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迷走する“仙菅ヤマト”政府
「内政問題ではデモも出来ない民族が、外国(日本)に抗議するデモをしたって意味がない」。
上海生まれで28歳の作家・韓寒(ハンハン)が記した文章です。民族主義的な反日デモをする前に、国内の矛盾に目を向けよ、と述べた彼のブログへのアクセス数は、この5年間で優に3億回を超えています。
紛れもなく、貪欲に国益を追求するナショナリズムの大国が中国。が、米国とて、貪欲に国益を追求するデモクラシズムの大国。国家とは国益を追求してナンボの存在です。とするなら、日本も冷徹な哲学と戦略と覚悟を抱いて、”お子ちゃま”外交を返上すべき。にも拘(かかわ)らず今や、中国にとってもロシアにとっても、勿論(もちろん)、米国にとっても”都合のいい国”に成り下がっています。
ネット上に流出した尖閣諸島沖「漁船衝突ヴィデオ」を巡って、中国は怪(け)しからん論が日本国内で沸騰しています。改めねばならぬ諸課題が山積する国家なのは、火を見るよりも明らか。
が、現場で勤務する複数の海上保安庁職員から頂戴したメールに拠(よ)れば、こうした衝突は今回に限らず、しばしば発生しているのです。であればこそ、問題先送りとは異なる文脈での”智慧”として、小泉純一郎政権下でも「強制送還」を決断したのです。
公務執行妨害で逮捕を命じたのは俺だ、と周囲に豪語していたのは当時、海上保安庁の所管大臣だった前原誠司氏。が、何とも不甲斐なき釈放後は一転、以前にも詳述した様に”口先番長”の彼は、「逮捕権は私でなく海保に有った」と居直る始末。これでは現場の指揮は低下する一方です。
而(しか)して迷走する”仙菅ヤマト”政府は、ヴィデオ流出は看過し得ぬ国家機密事項漏洩だ、と犯人捜しに血道を上げる本末転倒振りです。漫才師の内海桂子師匠もツイッターで、国民の為に機密事項も公開します、と政権交代したのが民主党ではなかったか、と諫言(かんげん)しました。仰有(おっしゃ)る通り。
冒頭で紹介した韓寒の警句(アフォリズム)は、「有言実行とは裏腹に全て問題先送りの”口先内閣”には物言わぬ、改め物言えぬ日本国民が、その鬱憤を居丈高に外交問題で発散したところで詮方(せんかた)なし」と解釈すべき。外交とは、笑顔で握手しながら、机の下では”急所”を握る大人の闘いなのですから。
カテゴリー:日刊ゲンダイ にっぽん改国
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