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眠れる獅子、検察官適格審査会開催へ (保坂展人のどこどこ日記)
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投稿者 pochi 日時 2010 年 11 月 15 日 10:08:01: gS5.4Dk4S0rxA
 

眠れる獅子、検察官適格審査会開催へ
2010年11月14日

ビデオ『八ッ場ダムはなぜ止まらないか』の編集・仕上げや、『週刊朝日』に「八ッ場ダム、開いた口が塞がらない」(都内は明日駅頭発売)の執筆などで、ブログの更新が出来なかった。今日は、日曜日だが画期的かつ重要なお知らせがあるのでお読みいただきたい。かつて何度か書いてきた「検察官適格審査会」がついに、11月16日夕刻に開催される運びとなった。

 検察官適格審査会は戦後史の中で、長い期間にわたって眠りこけていたので、「検察官の民主的統制」を目的にしながらも、戦後に「罷免」したケースが長期にわたって行方不明となった佐賀県の副検事ただ一人という実態だ。また、国民の誰もが「検察官の職務並びに適格性」について審査請求が出来るが、驚いたことに審査が開始されたことは1回もない。

 長年の自民党一党支配で、検察官適格審査会の委員11人の過半数を占める国会議員(衆議院4人・参議院2人)が、法務省大臣官房人事課のとりまとめる「事前調査資料」の説明に異議を唱えず、会議は2年に1回というペースで行なわれていたために、3年ごとに行なわれる検察官全員の定時審査も「通過儀礼」となり、また国民の求める検察官の「随時審査」は「その必要を認めない」とうなずくだけの場となっていた。

 今回は村木厚子さんの事件で、大阪地検特捜部は無論のこと「村木さん逮捕」「起訴」「論告」などを取り仕切ってきた上級庁(大阪高検・最高検)の幹部をも審査対象とした請求が三井環元大阪高検公安部長から提出されており、請求人となった人々は1500人に達したと聞いている。

従来であれば、検察官適格審査会は今年の2月に開催されているから、ほとぼりのさめる来春まで「棚上げ」にするのが通常だが、今回は検察官適格審査会の委員から「今回の村木事件捜査の問題で開催するべきではないか」との声があがり、松尾浩也会長が招集して会議が持たれることになった。
画期的というのは、こうして会議が開催されること自体が長らくなかったからだ。

 読者の皆さんも感じているように、大阪地検特捜部という現場の「暴走」を追認し、「逮捕」「起訴」という方針を確定させたのは、大阪高検であり、最高検である。最高検の捜査は見事に自分たちを外して「大阪地検」に照準をあわせたもので、「検察官一体の原則」に基づいて司令塔の役割をしてきた責任を回避している。

 前田元検事、大坪元特捜部長ら「大阪地検」の関係者は起訴されて懲戒免職となったり、または辞職して検事の身分を失っている。すると、検察官適格審査会が審査する対象ではなくなる。だが、上級庁で大阪地検が上げてきた「村木さん逮捕・起訴」を決定した検察幹部は現に職務に止まっている。

 検察官適格審査会が、国民からの訴えを受けて「審査開始」に踏み切ること出来るはずだ。自民党政権の時は、絶対ありえなかった多数決で、審査開始の決定が出来るかどうかは大いに注目していい。そもそも、「検察の民主的統制」のための検察官適格審査会の事務局を法務省が行なっていること自体がおかしい。年間15万1千円というあきれた低額予算も、適格審査会が活動せずに眠りこけることを前提とした水準だ。

 この検察官適格審査会には、外部から弁護士や専門家を「調査専門員」として招き、調査のためのワーキングチームを編成することが出来る。検察庁法に書き込んである審査会の調査には職権があり、調査対象の検察官も含めて検察組織も調査に協力しなければならない。「検察の暴走」の病根をえぐる調査をするのは、唯一のチェック機関である適格審査会の出番だと私は思う。

 ただし、検察官適格審査会が「審査」した後で決めることの出来るのは「罷免議決」しかないということが、制度上の不備でもある。劇薬的な「罷免」しかないから、「審査は慎重に」としてきた結果が、「審査開始決定」を止めていた理由だろう。審査会として、その手前の処分を勧告することもあっていいはずだ。こうした検察官適格審査会のあり方についても大いに審査会の席上で議論し、運営上の規定については「運営細則」を改正すればいい。また、検察官適格審査会のあり方について、大きな骨格の変更については、検察庁法改正を政府に提案することも出来るはずだ。

 明後日の検察官適格審査会の開催を多くの国民は知らない。東京新聞以外の大手メディアもまったく報道していないからだ。少なくとも、「検察の暴走」の影には検察官適格審査会が眠りこけていたという認識がテレビ・新聞社幹部にない。正直言って、「検察審査会なら知っているけど、検察官適格審査会は聞いたことがないな」というのが新聞記者も含めた平均的な認識ではないか。弁護士でも、国会議員でも知らない人は多い。

 まさにこの現状が、「検察にはチェック機関がない」という誤った報道につながっていく。チェック機関がないのではなく、検察官適格審査会の活動が封印されてきたのが真実だ。明後日には、ぜひ大きく検察官適格審査会の歴史や背景について詳しく報じてほしい。

 法務大臣が設置した検察のあり方検討会議(座長・千葉景子前法務大臣)は、今回の「検察不祥事」を受けて検察組織の全体について意見交換する場である。検察庁法に規定され、また「検察官のチェック機関」である検察官適格審査会の審査は必要なく、あり方検討会議に委ねるというのは本末転倒である。

「まな板の上の鯉が包丁を握る」という姿からは、真実は見えてこない。再審開始された布川事件では、40年前の論告と寸分変わらない「無期懲役」の論告求刑をしたと伝えられている。批判とチェックを拒む組織は腐敗し道を誤る。検察はこの「村木さん逮捕・起訴」だけを誤ったのではない。

 調査活動費の実態をメディアに明らかにする準備をしてきた三井環元大阪高検公安部長を微罪で逮捕し、「口封じ」をした責任者は、検察官適格審査会の委員となっている原田明夫元検事総長である。検察は、ここで「けもの道」に踏み込んで、「白でも黒に塗り替えることが出来る」という実例を前田元検事ら若手に「お手本」で示した。

 小泉政権下で繰り返された「国策捜査」と、その内容を検証することも今後の課題だ。


http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/22689bf5f32e2c78dd3689a5174f22de  

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コメント
 
01. 2010年11月15日 10:11:21: tM5k08S63A
裁判官適格審査会をつくるほうが重要だろ。

02. pochi 2010年11月15日 12:04:40: gS5.4Dk4S0rxA : qkdQf35ZRM
>01様、
裁判官の罷免の訴追を行う国家機関として裁判官訴追委員会があります。
国民は誰でも、訴追委員会に対して裁判官の罷免の訴追をすべきことを求めることができます。
昭和23年から平成21年までに合計14,884件の訴追審査事案を受理し、訴追されたのはわずか39件8人(訴追され弾劾裁判で罷免と判断されたのは6人)です。
なお訴追委員会の議事は検察審査会と同じく非公開です。

03. 2010年11月15日 14:04:28: GT4ue6Kusg
01だが、02へ

訴追というのはなにかやらかしてからのものだろうし、ほとんどが刑事事件にむすびつく破廉恥罪や詐欺などだろう。
そうではなく、裁判官が法律を遵守しているかどうかを監視するシステムが必要だということだ。
なんとなれば法律を破ることが出来るのは唯一、裁判官だけなのだから。
裁判官以外の者は法律を破ることはできない。
この道理はわかるでしょう。
一般の人は法律に「抵触」することができるだけだ。
法そのものを捻じ曲げることはできない。
法を捻じ曲げ、法を犯せるのは裁判官だけだ。
そしてその事態が最近、顕著に出てきている。小沢氏の検察審査会議決を認めたのもそのひとつ。完全に法律を踏み破っている。
だからこそ、つねに裁判官の仕事振りを監視する機構が必要なのだ。


04. 2010年11月15日 18:24:21: 0ruzAX9hXM
 裁判官に知り合いにいる方は、阿修羅掲示板に誘導していただけませんか。01さん02さんの議論を聞いていただきたい。
 
 小沢さんの件については、法曹関係者なら誰でも事件にすること自体疑問に思っているはず。にもかかわらず、国会議員の弁護士(くずれ)は許せないし、社会正義を第1条とする弁護士法をもう一度読み直してほしい。

05. pochi 2010年11月15日 19:07:20: gS5.4Dk4S0rxA : qkdQf35ZRM
03様へ、

「なにかをやらかす前」から裁判官を監視するには、裁判を傍聴するしかないのではないでしょうか。
あとは自らが裁判官もしくは職員になるか、裁判官もしくは職員の内部告発をうけるか、私生活を尾行するか。
裁判所の庁舎見学なんて言ったら03様が怒り出すのが目に見えてますし。

現実的にはやはり「なにかをやらかした後」になると思いますので現行制度を活用するのが良いのでは。
ちなみに訴追に関しては、請求の時点では03様がおっしゃる破廉恥罪などは少ないのですよ。
以下は裁判官弾劾法第2条の条文です。

第2条(弾劾による罷免の事由) 弾劾により裁判官を罷免するのは、左の場合とする。
 一 職務上の義務に著しく違反し、又は職務を甚だしく怠つたとき。
 二 その他職務の内外を問わず、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があつたとき。

これまでに訴追請求された事案の罷免事由としては第2条1項1号が94.3%、第2条1項2号が5.7%です。
1号該当には、誤判不当裁判 48.8%、訴訟手続違反 15.0%、不当訴訟指揮 8.7%などが挙げられます。
2号該当には、それこそ03様がおっしゃるような事案などが当てはまるのでしょう。

国民が裁判官を罷免する制度としては、@最高裁判所裁判官国民審査とA裁判官訴追委員会への請求があります。
@は国民の直接投票によって決まりますので、開票集計作業に不正が無ければ、国民の総意ということになります。
Aは衆・参各議院選出による国会議員で審議しますが、審議結果の理由は議事非公開のため審議されたかも不明です。
あとは非合法的手段に訴えるしかありません。

制度はすでにあるのですから、まずは順当に議事公開への法改正を訴えましょう。結局は国民一人一人が動くしかないのです。


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