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政府は10月24日の臨時閣議で、「円高・デフレ対策」と称して、歳出規模4兆4292億円の今年度補正予算案を決定し、29日に国会に提出、これからやっと「審議」することになる。しかし、今回の補正予算案は「出づるを量って入るを制す」(国民新党代表・亀井静香氏)という補正予算の本来の在り方からほど遠く、また、景気浮揚効果はほとんどゼロである。
エコノミストの植草一秀氏が10月26日のブログで指摘しているが、税の自然増収分を歳出に回したとしたとしても、景気浮揚効果はない。政府支出が増えたとしてもその分、「自然増税」で国庫に帰るだけだからだ。また、歳出のある項目で政府支出を増やしたとしても、別の項目で歳出を減らせば、これまた実質的な政府支出の増加はゼロで、景気刺激効果はない。
この観点から今回の補正予算案の裏付けとなる歳入構成をみると、()税の自然増収分(税収見積もりの上ぶれ分。財務省が緊縮財政を組むため、今年度の税収を過小に見積もっていた可能性もある)2兆2470億円(2)日銀に採らせた超金融緩和政策による長期金利の低下で節約した国債費の減額1兆4313億円(3)決算剰余金からの繰り入れ8124億円−が主だ。つまり、景気浮揚効果のない税の自然増収分と歳出削減分が合わせて3兆6783億円あり、補正予算案の規模からこれを差し引くと7509億円しかない。財務省が平成21年度の決算剰余金1兆6247億円全額を出すならまだしも、それもけちった。国内総生産(GDP)の押し上げ効果は高々0・2%。まさに、「スズメの涙」だ。
長期デフレ大不況の最中にドル安・円高に直撃され、米欧諸国から為替介入も止められている経済非常事態の今、本来なら建設国債、特例国債(赤字国債)を大規模に発行して真水で10兆円規模の景気対策(GDP押し上げ効果は2%程度)を打ち出すべきところだ。しかし、財務省は「財政危機」を煽り、建設国債は発行させない。また、特例国債(赤字国債)の発行は予算関連法(特例法)案を作り、臨時国会で成立させなければならないのだが、参院は野党勢力が制しているため、特例国債を持ち込むと実質的に補正予算案が成立しなくなる。
そういうことで、菅直人政権は、何の効果もないのに「円高・デフレ対策」と称して補正予算案を作り上げ、ポーズを見せているだけに過ぎない。そこで今回、消費税増税路線と同じように唐突に持ち出してきたのが、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だ。環太平洋諸国圏内で関税を大幅縮小ないし撤廃すれば、自由貿易域内の貿易は大活性化し、日本の新たな経済発展の原動力になる、というわけである。
しかし、輸出するだけなら「近隣窮乏化政策」になるし、輸入も大幅に促進するというなら、供給が大幅に増えてデフレ不況が一層深刻化する。また、長期自民党政権下で衰退の一途を続けてきた第一次産業(特に、農業)が壊滅的打撃を被り、日本社会が動揺する。前原誠司外相ははっきり言って農業切り捨て論を展開しているが、「生身の人間の臓器を取り除くようなもの」(亀井氏)だ。そもそも、輸出で経済を活性化させようなどと言う発想は、過去の遺物ではないのか。
今は、戦後長らく続いてきた輸出製造業依存の経済構造を抜本的に転換すべき時だ。そのためには、民間設備投資を引き出すための大規模な社会的共通資本拡充投資が不可欠である。財務省依存の菅直人政権の経済「政策」にはただただ、呆れるばかりである。
(ポン太)
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