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尖閣領有問題棚上げ政策についての検証が不可欠 (植草一秀の『知られざる真実』)
http://www.asyura2.com/10/senkyo98/msg/835.html
投稿者 明るい憂国の士 日時 2010 年 11 月 06 日 16:41:29: qr553ZDJ.dzsc
 

http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2010/11/post-dfaf.html 
2010年11月 6日 (土) 13:45

 尖閣領有問題棚上げ政策についての検証が不可欠 


 尖閣諸島海域が日本の領海であることを中国が了解しているのであれば、日本には外国籍漁船を取り締まる権利があり、領海内で違法行為を行った者に対して国内法に基づいて措置する権利があり、政府は粛々と責任を果たすべきである。
 

 国内法に基づいて措置するなら、法と証拠に基づいて粛々と対応すればよい。それだけのことである。
 

 しかし、尖閣諸島およびその海域について、これまで日本政府は、そのような対応を示してこなかった。それには相応の理由があった。
 

 2000年6月発効の日中漁業協定では日中暫定措置水域を定め、この海域では日中両国が自国海域のみを取り締まることとされた。
 

 日中漁業協定について、自民党の河野太郎氏がブログに以下の記述を示している。

「この協定によると、済州島の南あたりから北緯30度40分までと東経124度45分から東経127度30分の間を中間水域とし、この水域では相手側の許可なしに日中双方の漁船が操業をすることができる。
 

 北緯30度40分から北緯27度までの間では、排他的経済水域及び大陸棚の境界画定までの間、暫定的に日中両国共同で海洋生物資源の量的管理を行う。この海域では、自国漁船に対して取締りを行い、相手国漁船の違反等に関しては外交ルートで注意喚起を行う。
 

 北緯27度以南は、新たな規制措置を導入しない。現実的には自国の漁船を取締り、相手国漁船の問題は外交ルートでの注意喚起を行う。(尖閣諸島はこの水域に入る)」
 

 つまり、尖閣諸島は北緯27度以南の海域に含まれており、直接的には日中漁業協定の対象海域には指定されていない。
 

 中国は1970年ころから尖閣諸島の領有を主張しており、日中国交回復、日中平和友好条約締結に際して、ケ小平が尖閣問題の棚上げを提案し、その後は日中両国が、この棚上げ政策に乗る形で、現実の対応を示してきた。
 

 「棚上げ政策」とは、尖閣諸島における日本の実効支配を容認しつつ、領有問題については先送りするというものである。
 

 前原誠司外相は「棚上げ政策」について、中国側の一方的な提案であり、日本としてこれを認めたことはないとの見解を表明しているが、この見解が正しいのかどうかを歴史的経緯に従って検証する必要がある。現実には、日本政府が「棚上げ政策」に乗ってこれまでの対応を行ってきたことは明白である。
 

 実際に、これまで日本はこの海域で中国船を追尾することはあっても、拿捕、逮捕、起訴することはなかった。
 

 2004年には尖閣に上陸した7人の中国人を不法侵入で日本の警察が逮捕したが、直ちに強制送還している。
 

 今回、事態が大きく発展したのは、日本政府の対応がこれまでの「棚上げ政策」に基礎を置くものから、「尖閣諸島は日本の領土である」との判断を基礎に置くものに転換したと中国が受け止めたことに基づいている。

 この劇的転換を誘導したのは前原誠司国交相(当時)である。「棚上げ政策」を基礎に置く対応を取るなら、当初の時点で2004年と同様の政治判断を働かせるべきであった。
 

 尖閣問題についての日本政府の対応を劇的に転換するなら、その判断は内閣の責任においてなされるべきものであり、菅政権として「尖閣は日本の領土である」ことを宣言した上で、日本の法律に則って粛々と処理を進めるべきであった。しかし、このことは、場合によっては戦争の引き金を引くような重大性を帯びる外交上の決定であるから、一閣僚の判断で行えるべきものでなく、当然、菅首相の判断と責任において決定されるべきものであった。
 
 ところが、現実には前原国交相が独断で中国人船長の逮捕、勾留を決定し、その後、この問題が大きな外交問題に発展し、中国の激しい反発を招いたことを受けて、腰砕け的に中国人船長を釈放したものである。
 

 前原誠司氏は米国の支援を得ようと、必死で米国に対して、尖閣諸島が日米安保条約の適用範囲であるとの言質を引き出そうとした。米国はこの要請に応じて、尖閣が日米安保条約の適用範囲であることを示した。
 

 前原誠司氏の暴走は、沖縄の県知事選と密接に関わっている。米軍の沖縄駐留を継続させ、辺野古の海岸を破壊して軍事基地を建設しようとする勢力は、ひとつ覚えのように、米軍による抑止力がなくなると中国が尖閣諸島に攻めてくることを強調する。尖閣での日中対立を演出することは、沖縄知事選での仲井真弘多知事の再選を促す選挙活動であるとも言える。
 

 しかし、現実はそれほど単純ではない。米国は沖縄の新設軍事基地を求めているが、同時に米中関係をも重視している。米国が尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲であることを示したことに中国が強い不快感を表明した。
 

 これに対応する形で米国は、北方領土について、日本の領有を認めるが、日米安保条約の適用範囲ではないと発言した。つまり、日米安保条約の適用範囲の基準は実効支配の有無であり、領有権に関する米国の判断とは直結しないことを示したのである。
 

 換言すれば、米国は尖閣諸島を日本が実効支配していることを認めるが、領有権については日中両国間の問題であるとの立場を示したのである。このことを米国ははっきりと発言もしている。
 

 日本政府は19世紀末に日本が列強の仲間入りを果たすべく海外進出を本格化させた時期以降、日本が尖閣諸島を領有していることを強調するが、中国はそれ以前の歴史的な領有関係を強調している。国際法上は日本の領有が認められるべき事案ではあるが、この問題が必須の重要事案であるなら、日中国交回復、沖縄返還、日中平和友好条約締結時に明確化しておくことが不可欠であった。
 

 しかし、現実の選択のなかで、1972年に日中が国交を回復し、平和友好条約を締結する際、尖閣諸島の領有問題について、「棚上げ政策」が提案され、以後、この「棚上げ政策」に基づいて日中両国が対応してきたことは、ひとつの現実的対応であったと評価すべきである。 
 

 外交には常に多くの困難な問題が立ちはだかるが、多くの困難な問題を直視した上で、現実的な選択を示すことが常に求められる。尖閣問題を深刻化させずに日中両国が戦略的互恵関係を発展させることも検討に値する対応のひとつである。
 

 日本政府は録画映像を当初から公開し、政治判断での問題決着を当初の段階で取るべきであったと言える。日本外交の稚拙さが世界の笑いものになっている。
 

 衝突映像が流出した問題は、こうした外交問題とはまったく別種の政府の危機管理能力の問題である。重要機密情報が流出したことについて、真相を解明すると同時に、関係者の責任が厳しく問われなければならない。
 

 米国に隷属するだけで、国益を損なうことだけに貢献している前原誠司氏の一刻も早い更迭が求められる。

 

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コメント
 
01. 2010年11月06日 17:11:20: FZgGiDbYMh
中国近代化の開拓者・盛宣懐と日本
経済・産業・教育の近代化を推進する清朝高官と明治二本の政・官・財界の実力者との真摯な交流の記録―「盛宣懐東遊日記」「見客簿」「東京友人来函」などの貴重資料を初公開。


中国の主張は、尖閣諸島は実効支配が成立する可能性があるものとして西太后から盛宣懐にあてた以下の詔論がある。

皇太后慈諭:太常寺正卿盛宣懐薬丸を進むる所、甚だ効験有り。奏に拠れば、原料薬材は台湾海外の釣魚台小島より採り、霊薬は海上に産し、功効は中土と殊にす、という。該卿家世薬局を設け、診を施し薬を給し、’貧病を救済するを知悉し、殊に嘉許に堪うるなり。即ち該釣魚台、黄尾喚、赤嶼三小島を、盛宣懐に賞給して産業にせしめ、採薬の用に供し、其皇太后及び皇上の仁徳に普被の至意を深体せよ。此れを欽めり。

光緒十九年十月


02. 2010年11月06日 17:13:12: zPhFUqU58o
たしか外交官だった孫崎 享氏も尖閣諸島の領有問題棚上げの経緯についての認識に問題があるというような発言をしていたように記憶している。
前原氏は領有問題についてのご自身の認識を説明する必要がある。

もし当時の棚上げ問題の引き継ぎを受けておらず、単なる無知によって引き起こしたのがこの一連の事態なのだとしたら。まさに世界から笑い者にされているのは、前原大臣一人ではなく日本政府が笑い者にされているということになる。


03. 2010年12月28日 16:55:22: FZgGiDbYMh
転載

日本人学者が考証「釣魚島は古来より中国の領土」

外交部の姜瑜報道官は先日行われた中国外交部の定例記者会見において、注目を集める釣魚島の帰属を証明する歴史的資料をめぐり、「この問題に関心のある人は『尖閣列島-釣魚諸島の史的解明』という本を読まれるといい」と述べた。同書の作者である、著名な歴史学者の井上清氏(京都大学教授)は本の中で、釣魚島を最も早くに発見し、管轄下に置いた国は中国であり、釣魚島は古来より中国の領土であったことを明確に指摘しているという。

  日本の著名な歴史学者である井上清氏は1972年、「尖閣列島-釣魚諸島の史的解明」を発表、その後中国語版が出版され、1996年には再び書名を変えて中国で再出版された。

  井上氏は同書の序言の中で、「1971年11月、私は初めて沖縄を旅した際、釣魚諸島に関する多くの歴史的資料を収集した。1972年初旬、西欧旅行の機会を利用し、英国海軍資料館で英国海軍の描いた中国南部・台湾・琉球の海図、航海日誌および探検記録を閲覧した」としている。

  同書の第3章では、「周知の通り、釣魚諸島は明朝以来中国の領土である」とし、「日本および琉球には1867年よりも前には、中国文献からの引用無しに、独自に釣魚諸島に言及した歴史的文献が1つも無い。これは偶然とは言えない」としている。

  琉球や日本の状況とは違い、中国には釣魚諸島に関する文献資料が数多く残されている。

  少なくとも16世紀中旬には、釣魚諸島は「釣魚島」、「黄毛嶼」、「赤嶼」など、中国語の名前を持っていた。

  年代がはっきりしている文献としては、1534年に中国福州から琉球に渡り、明朝皇帝の冊封使、陳侃が書いた「使琉球録」がある。

  また、陳侃とほぼ同じ年代を生きた胡宗憲が編纂した「?海図編」からは、少なくとも16世紀には、釣魚諸島は中国の領土だったことが証明される(1561年の序文が記されているため)。

  

  同書の巻一「沿海山沙図」に、福建省羅源県、寧徳県沿海の島々についてのことが記載されている。その中に、「鷄籠山」「彭加山」「釣魚嶼」「化瓶山」「黄尾山」「橄欖山」「赤嶼」は西から東へと並んでいるとある。これらの島は福州より南の海上にあり、台湾の基隆海から東に向かって並んでいるとされているため、間違いなく釣魚諸島が含まれている。

  井上清氏は1913年に四国高知県に生まれ、1936年に東京帝国大学文学部国史科を卒業。

  1961年より京都大学史学部の教授を務めた。史学家として、日本の学術界において重要な地位を持つ人物だ。

  中国社会科学院日本研究所副所長高洪:彼は日本で影響力を持つ史学家の中で、事実を尊重し、釣魚諸島が中国に属すると主張した唯一の人物だと言える。(編集SN)

  「人民網日本語版」2010年9月16日


04. N.・H 2011年2月18日 15:42:41: kS/Sf3G.XFHVY : qVufMNM0Ps
日本政府の主張は日本領土であるとして、1894年以降の経過を説明しています。これは他の資料の詳細は他に譲るとして、尖閣の領有問題では、中国側の主張には大きな難点があるのではないか。中国政府は少なくとも今の中華人民共和国成立以来、22年にわたり(その前、清朝、中華民国から75年という見方もあるが、現在の中国でみて)、日本が領有、ないしは実質的に日本人が利用するなどしていた間、尖閣の領有問題に関しては沈黙し、ようやく1971年12月になり正式な政府声明がを出している。この点は日中両国の論争で中国側の致命的マイナスだと思います。この間1953年の人民日報は尖閣が日本領であると説明、また幾つかの中国の地図も尖閣を日本領内に記載している。中国側も事実上、日本領と認識していたのではないか。歴史上の記載についても中国側の主張は、日本人学者の井上清の議論を最初から取り入れて議論しているように見えます。公平に見て領有権問題では中国側に大きな無理があるのは確かだと考えます。
その中でケ小平の棚上げ論の提起については、当時の日本外務省も、日本の領土である以上、棚上げというような問題ではないとマスコミへの回答で反論していたはず。日本は公式には棚上げを受け入れてはないのは、前原発言が言う通りなのではないか。しかし、日本外務省は、対中外交の配慮から、事実上、棚上げ論に乗って、触らないようにし、また日本の主張も強く宣伝しなかった。その間に中国側は自国内での宣伝に始まり、台湾、香港の活動家の尖閣奪取運動に暗黙の支持を与え、国内では領海法を制定し、尖閣もその対象とし、軍事的にも防衛する対象と規定した。こうして日本が側が、事実上、対中関係の配慮から愚直に棚上げをしている間に、中国の「沈黙22年の外交的マイナス」が大きく回復され、今では実効支配する日本に事実上迫るまでも、外交バランスを得るまでになったというのが真相ではないか。
先の植草論の前原批判はあながち否定はしないが、さらに日中間の根幹にかかわる、領有権問題を探求した上での大きな視点からの議論がほしいものである。
現在の小問題からこの問題を論じても解決にはならないだろう。民主党への批判をするために、国際上のさらに大きな問題を矮小化しての議論が最近の批評家にしばしばみられるのは残念です。(N・H)、

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