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焦点は菅政権が国民の支持が圧倒的な“義賊”に対して明らかに疑義のある法律論で望むか、「惻隠の情」を差し挟んだ政治判断で望むかだ。難しい局面だが、それによって海保保安官の「自首」が政権に与える影響を、激震とするか微震とするかの岐路であるとも言える。事前に読売テレビに告白した保安官の言葉から見ると“義憤”に駆られたことが明白であり、背後関係は感じられない。これは海保一般職員の感情を代表したものだろう。政権は官房長官・仙谷由人の発言にみられるような杓子定規の法律論での対応がすべてと思うべきではない。検察は逮捕しても起訴すべきではないのではないか。
筆者は8日の段階で内部告発と断定、「自ら名乗り出てビデオ公開の理由を堂々と述べよ」と促したが、その通りになった。“義賊”とも書いたが、いまや流行語となった。今回の報道では読売新聞と読売テレビの鮮やかなスクープが目立った。とりわけ読売テレビ記者・山川友基が事前に2時間にわたり保安官から聞いた独自インタビューがずば抜けて良質で、すべてを物語っている。
まず、43歳の「日に焼けて浅黒く実直そうな保安官は落ち着いた様子で、言葉を選んで語った」という。保安官は動機についてに「もともと国民が知るべきものであり、私は国家公務員としての仕事をしているだけではなく国民のために仕事をしている」と述べた。「職を失う覚悟であり、甘んじて罰を受ける」と覚悟の上の流出であることを認めた。加えて「限定的な公開だったのでこのままでは国民が映像を見る機会を失ってしまう。闇から闇に葬られて跡形もなくなってしまう」と危惧(きぐ)を表明した。「誰にも相談せず一人でやった」とも語ったという。 これほど動機が“義憤”にあることを証明する言葉はあるまい。さらに保安官はビデオ保管状況について「ほぼすべての海上保安官が見ようと思えば見られる状況であった。国家機密扱いされていなかった。機密でないものを機密として扱っているのではないか」と仙谷ペースのビデオ非公開を暗に批判した。
まるで司法手続きを見通したような発言でもあり、事前の準備が垣間見える。こうした発言が物語るものは、事件が起訴につなげられるかという問題であろう。政府の立場は仙谷が「寛大な処罰を求める声が多い」との記者の質問に「多いとはどのくらいか」と開き直ったことが物語るように、相変わらず法律論がすべての“法匪”のような判断を下している。仙谷は「治安に関与する職員が故意に情報を流出させたことになれば、大阪地検特捜部の事件に匹敵する由々しき事案だ」とも述べ、政治的な「惻隠の情」などかけらもない。仙谷路線は明らかに逮捕・起訴で刑事罰を科することまで想定したものであろう。背景には政府の専管事項を一職員の独走で処理されては示しがつかないという“思想”がある。
しかし国民から海保に寄せられる保安官擁護論は95%に達しており、新聞テレビの報道も同情的である。法律論の焦点は国家公務員法100条の守秘義務違反に相当するかどうかだが、最高裁は1977年に「国家公務員法にいう秘密とは、非公知の事実であつて、実質的にもそれを秘密として保護するに値すると認められるものをいう」という判断を下している。世間に知られていなくて実質的に保護に値するかどうかの二つの要件を掲げているのだ。前者はビデオを見た国会議員や海保幹部が詳細に内容を説明しており公知の事実となっている。内容が公知であるのに、映像が公知でないことで争えるかどうかが焦点だが、疑問だ。後者は国の安全に支障を来すほど国家機密ではないことから「実質秘密事項かどうかの」の要件は満たさないとされる。異論もあるから裁判になれば焦点になるところであろう。
このように起訴すべきかすべきでないかがまさに政治問題化する流れとなった。検察内部にも起訴すべき事案かどうかをめぐって議論があるようで、総じて慎重だ。しかし「仙谷政治」が前面に出て来た場合には、大阪地検の証拠改ざん事件で政府に弱みを握られている検察が圧力を感じ、敗訴を覚悟で起訴に踏み切るかどうかが興味深いところだ。しかし「船長」は釈放して「憂国の士」は起訴かという素朴な国民感情は、支持率激減となって政権を襲うだろう。つまり退陣に直結しうる支持率20%台の危険水域に政権が突入することは火を見るより明らかだ。
野党は政権追及の絶好の機会としてとらえ、自民党は仙谷と国交相・馬淵澄夫の辞任を要求してゆく構えだ。政権側は海保長官・鈴木久泰だけを辞任させてトカゲのしっぽ切りをしようとしているに違いない。菅政権にとっては弱り目にたたり目そのものの問題発生だが、すべては身から出たさびの事態であろう。
【朝刊トップ3分勝負】
★朝日
神戸海保職員近く逮捕 尖閣映像流出の疑い
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をめぐるビデオ映像が流出した問題で、海上保安庁の鈴木久泰長官は10日午後の衆院予算委員会で「第5管区海上保安本部(神戸市中央区)の神戸海上保安部の巡視艇乗組員が『自分が流出させた』と上司に申し出たとの報告を受けた」と説明した。
★毎日
複数の管区で閲覧可能
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐるビデオ映像が流出した事件で、船上勤務中の10日午前、上司
に「自分が流出させた」と申し出た第5管区海上保安本部の神戸海上保安部に所属する海上保安官について警視庁捜査1課は同日午後国家公務員法違反容疑で取り調べた。映像は第11管区海上保安本部以外の複数の管区でも閲覧できる状態にあったことが判明。
★読売
防犯カメラに航海士、投稿の日に受付に姿
尖閣映像を流出させたとみられる主任航海士が乗船していた「うらなみ」=原田拓未撮影 尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、動画サイトに映像が流出した今月4日、映像が投稿された神戸市中央区の漫画喫茶の防犯カメラに、神戸海上保安部(神戸市)所属の巡視艇「うらなみ」主任航海士の男性海上保安官(43)が映っていたことがわかった
★産経
尖閣ビデオ自分が流出
沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、神戸海上保安部(神戸市)の海上保安官(43)が「自分が流出させた」と上司に名乗り出たことが分かり、警視庁捜査1課は10日、国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで保安官を取り調べた。11日も引き続き聴取し、容疑が固まり次第、逮捕する方針。
★日経
日・EU経済連携協定、来春から交渉
首相提案へ、年内にも非関税障壁の改善案
菅直人首相は12日に欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領(首脳会議の常任議長)らと会談し、2011年春の経済連携協定(EPA締結交渉開始を提案する。EUが交渉入りの条件に挙げる日本の非関税障壁の改善を急ぐ考えを伝え、年内にも具体的な方針を示す意向も表明する。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加検討に続き、日本の競争力強化をめざす。
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/
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