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TTPに加入し、真っ正直に関税完全撤廃と輸入自由化すると、農業が崩壊する。意外な事に、現在の関税は肉類・酪製品と麦を除いて手数料程度の低率か無税である。
次の輸入関税率はWTO加盟国対象である。➊農水産物:米0%、麦65円/kg、牛肉38.5%、豚肉361円/kg、鶏肉11.9%、酪製品25%、野菜3.5%、豆3.5%、魚3.5%、➋衣類10.9%、➌工業製品ほとんど0%
米国が問題としているのは関税率ではない。米麦などの輸入を政府関連機関が窓口となって一括輸入したうえで国内に赤字流通させている仕組みにある。
輸入機関の赤字は結局税金で賄われている。しかし米国やEU各国も様々な農業補助金を出して農業を保護し、あるいは多額の輸出補助金を出している。
日本方式が非難され、米欧方式が大手をふるってゆけるなら、日本も仕組みを切り替えればよい。それが農家収入個別補償を含む農業保護政策であったはずである。
今すぐTTPに加入しないと、これから始まる農業保護や労働者保護および特許著作権保護などのルール作りに参加できないという。しかし、そういう各種の国内保護ルールの検討・施行・適正化が国内で全く進んでいない。参加しても意見も言えず、NO.の繰り返しになるだろう。
今から後悔しても始まらないが、1年前に小沢政権が誕生し、農林水産業の個別補償を本格的に開始し、山のように出るだろう不公平を修正する経験を積んでいたら、今からのTPP参加は何とかなったと思う。
特に問題は、日本特有の地形に生かされてきた農業(結果、林業と沿海漁業も)のあり方をどのように保存するか、そのためにTPPにどのような保護ルールを入れるべきかである。
典型例は、段々状水田である。森を照葉樹から杉に植え替えただけで、水害が増加し、旱魃に対応する力が減少し、水道水の水質が悪化し、沿海漁業も不漁になる。段々状水田はそれをかなり防いでいる。
大規模農家に集約することも必要であるが、平野の少ない日本では大陸の大平原に太刀打ちできるはずはない。かといって、農業を平野部だけにして大規模化すると、水害、水道、漁業に悪影響が出て、持続可能な農業と水産業にはならない。
「耕して天に至る」‥‥日本農業は小規模農業である宿命がある。日本で生活しようとする企業もこの宿命を受け入れて、農業と工業の妥協点を見出す努力を経団連はすべきである。その努力をしないで、前原誠司と同じ発言をすることは、共生の大地たる日本列島に住む資格がない。
TPPに参加するとしても、中国と一緒に参加すべきである。胡錦濤政権は行過ぎた工業化が膨大な人口の農家を苦しめ、将来は国家存亡すら心配しなければならないと認識して、一昨年から農業保護と育成を政策に掲げて実行している。その政策は、TPP交渉において日本の助けとなる政策もあり、少なくとも苦労と悩みを共有できる。また、その苦労は東南アジア各国にも役立つと思う。
持続可能で最低限の食料を安保する農林水産業の在るべき姿が、長年の輸出工業立国優先で崩れている。
韓国はFTAを多数の国と結ぶことによって輸出が増加し貿易収支が改善した。しかし韓国は高い輸入関税をかけてきたから、FTAを結ぶ相手国にメリットがあった。
しかし、日本はすでに低関税なので、撤廃したところで、相手国にさほどのメリットはない。前原誠司や経団連の発言は自己中だけでなく不勉強である。
日本列島の地形と気候条件で持続可能な農林水産業の姿を描き出して議論し、その実現のために必要な食糧安保ルールを、中国などと協力して、TPP議論に提案すべきである。
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