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「尖閣ビデオ」のネット流出が物語るものは
特殊法人 / 2010年11月05日
今朝、テレビのスイッチを入れて目をこすった。なんだ、なんだ。先日、国会議員のみで「秘密」に見たはずの海上保安庁による撮影の中国漁船衝突シーンのビデオがテレビで流れているではないか。昨夜 インターネットサイト『YOUTUBE』に6つのファイルが公開され、44分にわたって巡視船三隻から撮影された映像がネットを通して拡がった。
まだ判らないことだらけだが、海上保安庁幹部は「映像は本物」としている。ビデオは、海上保安庁、検察庁が同時に保管しているものでトータルでは3時間になるものだという。すると、どういう場面をセレクトして44分をピックアップしたのか、アップされていない映像に重要なシーンはなかったのかも検証が必要だ。
外交上の判断で政府が「ビデオ公開」を、条件付きで国会議員のみとしてきた「7分近くの映像」をはるかに超えるサイズの映像を誰が何のために流したのか。政府の判断で「外部流出厳禁」扱いをしていることに批判、不満を持つ人が「ネット公開」に踏み切ったのではないかと想像するが、今の段階では判らないことが多すぎて、不確実な情報をもとに断言するのはやめておこう。
今日の流出事件で「中国漁船衝突のシーン」を撮影した海上保安庁の映像を中国も含めた世界中の人が見ることが出来るようになった。この映像を見る限り、中国漁船が海上保安庁の船に当たってきたという姿が見て取れる。「流出した映像」はまたたく間に既成事実化し、テレビで放映をされている。
そして、このネット上の映像が海上保安庁撮影のものであるのなら、政府は「ビデオ映像を公開しないという判断をしてきた理由」について、きちんと説明するべきだろう。また、流出した44分間はどのような部分なのか、まだ出ていない部分にどのような映像があるのかについても十分な説明が必要だ。そして、「公開しない」という「これまでの外交上の判断」が正しかったのかどうかは、批判・意見を甘受するべきだと思う。
自衛隊や海上保安庁が撮影したビデオで、もし「公開」したら大きな波紋を呼ぶだろう映像が、政府の判断を飛び越えて流出するという事態は、シビリアンコントロール(文民統制)の問題に発展する可能性がある。政治の統制力・統治機能が瓦解していく過程だとまではこの段階では言い切れないが、仮に刑事事件として捜査された場合に世論の動向にふりまわされる事態も予想出来る。
補正予算審議入りの最中に、「北方領土ロシア大統領訪問」に続いて、「海上保安庁ビデオのゲリラ公開」と、イライラさせるようなことが続いている。今日は、歴史が大きな山を超えるターニングポイントとなるかもしれない。あまり確定的なことを言わないようにしながら、今日の受け止め方を綴ってみた。
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