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メディア / 2010年10月31日
石井紘基衆議院議員が刺殺された10月25日から8年が経過した。
昨夜、テレビ朝日『ドキュメンタリ宣言』で大野記者が長期間にわたって独自に取材を進めてきたことが放送された。内容的には、必ずしも「新事実」が明らかにされたわけではないが、「動機は個人的怨恨」との供述で法廷の場も通した伊藤白水受刑者が、「頼まれた」「デタラメを言ったのは、依頼した人の顔を潰すことになるから」と面会で明らかにしたということは衝撃的な証言だった。
この事件には、あまりにも謎が多い。昨夜の番組も多面的に取材を重ねてきたので、ほとんどについて言及している。(「再.放送は、BS朝日11/1の27時(11/2の午前3時だそうなので、是非見ていただきたい) だが、番組でカバンに入ったいた資料の行方を何度も話題にしていたが、石井さんの背広の内ポケットに入っていた「衆議院手帳」も消えているのである。この手帳があれば、本人しか知らない面会・行動予定が明らかになるはずだ。
警察の捜査は、「こうあってはならない」という見本のような捜査だった。現場保存、指紋採取さえ十分に行なっていない。どうやら、警視庁捜査1課ではなくて公安部が捜査したようだ。国松長官狙撃事件が暗礁に乗り上げたように、公安部が捜査に乗りだすとロクなことはない。警察の捜査が公安部だとすると、東京地検公安部の責任も大きい。死後、8年。なぜ、石井さんの死の真相は「闇」のままに封印されているのか。
警察・検察は、「犯人の個人的怨恨で社会的・組織的背景なし」という枠を自らつくり、現場から消えていた「翌週の国会質問の資料」「衆議院手帳」などの捜査をまともにした形跡がないからだ。従って、裁判所も「怨恨という供述を到底信用することは出来ない」として判決に納得しがたい遺族の気持ちをおもんばかった。「司法」に大きな期待を寄せていた遺族にはむごい話なのだが、警察・検察の捜査に「社会的・組織的背景なし」という前提条件が付されている以上は、法廷で新事実が出でくる可能性はほとんどない。
石井紘基さんは衆議院東京6区(世田谷区)で旧日本新党から当選し、自由連合、新党さきがけを経て、民主党に移り当選(3期)を重ねていた。石井さんは元は、社会党書記局につとめていて『社会新報』の記者だった。その後に、社民連に参加し長らく事務局長をしていたと聞いている。私は、石井さんより遅れて当選し、98年から同じ選挙区(東京6区)を舞台に活動してきた。だから、地元の行事など土日は一日に何度も顔を合わせて、新年会シーズンなどは深夜まで地元の商店街の会合でカラオケを歌ったこともある。国会でも、石井さんの活躍した決算行政監視委員会で一緒だったから、共に過ごす時間は相当にあった。
事件後、民主党は「党を挙げて徹底して真相解明する」と内外に宣言した。当然のことで、どんな調査結果が出るのかに注目していたが、残念なことに「党を挙げて調査したかった」という気持ちの表明以上のものはなされなかったようだ。調査の対象になるはずだった石井さんの議員会館にあったダンボールは、ほとんど手つかずのままに遺族の下に返ってきた。その様子を見て、私は2003年衆議院法務委員会で事件について質問をしている。
この質問の中には、私自身の記憶の中にわだかまっている「謎」がこめられている。石井さんが暴漢に襲われたのは、2002年10月25日午前10時半に自宅前である。10時36分には、110番通報がされている。衆議院の運転者が犯行の一部始終を見ていた。凶行を終えた犯人は、悠然と現場を立ち去ったと言われている。
私はその日、翌日に訪米して平和集会でスピーチをするために、議員会館で苦手な英語のレッスンを受けていた。そこに、テレビで「石井議員刺される」のスーパーが緊急ニュースとして出てきたから驚愕した。その衝撃もさめやらない頃に、私の携帯電話が鳴った。
「保坂さん、伊藤白水という男を知っていますか」
石井議員が救急搬送されて「絶命」したかしないうちに、永田町の新聞記者の間では、翌日に出頭逮捕される人物の名前が流れていたのである。これが、昨夜のテレビ朝日が取り上げることのなかった大きな謎のひとつだ。国会議員が襲撃されて殺されるという異常事態の上に、翌日に犯人として出頭してくる人物の名前が、事件直後に政治記者の間に拡がったとしたら、どんな事実が推測出来るだろうか。
「襲撃殺害計画を事前から知る立場」「襲撃殺害するならこの人物しかいないという確実な情報を持っている立場」「襲撃殺害したと関係者からの電話などで報告を受けた立場」などが考えられる。自首してきた被疑者の名前は報道されるから誰でもわかる。でも、この事件では事件直後で犯人逃走中の早い段階から「名前」が流れていたのである。
この点を私は国会で指摘した。誰からどのようにして「名前」が流れたのかも「捜査対象」だと考えたからだ。8年前に国会内にいた記者なら誰でも知っていることだが、この件が新聞・テレビで報道されたことはない。議事録の関連部分を添付することにする。民主主義が日本にあるなら、先の選挙で、大量に当選した民主党所属議員の誰かが、真相究明の作業に乗り出すはずである。その誰かに期待したい。
【補欠会員コメント】
以下、長くなるので2003年10月13日衆議院法務委員会に於ける保坂展人氏の質問と政府答弁(議事録)は割愛します。(下記アドレスに載っています)
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政権交代の良いところの一つに、旧政権時代の不都合な点や違法行為が暴きだされること、又はそれらが是正されることが挙げられます。民主党政権もスタート時はそうした期待感を抱かせていましたが、今や自民党以上に自民党的でまったく期待感ゼロになっている。信じられない変わり様だ。
民主党内反主流派は再クーデターを起こして、党分裂、政界再編に突き進むぐらいの気概を持って欲しい。
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