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一国民目線で検察審査会の在り方を問う(1)
2010-11-01 18:53:28
先日東京地裁と東京高裁は小沢氏側からの判決前の議決効力停止と今後の手続きの仮差し止めの申し立てを却下棄却したが、地裁の却下理由は検察審査会は準司法機関であり、行政機関ではないので審査会の議決は行政訴訟の対象とならない、よって起訴の有効性は刑事裁判の手続きで争うべきだとの主旨である。東京高裁も地裁の理由を踏襲して小沢氏側の即時抗告を棄却した。それに対して小沢氏側は10月26日に最高裁に特別抗告したとメディアは報じたが当然であろう。
東京地裁が言うように検察審査会が準司法機関なのであれば、1回目の起訴相当の議決には無かった告発事由が2回目の起訴相当の議決書に新たに加筆されて強制起訴されるようなことはあり得ない筈であり、また憲法第31条(何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。)に照らしてもあっては成らない筈である。しかし現実はこのような理不尽な告発事由が議論の俎上に挙げられ、11名の審査員の心証が起訴相当に傾いたことは十分考えられ、これが準司法機関としての検察審査会の実態であるとすれば背筋が寒くなる思いで、とても準司法機関として体を成しているとは思われない。その杜撰さは10月22日号の週刊朝日で郷原弁護士(元検察官)も「議決は問題だらけ」と指摘しているとおり、強制起訴という強権を認めるには不完全で欠陥のある準司法機関と言うべきではなかろうか。
ところでこのように問題だらけと評され、準司法機関として体をなしていない検察審査会を管轄しているのは次のホームページからも明らかなとうり各地方裁判所である。
http://www.courts.go.jp/kensin/
その地裁を管轄する最上級の組織は最高裁判所であり、当然検察審査会の管理運営を司る司法行政の最終責任も最高裁にあるはずである。因みに最高裁の組織図を見れば、「司法行政部門」という組織があり、その傘下のいずれかの組織、例えば事務総局の傘下にあるどこかの組織が地裁を通して検察審査会に関わっていないことには東京地裁も検察審査会は準司法機関とは断言できない筈である。
http://www.courts.go.jp/saikosai/about/sosiki/index.html
今回東京第五検察審査会がこのような不当な議決で強制起訴したことは、逆に裁判所の検察審査会に対する司法行政の在り方も適切であったか否かが問われているのであり、当然小沢氏側の行政訴訟も東京第五検察審査会に対する裁判所の司法行政事務の在り方を問うているはずである。それを東京地裁は検察審査会は行政機関ではないとの理由で却下したことは、機関の属性を問うているのではなく、司法行政の在り方を問うていることを無視した問題のすり替えで、詭弁であり木を見て森を見ずの判定である。
ところで上記のとうり最高裁判所の組織の中に司法行政部門という組織があるということは、当然ながら裁判所には裁判や裁定の仕事だけでなく、司法行政の仕事があるというなによりの証左であり、検察審査委員会(準司法機関)もまた同じなはずである。とりもなおさず素人集団である検察審査委員会が検察審査会法の規定から脱線しないようにガイドするのは裁判所出身の検察審査会事務官や検察審査会事務局長の重要な役割で司法行政そのものであろう。
にもかかわらず、2回目の起訴相当の議決書に1回目の議決書には無かった起訴事由が新たに加筆されるような不当なことが発生したのは、まさに検察審査会事務官や検察審査会事務局長の検察審査会に対する司法行政事務に落ち度があった何よりの証左ではあるまいか。因みに検察審査会法施行令第29条2項1と3項1には次のような規定がある。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23SE354.html
第29条:最高裁判所の指定する検察審査会の事務局に、総務課及び審査課を置く。
2 総務課においては、左の事務をつかさどる。
@検察審査会の庶務に関する事項
3 審査課においては、左の事務をつかさどる。
@審査事件の処理に関する事項
以上のように検察審査会事務局に検察審査会をつかさどる権限か義務のようなものが規定されているということは、それに併せて下記の検察審査会法第20条にも照らしたときに、検察審査会事務官や検察審査会事務局長の人事権をもつ最高裁判所の検察審査会事務局に対する指導監督責任は免れないのではなかろうか。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S23/S23HO147.html
検察審査会法第20条:各検察審査会に最高裁判所が定める員数の検察審査会事務官を置く。
2、検察審査会事務官は、裁判所事務官の中から、最高裁判所が、これを命じ、検察審査会事務官の勤務する検察審査会は、最高裁判所の定めるところにより各地方裁判所がこれを定める。
3、最高裁判所は、各検察審査会の検察審査会事務官のうち一人に各検察審査会事務局長を命ずる。
4、検察審査会事務局長及びその他の検察審査会事務官は、検察審査会長の指揮監督を受けて、検察審査会の事務を掌る。
また上記20条4項には検察審査委員から選ばれた検察審査会長が検察審査会事務局長やその他の検察審査会事務官を指揮監督すると規定されているが、法律や司法行政に疎く、6ヶ月毎に任期交代する検察審査会長(素人)が専門家である検察審査会事務局長や検察審査会事務官を指揮監督する事は実務上は不可能であろう。
そうなると下記の検察審査会法第6条6項、12項の規定で裁判所の職員と弁護士は「検察審査員の職務に就くことができない 」との規定は有名無実化し、実質は検察審査会長の指揮監督を受けることなく検察審査会の事務を掌(つかさど)っていることになり、結局国民から選ばれた審査員で構成されている検察審査会を仕切っているのは実質的に検察審査員の職務に就くことができない司法行政に長けた裁判所からの出向職員(形式的な検察審査会事務官)と法律のプロである弁護士(審査員補助員)ということになりそうである。その結果、検察審査会法第1条冒頭の審査会の目的を規定した「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図るため・・」とは一体何ぞやということになり、その目的も有名無実化されているのではあるまいか、と言うことである。
第6条:次に掲げる者は、検察審査員の職務に就くことができない。
6、裁判所の職員(非常勤の者を除く。)
12、弁護士(外国法事務弁護士を含む。)及び弁理士
(2)につづく
http://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/3deb498108f5515c9287a9618cf750a1
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