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実態がナゾだらけ「検察審査会」メンバーはホントに存在するのか?週プレNEWS
[2010年11月01日]
東京地検特捜部が、民主党・小沢一郎氏を不起訴処分にしたのは、今年2月のこと。4月には一般市民からなる検察審査会の1回目の審査が行なわれた。その議決を受けて検察は再捜査したが、嫌疑不十分でまたもや不起訴処分に。しかし、検察審査会は引き下がらず、9月に2度目の審議を行ない、今度も「起訴議決」を出した。
小沢氏を起訴へと追い込んだ検察審査会、そのナゾだらけの実態を、週プレ記者が追った!
平均年齢をめぐるふたつのナゾ
検察審査会で「強制起訴」が決まり、民主党・小沢一郎元代表が法廷に出るのも時間の問題となった。
それにしても、強制起訴にいたる検察審の対応には、いまだ釈然としないものがある。その最たるナゾが、この事件を担当した東京第5検察審査会メンバーの平均年齢にまつわる一件だ。
強制起訴の議決を公表した10月4日、審査会事務局は検察審メンバー11人の平均年齢を「30・90歳」と発表。
すると、「審査員は選挙人名簿から選ばれるはずなのに、平均年齢が若すぎるのでは?」という指摘が殺到したため、事務局は再計算の結果を「33・91歳」と訂正した。その理由は「37歳の審査員の年齢を足し忘れて、10人の合計年齢を11で割っていた」というもの。
しかし、ここでも事務局はミスを犯す。37歳を含めて再計算しても「33・91歳」にはならないのだ。その理由について事務局は、「最初に公表した『30・90歳』がそもそも間違っておりました」と答えている。
最終的に「34・55歳」に落ち着いたのは、当初の発表から実に10日もたってからだった。検察審査会は、11人の審査員の平均年齢を出すのに、10日間もかけていたことになる。
問題はそれだけではない。
「2度の修正はお粗末すぎますが、それだけなら単純な『事務的ミス』で済んだはず。問題は、計算し直された平均年齢が、なぜか半年前の1回目の議決のときと同じ数値であること。1回目と2回目で審査員メンバーが替わっているにもかかわらず、『34・55歳』という数字がピタリと一致しています。こちらの計算では、そんな若いメンバー構成が2度も続く確率は0.1%以下。これはあまりにも不自然です」(全国紙政治部記者)
こんなことが起こるには、メンバーが実は1回目とまったく同じか、あるいは意図的に年齢の近い人をそろえたのか……いずれにせよ検察審の運営上、問題があることに間違いない。
検察審査員OBのA氏が言う。
「今回の小沢検察審は、あまりに透明性がなさすぎます。平均年齢の公表で初歩的なミスをしたのだから、せめて審査員11人全員の性別や年齢だけでも公開すべきです。メンバーが入れ替わってるはずなのに、平均年齢が同じになるなんて、何かあるんじゃないかと勘繰ってしまいます」
てなわけで、この審査会の運営を担当した東京第一検察審査会・総務課の手嶋健課長を直撃した。
――平均年齢が小数点以下までそろうなんて、やっぱり間違いなんじゃ?
「いいえ。その後、課内の職員全員で検算していますので、間違いはありません! 若すぎるのでは?と言われましても、たまたまそうなったとしか言いようがないんです」
だが今回、「小沢を起訴すべし」の議決を下した審査員について、事務局が公表しているのはこの平均年齢のみ。
――せめて、審査員の年齢と職業くらい公表してもいいんじゃないの?
「こちらで把握しているのは選挙人名簿に記載されている氏名、住所、生年月日のみ。その中から何を公表するかは審査員たちが決めることなので、こちらから教えることはできません」
でも、37歳の人がいることは公表したわけでしょ? なのに、他の人の年齢は公開できないの? それとも37歳は審査員が「公表していい」と決めたわけ?
――だいたい、審査員は国民を代表して会議に参加したわけでしょう。それなら、われわれにだって知る権利はあるはずでは?
「私たち事務局はすべて審査会の決定に従うことになっていますので……」
検察審査員は、いるのか、いないのか?
――では、審査員の選び方は?
「くじです。パソコンでワンクリックすれば結果が出てきます」
――クリック一発で?
「裁判所が管轄する自治体の有権者名簿からパソコンを使ったくじで、毎年秋に翌年一年分の候補者400人を選びます。ただ、通知を受け取っても70 歳以上や学生、過去5年以内に審査員や裁判員を経験した人などは回答書で『辞退したい』と申し出て、こちらの資格審査を通れば辞退することもできます」
――資格審査は誰が?
「前任の審査員です」
――審査員? ってことは、一般人が審査員を選んだわけですか?
「そういうことになります」
――その資格審査は何をもって候補者を絞り込むのですか?
「通知と一緒に送付する質問票への回答で判断します」
――ぜひその質問票を見せてください。
「それはちょっと……手元にないので見せられません」
――審査方法も審査基準もわからない。せめて、審査員の肉声を知りたいので議事録を見せてください!
「議事録といったものはつけておりません。会議の実施日時や参加者を記録する会議録ならありますが……」
――議事録がない! てことは、審査員の誰が何をしゃべったか、一切記録に残っていないってこと?
「そうなります」
――えーっ! 重要な資料になるはずの議事録を残していないなんて。
「それは検察審査会法に明記されておりませんので……」
――誰が何をしゃべったかなんてどーでもいい話だと……。じゃ、会議は何月何日に計何回行なわれたの?
「それも答えられません」
審査員の顔も見えなければ、声も聞こえてこない。議事録もなければ,会議の開催日程もわからない。こんな審査会に小沢氏は裁かれたのか……。
――そもそも、手嶋さんは審査員の姿をその目で見たんですか?
「あの日、廊下ですれ違った人が審査員だったんじゃないか、と」
――はぁ!?
「ただ、選任された審査員にはそれぞれ『検察審査会法に則り、公平・誠実に審査を行ないます』と宣誓してもらい、宣誓書も提出してもらいます。その際、宣誓書を受け取った担当者がいます」
――ぜひ、その人に会わせてください!
「それはできません」
――なぜですかっ!?
「担当者には会わせられません」
――じゃ、会議がどこで行なわれたのかも……教えてもらえませんね?
「そのとおりです。教えられません」
――審査員はホントにいたの?
「いた……と思います」
――思いますって(苦笑)。その審査員に足はありましたか?
「……」
審査員の実像を求めて事務局に乗り込んだものの、結局2時間のやりとりの末にわかったのは、審査員の要望の名のもとに、「何も教えられない」「見せられない」という事実だけだった。そもそも、なぜ彼ら(事務局)はこれほどかたくなにすべてのことを隠そうとするのか? 前出のA氏が言う。
「私が数年前に担当した詐欺事件にかかわる案件で、審査の途中、実際に捜査に当たった検察官の説明を聞く場面がありました。話に迫力があり、それもあってか、その後の会議は検察寄りに流れていったのを覚えています。一方で被疑者側の話を聞く機会は一度もなく、『これで本当に議決を出していいのか』と真剣に悩んだものです」
まさか審査員を“ある方向”に誘導している……? 密室の中でそんなことが行なわれていることを隠すために、事務局は審査員の姿を見せまいとしているのか? そう疑われても仕方がない。
http://wpb.shueisha.co.jp/2010/11/01/919/
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