸出の競争力は相殺される可能性が高い。
菅直人氏は今回のAPEC会合に際して、TPPに前のめりの姿勢を示しただけでなく、沖縄普天間飛行場の辺野古への移設について、改めて積極推進の姿勢を示した。
菅直人氏にとっては、日本の主権者国民の意思を尊重することよりも、米国に媚びへつらうことが大事だということだ。前原誠司氏の行動も、日本の主権者国民の意思を踏みにじり、米国に媚びへつらい、大資本への利益供与だけを目指すものである。
こうした対米隷属、大資本との癒着政治を打破することが政権交代の目的であった。政権交代の大義はすでに完全に失われている。旧来の利権政治・対米隷属政治に回帰した菅内閣を打倒して、主権者国民政権を再樹立することが強く求められている。
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