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横浜で13日開幕したアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を舞台に、日本、米国、中国、ロシアが外交的な駆け引きを繰り広げた。日米両国は停滞した関係を繕いながら連携強化を強調し、台頭する中国をけん制。中国は、米国が日本を巻き込んでアジアで「対中包囲網」を強めていることを警戒し、日中首脳会談の開催にぎりぎりまで応じなかった。ロシアは北方領土問題をかわしながら自国のアピールに努め、4カ国の思惑が複雑に交錯した。
◇日中露「連携」強調
「このたび日中、日露で起こった問題について、日本を力強く米国が支持してくれたことをうれしく思う」。約1時間にわたった日米首脳会談の冒頭、菅直人首相は切り出した。
尖閣諸島沖の漁船衝突事件での中国の威圧的な対応、メドベージェフ露大統領による北方領土・国後島への強行訪問。菅首相は最近の中露との問題を巡り、米国の支持に謝意を表し、日米連携強化の必要性を強調した。
「菅首相は、米国の関与と存在感がぐんと重要になったと言った」。ドニロン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は記者会見で満足そうに語った。
アジアへの輸出拡大を米国の雇用創出につなげる。そのために安全保障分野も含めて主導権を発揮し、アジアで信頼される存在になることが必要だと米国は考えている。だが、前に立ちはだかるのが中国で、その台頭をけん制する手段の一つが同盟国との関係強化だ。「日米同盟の深化」はこの文脈にある。
日米首脳会談で、オバマ大統領は「中国の経済的台頭を歓迎する。その上で中国には国際的なルールの中で適切な役割と言動が必要」と指摘。菅首相は「全くその通りだと思う」と応じた。
ただ、米国にとって菅政権は完全に信頼できるパートナーとはなっていない。12日、ソウルでの主要20カ国・地域(G20)首脳会議終了後の記者会見で、大統領は「真の友情」を構築したアジアの指導者として、インドのシン首相、韓国の李明博(イミョンバク)大統領に加え、中国の胡錦濤国家主席の名前を挙げたが、菅首相の名前はなかった。
米国の本音は、日本は米国への信頼感を「形で示せ」ということだ。大統領は日米首脳会談後、記者団に「日本の防衛ニーズと、米軍基地のある地域社会のニーズの両方に対応することができる」と述べ、普天間飛行場問題の解決を求めた。
一方、ロシアのメドベージェフ大統領。菅首相との会談に先立ち、日中露4企業による共同プロジェクトの調印式に出席した。ロシアに新たに建設される大規模な化学肥料プラントを日本の三菱重工、双日と中国の国営建設企業が共同で受注したもので、大統領は関係者一人一人と笑顔で握手をかわし、「おめでとう」と乾杯のグラスを合わせた。
調印式には日露のメディアが招かれ、ロシアを舞台にした日中経済協力の成功例を見せることで、対立する日中関係を仲介できるロシアの強みをアピールした。同時に領土問題をめぐる日露間の対立に焦点が当たるのをかわそうという狙いもあったようだ。
就任当初は領土問題解決に意欲的な発言をしていた大統領だが、その後日本側から「北方四島は日本固有の領土」「(ロシアの)不法占拠」などとする法改正や政治家の発言が相次いだことに強く反発。ソ連・ロシアの国家元首として初の国後島訪問を決断する布石になったとの見方もある。【吉永康朗、草野和彦、大木俊治】
http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20101114ddn003020019000c.html
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