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中国とロシアが領土関係で大攻勢を仕掛けてきた。沖縄・尖閣諸島絡みの中国の傍若無人ぶりに加え、ロシアのメドベージェフ大統領は1日、同国指導者として初めて、日本固有の領土である北方領土・国後島を訪問した。中露による狡猾な日本包囲網。菅直人首相は口先で「遺憾だ」とは発言するが、明確な外交戦略はない。「弱腰・無策外交」が、両国を完全に増長させたのか。
「歴史的に深刻な事態だ。戦後65年間、日本の政治や外交が築き上げてきたものが崩れ去った。日本の国力低下に加え、菅民主党政権の脆弱(ぜいじゃく)さにロシアがつけ込んできた。日本が抗議しても、ロシア側は『理解不能だ』と相手にする気もない。このままでは、中国に尖閣諸島も取られかねない」
こう語るのは、元駐レバノン日本国特命全権大使で作家の天木直人氏。脆弱さの具体例として、「外交には国民のコンセンサス(=合意)が不可欠なのに、菅政権は沖縄・尖閣沖での中国漁船衝突事件のビデオ映像すら国民に公開できない」と指摘する。
メドベージェフ大統領は1日午前、極東サハリン(樺太)を経由して、国後島を訪れた。現地では、地熱発電所や水産加工場などを視察。「ここでの生活はロシア中央部と同様に良くなる」と語り、その後、ツイッターでも「ロシアには何と美しい場所があるのだろう」と感想を記した。
今回の訪問計画が突如浮上したのは、菅政権が中国の「恫喝外交」に屈し、中国漁船衝突事件で逮捕していた中国人船長を処分保留で釈放した(9月25日)直後。前原誠司外相は「訪問すれば両国関係に重大な支障が生じる」と懸念を表明していたが、ロシアはそれを完全に無視した。
そもそも、ロシア連邦議会は7月、北方領土の不法占拠を正当化するため、9月2日を「対日戦勝記念日」とする法案を可決していた。
日本は1945年8月15日、ポツダム宣言を受諾して降伏したが、ソ連(ロシアの前身)は降伏後の同月18日から千島列島侵攻を開始し、南樺太や北方四島を占拠した。国際法上、日本降伏後の軍事行動は認められないが、ロシアは9月2日を対日戦勝記念日とすることで、「それまで戦争(戦闘)は続いていた」と主張したいのだ。
北方領土や満州への不法侵攻にあたり、ソ連軍が略奪や暴行強姦、虐殺など、あらゆる反人道行為をくり広げたのは歴史的事実。その後、武装解除に応じた日本兵ら約56万1000人(厚労省調べ)が極寒の地・シベリアに連行され、過酷な強制労働に従事させられた。
日本人捕虜の死者は約5万5000人(同)とされる。
ロシアによる北方領土の実効支配強化は、日本人にとって許し難いが、政治・外交不全を狙ったロシア外交は腹立たしいほど巧妙だ。尖閣問題をめぐって、日中両国の緊張が高まっていた9月末、メドベージェフ大統領は訪中して胡錦濤国家主席らと会談し、第二次大戦終結に関する共同声明に署名した。この際、両国首脳はこう発言している。
メドベージェフ大統領「歴史をねじ曲げようとする勢力がいるが、われわれは大戦の真実を主張していかねばならない」
胡主席「国家の核心的利益にかかわる問題で相互支持を堅持すべきだ」
つまり、北方領土で中国がロシアを支持する見返りに、尖閣諸島ではロシアが中国の主張を受け入れた。弱体化した日本や菅政権を尻目に、歴史の歪曲を押し通す共同戦線が構築されたのだ。
日本の主権の一大危機に、菅政権は、前出のように前原氏が口先で牽制するだけで、何も対抗措置を取らず、「APECの直前でもあり、メドベージェフ大統領は日露関係を悪化させることはしない。北方領土に行かないだろうと甘く考えていた」(外務省筋)という。
屈辱的な外交失態を前に、「影の宰相」こと仙谷由人官房長官は1日、「これで決定的にどうこうということはない。私はその程度に考えている」と語った。危機感の欠如と無責任体質。そんな批判の高まりを受け、前原外相はようやく2日の記者会見で「近く河野駐ロシア大使を一時帰国させる」と表明した。
日中、日露関係の裏を長く取材してきた大宅賞ジャーナリストの加藤昭氏は「相手の弱みにつけ込むのが外交の要諦。中露両国とも善意が通用するような相手ではない」といい、こう続けた。
「2年半前、ロシアは国後島の滑走路や港湾を約1000億円かけて整備した。北方領土では年間約2000億円もの水産資源がとれるうえ、原油や天然ガス、金などの埋蔵が確認されたからだ。現状では、ロシアは100%、北方領土を返さない。日本は本来、中露両国を離反させるような外交をすべきだが、菅政権にはそうした知恵も能力もない」
天木氏も「ロシアや中国の対応が確実に強硬になっているのは、両国が『民主党政権は外交力が弱い』と見ているから。日米同盟が機能しているかもポイントだ。(主権を守るためには)強力な政権をつくるしかないが、『このままではダメだ』『民主党政権を代えよう』という危機感もない。日本は中露両国と対抗できない」と語る。
約100年前、日本の指導者らは「坂の上の雲」を目指して、大国・ロシアと対峙した。菅首相には、その気概の欠片も感じられない。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101102/plt1011021645002-n1.htm
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