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悪魔の税制 斎藤貴男『消費税のカラクリ』:池田香代子ブログ
http://www.asyura2.com/10/senkyo99/msg/350.html
投稿者 呆頭息子 日時 2010 年 11 月 12 日 14:29:01: PmmF2AZ8JuIBc
 

http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/51498792.html

2010年11月12日00:28 カテゴリ社会・世界情勢メディア

悪魔の税制 斎藤貴男『消費税のカラクリ』

きのう、いったんアップした記事を、操作を間違って消してしまいました。がっくりしていたら、ある方がRSSリーダーに残っている、と送ってくださいました。そんな技術があるのですね。ご親切に感謝しつつ、少し手を入れてもう一度、アップします。


読後、あやうく絶望しそうになる、でもこれが現実なのだ、ここから出発しなければならないのだ、と気を取り直す、そんな本にときどき出会います。このブログでも取り上げたい、そうした本が何冊か溜まっていますが、きょうはその1冊、斎藤貴男さんの『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)をご紹介します。

以前、「消費税が上がると輸出産業が儲かる」という記事を書きました(6月26日、こちら)。それにたいして、「違うよ!」というご指摘をうけ、「【訂正】消費税のカラクリ、私にはお手上げです」を書きました(6月29日、こちら)。これは、輸出戻し税をめぐる議論です。部品を仕入れて製品をつくり、それを輸出する時は、海外の人に国内の消費税を負担させるのはおかしいので、部品の仕入れ値に上乗せして製品輸出業者が払ってあった消費税を製品輸出業者に戻すという、一見なるほど、の制度です。いったん払った消費税が戻るだけだから、輸出業者はプラスマイナスゼロ、つまり儲かってはいない、というのが、批判の眼目だったと思います。思います、と言うのは、とにかく私の頭では理解できなくなってしまったからです。それで、正直に「お手上げ」と書きました。

ただし、2本目の記事に、私はこんな懸念を書いていました。「たとえば輸出する車でも国内販売する車でも、自動車会社は同じ部品を調達するのですが、部品を納入する下請け業者は親会社からつねに値下げ圧力を受けていて、消費税をちゃんと上乗せできずに身を削って苦労している、けれど自動車会社は輸出分にはゆうゆうと消費税の還付を受けている、ということが問題なのではないかなあ、と思います。」

このしろうと考えは実は正解だったと、斉藤さんのご本を読んで確信しました。その実態はしかし、私の想像を超えていました。斉藤さんはご本についてインタビューをうけていて、それを見ればだいたいのことはわかります(こちら→http://blog.livedoor.jp/ikedakayoko/archives/2010-06.html#20100629)。けれど、インタビューだけではわからないのが、私も愕然としたその実態です。消費税がどのように個々の人間を絶望の淵に追いやるか、これはぜひひとりでも多くの方に知っていただきたい。斉藤さんは、消費税に追い詰められて自死に至った小規模な会社経営者のご遺族を何人も取材しているのです。斉藤さんは言います。消費税は、それを価格に上乗せできる強者にとってはなんでもない、けれど上乗せができない、取引の場で弱い立場にある事業者にとっては命取りだ、と。

先日、NHKスペシャル「借金862兆円はこうして脹らんだ」を見ました。景気対策や福祉財源確保のため、あるいは身勝手なアメリカの圧力でどんどん赤字国債が発行されていくさまを、旧大蔵省の次官級の人びとの証言録やインタビューで描いていました。その中で終始ちらついていたのが、消費税という言葉でした。何度もこれを導入しようとしたけれどできなかった、それが国や地方自治体の借金を脹らませた、と言いたいのかな、と思いました。ある人が、「消費税は悪魔のような税、必ずとれるから」といった証言をしていました。悪魔のような税。そうなのです。消費税は、しくみが簡素で、広く浅くかけられるので公平だとしてもてはやされていますが、商取引があれば、儲けがあろうがなかろうが必ず発生する、徴税する側にとってこれほど確実な税はないのです。それにしても、悪魔のようなとは、なんと正直な。

悪魔性は、中小零細事業者に牙を剥きます。赤字なら、法人税は発生しません。でも、消費税は発生するのです。「あなた、これを売った時に取引先から消費税を預かったでしょう、それを払いなさい」というわけです。「いえ、値下げ圧力で儲けなどほとんどなかったのです、消費税なんて、もらったかたちにはなっているけど、原価や人件費を考えたら、実際はもらってないのが現実です」と言い訳しても通りません。「それはあなたの経営手腕の問題だ、預かったことになっているのだからとにかく払いなさい」とつっぱねられます。

斉藤さんは、ヨーロッパの消費税についても研究し、それが輸出助成金の側面をもつという、フランス政府の徴税部門の重鎮の証言を紹介しています。「消費税が上がると輸出業者が儲かる」ことの、まさに動かぬ証拠です。さらには、消費税は正社員を減らして派遣を増やすと節税できるしくみだ、という指摘も、これほど多くの人びとが不安定な雇用と低賃金に苦しんでいる今、きわめて重い。

NHKだけでなく、東京新聞(中日新聞)を除くほぼすべての新聞も、政権党も野党の多くも、そしてもちろん官僚機構も、消費税を上げるしかないと、連日声を張り上げている今、このちいさな本は貴重です。ぜひお読みになることをお薦めします。消費税が、その税率アップが、健全な資本主義ではなく、むくつけの弱肉強食資本主義を完成させる最後の仕上げであるという事実が、これ以上はないほど理解できると思います。
 

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コメント
 
01. 呆頭息子 2010年11月12日 14:33:58: PmmF2AZ8JuIBc : hsKNMBAwxE
文の途中のインタビューはこちら(↓)でした。訂正します。

http://eyevio.jp/movie/399021


02. 2010年11月12日 14:52:44: GKgTt6SCHQ

消費税を上げれば歯科が潰れる。

消費税を上げれば、自費診療と消費税のかからない保険診療との差がますます開く事も一つの要因になりますが、多くの歯科では高価な貴金属を消費税付きで仕入れます。また、高価な材料も消費税付きで仕入れます。それに対して保険診療は消費税を上乗せできません。仕入れにかかった消費税は税務署に申告しても返してもらえないのが現状です。理由は 自費に使った材料と保険に使った費用とはどうして分けられるのかと言うことらしいです。 結果、仕入れにかかった消費税は歯科医院が負担する事になります。
福祉目的か何か知れませんが、消費税が上がれば歯科が潰れます。表向きの理由は最初に挙げた理由となるでしょう。
 医科はほぼ100%保険診療でしょうから、消費税を返してもらってると思います。
ちなみに歯科医療費総額の医療費全体に占める割合は7%です。もし消費税が10%にでもなれば歯科医療費総額は消費税以下に収まる事になります。
歯科医療費が医療費のお荷物ではあり得ない事がこれからもわかると思います。

医師数 約17万人、歯科医師数 約9万人 およそ2対1です。総医療費では歯科が7%なんておかしすぎやしませんか。



03. 2010年11月12日 15:08:59: iEsDWZb9xk
消費税還付詐欺。それと10数年続いている雇用調整助成金詐欺。労基局の監査と言っても、玄関から現場まで1分の中小零細企業と違って、教育してる現場に受付済ませてたどり着くまで30分の大企業。指導されたのは佐世保重工の架空社員詐欺くらい。元々大企業救済目的の法律だから。

04. 2010年11月12日 15:17:25: eZEacOk3tE
この記事は大きな誤解に基づいている。
実際には、消費税自体が悪いのではなく、その税率が5%と一つしかないのが悪いのである。

現在の最大の所得税率は50%程度であるが、例えば、所得税の税率が10%の一つであるとしよう。10%だけにすると、大金持ちには大減税になり、貧しい者には大増税になる。だから、所得税は悪魔の税制と言えるだろうか。
所得税は0%から50%の累進課税になっており、誰も所得税は悪魔の税制とは言はない。

付加価値税を発明したフランスやイギリスは、付加価値税の税率を複数にし、最高税率は20%程度であるが、生活必需品の税率は無税か低く、贅沢品の税率は高い。

日本の消費税の大きな欠点は、単一の5%の税率しかないことであって、今後税率を上げるときは複数税率とし、贅沢品の税率を上げ、生活必需品の税率は無税か低くすれば問題は少ない。

かって消費税が作られる前は物品税があり、贅沢品には高額の物品税が掛かっていた。
例えば、大型乗用車には30%の物品税がかかっていたが、消費税の導入でそれが僅かに5%になってしまった。
儲かったのは大金持ちとトヨタ自動車であった。

消費税に反対するのではなく、複数税率の導入を要求し、生活必需品の税率は無税か低く、贅沢品の税率は高い税率にすることを、すなわち、ヨーロッパの先進国に倣うようにすることを要求する方が合理的である。

勿論、消費税率を上げる前に、ーロッパの先進国並に納税者番号を導入し、所得税や消費税の脱税を無くする制度を確立することを前提とすべきである。


05. 2010年11月12日 15:31:40: zPhFUqU58o
悪魔の税、おっしゃるとおりです。

消費税の悪魔性、
そのひとつは逆進性です。これを肌身感覚で知っているヒトって少ないのではないかとも思います。

古来、税というものは生産能力のある者にかかってきました。古くは戸別、つまり家ごとでしたし、すべてが経済に還元された近年は、なんらかの所得のある者にかかってきた。あるいはなんらかの権利を行使するときにかかるものもあった。それらは税負担をはね返すことが出来る余力があったり、権利の行使を止めるというオプションがあったからこそ課税できたとも言えましょう。
しかし、消費税はその税負担をはね返すことが出来る者も、全くはね返せない者にも、等しくかかってきます。
ですから、たとえば自営業なら、その消費税分の目減り分をなんらかのところで収入をアップさせるという策を講じることが出来ますが、年金生活者とか、収入の不安定な方達には、その消費税分がストレートに生活水準の切り下げになってしまう。

こんな悪魔的な税であることに気付いたのは、つい最近のこと。
それまでは、これは仕方が無いんだなとフツーに受入れていたのでしたが、よくよく考えてみたら不思議でしょうがなくなってきたのです。もしかすると、バブル崩壊以降、この日本がどんどん衰退し格差が広がっている要因になっているんじゃないかとさえ思うようになりました。

平成という年号は消費税導入とともに始まったのですが、この二十二年間を思い出さずにはいられません。


06. 2010年11月12日 16:31:02: jfFAZGb6iI
斎藤貴男氏、すばらしいです。それを紹介された池田香代子氏もすばらしいと思います。お二人ともがんばってください。

07. 2010年11月12日 17:20:11: 29Pt5gEJT1
「大型間接税」が悪魔の税制であることは、反対派の人々が声を大にして
叫んでいましたよ。当時の「赤旗」には鋭い考察が多く載っていました。
が、「赤旗」なんて誰も読みませんからねえ。

(小沢バッシングに同調するようになってからの共産党はもうダメですけど。)

そういえば、消費税導入直前、当時は保守王国だった千葉県知事選で、元県庁幹部で
自民党推薦の本命議員に共産党推薦の無名弁護士が肉薄したことがありましたね。


08. 2010年11月12日 17:25:50: GKgTt6SCHQ
 以下のURLに詳しく乗っています。
2010/7/19
http://sun.ap.teacup.com/souun/148.html

「経団連が消費税に“固執”するわけ」  税制・年金
消費税の“罠”はツケ回しの負担方式よりの続きです。

■ 消費税還付など付加価値税(消費税)の諸問題

● 消費税の内税方式化の意味
● 輸出免税と消費税還付問題
● 受け取り利息に課税されない問題
● 日本経団連奥田会長が消費税に“固執”するわけ


09. 2010年11月12日 17:27:21: K3XKUjEHYI
消費税導入時 確か『福祉の為』だった。はずだが、

福祉なんかに使っていない事はみんな知っている。

年金は60歳→65歳。医療費自己負担は1割→3割。

導入から21年→消費税総税収約213兆円。

法人3税なにかと減税&景気低迷による赤字未納税等で減収相当約183兆円。


10. 2010年11月14日 14:20:40: fYmUCcCPjM
輸出戻し税を直し、社会福祉にと抽象的ではなく年金に使うとか定義をしたほうがいいと思います。今の日本は補助金で成り立っていますからある程度は仕方ない。

11. 2010年11月15日 11:11:56: FHVyh15Kso
さすが、池田女史らしい「氷山の一角」に特化した主張だ。
消費税問題をこういった「技術的な問題」に転嫁できるなら、(池田女史の思いとは別に)霞が関にとっては好都合だろう。

「消費税」の導入に至る過程では、「シャウプ勧告以来、直接税(所得税)に偏った税体系を間接税(消費税)にシフトすべき、といった教育が学校教育ですら行われていた。
国の公的支出(福祉予算)の増加は、国民の高齢化の進行から当たり前のように進のだから、
小泉改革の様に「意図的に支出を増やさない」ような措置を取らない限り、黙っていても国家の財政負担は増えてゆく。

上記の「直間比率の是正」を行うべく、所得税と法人税が減税され、更に「グローバリズムの影響を受け」減税が行なわれている状況があり、
消費税の導入および増税によって、両者のバランス「は」取られてきた。
しかし、高齢者人口の増加(これは戦後復興による人口の増の結果だから、予見できた事)
による、福祉予算の増加による国家財政の危機や、抜本的な福祉政策については、まっとう論議が行なわれず、
不況対策の赤字国債と福祉予算の自然増が、意図的に混ぜられて、国家の財政赤字の増加のみが宣伝され、
目先の財政赤字の解決策として「消費税増税」に求められており、しかも、社会保険などとリンクできたいない。
これが、現状であろう。
税制のありかた福祉制度のありかた、を無視したまま「枝葉の消費税議論」の中で悦に入るでは、問題の本質を不透明にするだけである。


12. 2012年1月18日 10:51:22 : CQpuWnYOec
斎藤貴男氏の上記の書もさることながら、
氏の、年末調整と源泉徴収制度を一体化した戦後日本の愚民税制こそ
が総ての諸悪の根源だと主張する本も読んで頂きたいと考えます。
また、吉田和男氏の行政改革に関する本が
現在の日本でどれだけの読者を持ち、理解されているかも
重要な視点でしょう。

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