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2010年10月31日(日) 06時49分48秒
「前原次期首相」をめぐるアメリカと中国の圧力合戦
菅改造内閣(仙谷政権)が発足してから、日本は奇妙な調和を保っているようだ。
「底値安定」というか、菅、仙谷には期待していなかった人も多かっただろうから、その分、批判も和らいでいるというか、あきらめというか。
まるで、嵐の前の静けさのように、そのダメさ加減を当たり前として、受け入れてしまっている。
そんな空気があるのではないか。
民主党が企業献金を継続して受け入れることを決めても、事業仕分けが単なるパフォーマンスで、結局、埋蔵金や天下りの禁止に具体的に踏み込まなくても、「どうせ、そんなものだろう」とあきらめている人は多いのではないか。
尖閣諸島沖での衝突事故の対応も、まるで以前の偽メール事件のように、何が事実で、何が嘘かもわからないまま、判断は那覇地裁が行ったからと、これだけの外交問題にしたあげくに逃亡し、今度は、2時間以上あるテープを7分に編集して、国会に提出するだのしないだのもめている。
まさしく、偽メール事件とそっくりになってきた。
こんな対応だから、余計に中国との関係もこじれるし、なめられるし、アメリカには利用されるし、国内では石原都知事がテレビ番組で、中国漁船は海に落ちた海上保安庁の職員を銛で突いていたと放言するし、一人死亡したのではないか、という情報まで出回ってしまう。
それにしても、不思議なのは景気だ。
ここまでの円高(ドル安)になっても景気が本格的に壊れないのもどうしたことか。
日本の輸出産業がアメリカ一辺倒からずいぶんと多方面への輸出に変わってきたということか。
それとも、あまりに景気が悪すぎて、90年代後半以降の大阪経済のように、景気の悪さが当然となってしまっていて、これ以上、悪くなりようもなく、やはり「底値安定」してしまったということなのか。
そうした中で、六本木では尖閣諸島沖の衝突事故をめぐるデモが3,200人規模で行われ、また先週は、検察の暴走に抗議し、小沢一郎の地位保全を求める1,000人規模のデモが銀座で行われている。
いよいよ、安保デモ以来、日本の民衆も、はじめて直接的な示威行動に出始めているということである。
まさに嵐の前の静けさか。
さて、あきらめの中で、存続しつづける菅政権(仙谷政権)の最中、歴史的に見たときに、ひとつのターニングポイントになるのではないか、という大きな問題が浮上している。
それは、
「日本の次期首相をめぐるアメリカ、中国の圧力合戦」
である。
もちろん、アメリカとしては、民主党内の従米勢力の代表格である前原誠司を次の首相にしたい。
どういう力関係が働いたかわからないが、前原誠司は、国交大臣としてたいして仕事もしないままに、いきなりこの9月から、次期首相候補としてのキャリアを積むべく外務大臣に就任した。
当然、マスコミとしても、アメリカの意向を受けてか、前原を次の首相にすべくキャンペーンを行っている。
これだけ外交的な失点を重ねながらも、表立っては批判をしないし、また、主要メディアが行う次の「首相にふさわしい人」としても、マスコミは前原誠司の名をトップにもってきている(一応、世論調査ということになっている)。
小泉が、前原のことを「首相候補」と持ち上げたことで、話題になった2年前(2008年4月)の会合も、今にしてみれば、顔ぶれをみると、民主党内の従米派が顔をそろえていることに気づく。
文芸春秋の過去記事 によると、
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日本経団連前会長・奥田碩(トヨタ自動車相談役)と小泉がよびかけた自民・民主・財界人の会合が開かれた。自民からは、元防衛相・小池百合子、元沖縄北方担当相・茂木敏充、民主からは、前代表・前原誠司、元幹事長代理・玄葉光一郎、元政調会長・仙谷由人が出席。
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ということだから、仙谷、前原、玄葉と、コイズミ一派の接近ということは、この頃から出来上がっていたということか。
さて、もちろん中国としては、アメリカが再び日本支配を強化して、自国の封じ込めを図っていることを黙認しているわけではない。貿易額としては、相互に1位の関係になっているわけで、また、時間の経過とともに、日本はアメリカではなく、中国の影響下に取り込まれることになるということは、彼ら自身もよくわかってはいるだろう。
とはいえ、アメリカとの関係維持を中国も、本来は望んでいるわけで、どのタイミングで、日本を勢力圏に取り込もうかということは、まさに神経戦で、今回の前原誠司という政治家をめぐる処遇が、その代理戦争になりつつあるのではないかと思うわけだ。
以下は、最近の前原誠司のおかれた立場、またアメリカ、中国の思惑を示す、典型的な二つの記事である。
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前原・クリントン会談、日米同盟強調し中国をけん制
【10月29日 AFP】前原誠司外相とヒラリー・クリントン米国務長官は27日夜、ハワイで会談し、日米同盟関係を再確認するとともに、中国からの輸出が滞っているレアアース(希土類)の供給源多角化を目指す方向で一致、外交問題における中国の最近の強硬的態度に連係して対処する姿勢を示した。
会談後の共同会見でクリントン長官は、「(日米)同盟は、アジア太平洋地域における米国の戦略的関与の基軸」と言明。数十年間にわたって域内の平和を支え、両国の繁栄をうながしてきたとの考えを示した。一方の前原外相は、日本の防衛において2国間協力を確認するためさらに協議を深化させたいと述べた。
両外相はまた、さまざまな「周辺事態」に対処していく必要性に触れた。
中国が領有権を主張している沖縄県尖閣諸島(中国名:釣魚島)についてクリントン長官は、日本人記者の質問に答え、日本の領土への攻撃に対する米国の防衛義務を定めた「日米安保条約第5条の範囲に尖閣諸島が入ることを、再度明確にしておきたい」と明言。「日米同盟は、米国が世界各地で結んでいる同盟関係の中でも最も重要なものの1つだ。日本国民を守るわが国の義務を重視している」と続けた。
ハイテク製品などの製造に不可欠なレアアース(希土類)の供給源については、中国が輸出をほぼ独占している状況から脱却し、中国に代わる供給源を開拓する重要性をともに強調した。(c)AFP
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事業仕分けの中、アメリカに前原は出かけていって(呼び出されていって)、思いやり予算の削減はしないことは当然として、一方で、アメリカの中国牽制の全体戦略のうえに乗っかっているというわけだ。
(本当にアメリカは、尖閣諸島の防衛をする気があるのかは、かなり疑わしいが)
もうひとつは次の記事である。
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前原氏は「トラブルメーカー」=外相更迭を要求−中国系香港紙
【香港時事】中国系香港紙・文匯報は30日の社説で、前原誠司外相を「中日関係のトラブルメーカー」と非難し、日本政府に更迭を要求した。別の中国系紙・大公報の社説も前原外相を両国関係改善の「障害物」と決め付けた。
香港の中国系メディアが外国閣僚の解任を求めるのは異例。両紙は中国共産党中央の指導下にあり、これらの社説は同党内で前原外相を敵視する意見が増えていることを示している。
文匯報は前原外相について、(1)9月7日に尖閣諸島近海で海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突した事件で、海保を管轄する国土交通相として漁船船長の逮捕を主張した(2)同事件で中国側の反応を「ヒステリック」と中傷した(3)日中間で尖閣の領有権問題を「棚上げ」したことを否定した−などと指摘。「日本政府が外相を更迭しなければ、日中関係の改善は難しい」と主張した。
両紙はいずれも前原外相個人を集中的に批判し、菅直人首相や日本政府全体への非難は避けている
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こちらは中国の立場である。
前原を次の首相にすえようとするアメリカの思惑を十分に理解しているわけで、仮に前原が首相になった場合、靖国問題を政治利用するなどして、中国に対する対立世論を煽り、そして、アメリカの日本における利権を維持拡大するという、コイズミが行ったことと同じことをするのではないか。
そこを中国はよく分かっている。
よって、まず、前原の政治生命をつぶすために、今回の一連の問題は、前原の責任にあるとして、クビをとりにきているのだ。
もちろん、中国の強みは、相互に貿易高が一位となった経済的な結びつきであり、ここを中国が強硬な態度にでれば、日本の財界があわてはじめ、それが政権への圧力となることを計算しているはずである。
さて、私たち日本人は、こうした状況をどう捉えればいいだろうか。
大国にはさまれた小国が、次期後継者をめぐって、それぞれの大国から干渉を受けるというのはよくあることである。
19世紀には、朝鮮支配をめぐって、日本と清、またはロシアが干渉をつづけたし、20世紀の冷戦時代には、東西陣営のどちらにもつかない国をめぐって、アメリカとソ連が激しく主導権争いを行った。
一方で、当の日本がこのような状況におかれるのはいつ以来のことだろうか。
歴史上、振り返っても、ちょっと見当がつかない。
幕末においては、フランスが幕府を支援し、イギリスが薩摩を支援するという状況は確かにあった。
それでも、ここまで露骨に政権のゆさぶりや、次期首相候補の扱いをめぐって、大国の思惑に左右されるのは初めてのことではないか。
それはすなわち、政治力、軍事力も含めた、大枠での「日本の国力」の衰退を意味し、また、今の政府不在に似た状況が拍車をかけている悲しむべき状況である。
もちろん、小沢一郎のように、国民のための政治を標榜し、アメリカの属国から抜け出ることで、「普通の国」となることで、アメリカ、中国とも互角に渡りあうことを目指した政治家もいる。
しかし、アメリカによる傀儡統治が戦後長引いたことで、検察や、マスコミなどに見られるように、いわゆる「売国勢力」というか、外国に媚を売ることで、自らの保身につなげてきた勢力が、我が国を支配している現実もある。
彼らが、アメリカの思惑や、官僚権力に歯向かう勢力を、抹殺してしまうのだ。
ただ、とはいえ、時代は動いている。
私たちは、2010年代は激動の時代を迎えるかもしれない。
その時に、我が国のことは、我が国民が決めることができるような国にするために、国民自身の意識を高めていかねばなるまい。
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