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「経済コラムマガジン10/11/15(639号)
・政治家に向かない職業
・仙石官房長官という人物
筆者は、政治家になるのに一番向かない職業は弁護士であるとずっと思ってきた。ところが多くの人々は、逆に弁護士こそが法律に明るく、法律を扱う政治家にはぴったりだと誤解している。
まず弁護士として優秀な者は、法廷における弁論によって、有罪になるべき者に無罪判決をもたらしたり、あるいは減刑を勝取る。つまり依頼人にとってより有利な判決を得るよう働くのが良い弁護士である。しかし多くの弁護士は社会正義のために弁護活動を行っているのではない。ほとんどの場合は報酬を得るためである。
高報酬を得るためには、好き嫌いで被弁護人を選べないのが現実である。特に順番で担当することになっている国選弁護の場合、弁護士は被告人を選べない。
筆者の知っている弁護士は、昔、「弁護の余地のない悪い被告を弁護する時ぐらい辛いことはない」と言っていた。しかしこのような時にも法律の知識や法廷テクニックを使って、被告にとってより有利な判決を引出すのが優れた弁護士である。むしろ哲学や思想というものは弁護士にとって邪魔である。
だが政治家に求められる資質は違うはずである。善し悪しを別にして、政治家はなんらかの政治信条みたいなものを持っていることが期待される。また国民は政治家の言動がブレることを一番嫌う。
反対に弁護士は、職業柄、裁判毎に論法を変えたりする。その場その場でベストの解決方法が求められるからである。つまり物事に対して即物的なのである。
仙石官房長官を見ていると、いかにも弁護士出身の政治家という印象を持つ。国会の答弁でも、記者会見でも、政治家というより、法廷の弁護士そのものの振る舞いである。その場で相手を言い包めれば良いという風である。
先週号で、日本人は相手にどこか誠実なものを期待しているという話をした。しかし仙石官房長官はこれに正反対の政治家である。したがってこの人物が前面に出るほど、菅政権の評判は悪くなる。
弁護士出身者が目立ったのは旧社会党である。政権党の自民党を攻める時には、彼等は弁が立つので重宝がられた。しかし有権者が社会党の政治家を信頼していたわけではない。したがってベルリンの壁崩壊後、マスコミが左翼から離れると社会党はとたんにガタガタになった。
社会党に弁護士出身者が多かったのは、生活力があったからである。政治家は選挙に落選すると直に収入の道が断たれる。自民党の政治家には、どちらかと言えば経済的バックボーンがある者が多かった。一方、社会党から選挙に出ようという者は裕福な者が少なかった。その点弁護士は落選してもなんとか生活はできるので、選挙に引張り出しやすかったのである。ちなみに仙石官房長官もスタートは旧社会党である。
誤解してもらっては困るのは、筆者が弁護士出身の政治家は全て問題と言っているのではない。数は少ないかもしれないが、弁護士出身でも立派な政治家はいる。しかしそのような政治家は、政治活動の中で、法廷の弁護士に見まがうような言動を決して行わない。
・中国の報道官の交代
ビデオ流出などによって、尖閣諸島事件は新たな展開を見せている(今回流出したビデオも全体の一部である。残りの部分も公にされるべきであり、特に船長逮捕時の様子は大事になってきた。)。一連の出来事で筆者が注目したのは次の二点である。一つは中国がとんでもない国であることがあからさまになったことである。日本人は前からこのことを薄々感じていたが、今回の中国の行動を見てこのことがはっきりしたのである。
当初、中国は日本が簡単に漁船を追返す程度の措置で済ますと踏んでいた。ところが日本が船長を裁判にかけるといった予想外の行動に出たため、中国は焦ったのである。この焦りが次々と中国政府の判断ミスを招いた。
日中の政府高官の交流を断つ程度なら影響は限定的であったろうが、レアアースの禁輸を行ったり、フジタの社員を拘束して日本人の強い反発を招いた。特にフジタ社員の拘束は何の意味もなく、ただ中国という国の不気味さを日本人に知らしめただけである。最大のミスは釈放された船長を表彰したことである。
「犯罪者を表彰するとは何事か」と日本人は怒ったのである。これに関して今回のビデオの流出が中国にとって決定的なダメージになった。明らかに中国漁船が巡視船に体当たりしていることが、日本の一般国民の知るところとなった。中国政府は、今、このビデオが日本国民に与える影響を調査・分析している。情報は完全に管理することが当り前の中国なとって、この手のビデオが流出し日本国民が視るといった事態は想定外であった。
これで日本人の中国観が最悪になった。一般の日本人の中国への嫌悪感というものがお大きくなれば、中国にとって決して良いことではないことを中国政府も分かっている。いまピンチに立っているのは中国の方であり、このことを解っていないのが仙石官房長官を始めとした菅政権の面々である。
この問題を扱った最初の10/10/4(第633号)「中国漁船の公務執行妨害」で、筆者は中国が「墓穴を掘る可能性が大きいと」と指摘した。まさに事態はこの指摘通りの展開になっている。どうやら中国は、自分達の犯したミスに気付き始めている。
事件が起った当初、高飛車な女性報道官が記者会見で日本を批難し、中国の対日制裁を発表していた。しかし最近、彼女をテレビで見ることがなくなった。中国の報道官は、ソフトなイメージの中年男性に代わったようである。どうもこれまでの日本対する強圧的な方針を、中国は完全に転換している可能性が強い。
もう一つの筆者の注目ポイントは、日本人の認識と行動の変化である。筆者は、今回の事件をきっかけに日本人の国土防衛というものに対する意識の変化があったと感じている。戦後教育で育った世代は、これまで保守派や民族派というものを狭量な右翼勢力と敬遠してきた。
しかし中国が日本にとって現実の脅威であることが広く知られることになった。「日本側に全く落ち度がないのに、中国の対応は何なのだ」と一般の国民は本当に怒っている。この結果、保守派の示威行動に多くの一般の人々も参加するようになっている。ところがまだマスコミは、このことをあまり伝えたがらないようである。
尖閣諸島事件など中国関連はそのうちまた取上げることにし、来週は米国の金融緩和の話をする。」
http://www.adpweb.com/eco/eco639.html
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