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株式日記と経済展望
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皮肉なことに米中両国はいま、双子のようにそっくりな問題に直面
し始めている。失業問題は米中にとっての自爆装置になっている。
2010年10月31日 日曜日
◆米中を襲う危険な罠、危うし世界経済 10月30日 川嶋 諭
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4760
太平洋と東シナ海に面して日本と向き合う世界の2つの超大国は、まるで鏡に映したように対照的な姿を見せている。
しかし、皮肉なことにその両国はいま、双子のようにそっくりな問題に直面し苦悶し始めている。
中国の問題とは、内陸部で頻発し始め一向に収まる気配を見せない反日デモである。
これが外交カードに使ったり共産党内部の権力闘争のために使ったりするための完全にコントロールされたデモであれば何の問題もない。
しかし、実態は全く異なるようである。「対日デモ鎮火せず、内憂外患の中国」の筆者であり、中国政府の要人とも深いパイプを持っている加藤嘉一さんは次のように言い切るのだ。
「野党や軍人が胡錦濤国家主席、あるいは、軍事委員会副主席に就任したばかりの習近平氏の邪魔をしたという事実を立証するための証拠を持ち得ない」
「説明可能なのは、中国共産党のガバナンス力が著しく低下しているという事実だけである」
なぜならと加藤さんは言う。
「昨日(10月16日)の対日デモは合法的な行為と認めるが、本日以降の一切のデモ・集会は違法行為とみなす。仮に行った場合には、法に基づいて粛々と処罰する」
このような通達が最初に反日デモが発生した西安の西北大学に「中央政府から地方政府、公安省というルートを通じて届けられた」という。
◆中国政府は2日目以降の反日デモをすべて違法と通達した
さらに、この通達は西安の西北大学だけではなく、中国全土の大学にも同様の通達があったと加藤さんは明かす。
つまり、反日デモは初日こそ中国当局は合法と認めたものの、それ以降のデモはすべて違法だったということになる。
にもかかわらず中国全土にデモが飛び火して拡大の一途をたどったのは、まさに中国政府のガバナンスが利かなくなっていることの証明だというわけだ。
中国政府もデモ鎮圧には必死になっている。発生した反日デモには、参加者と同じくらいの警官隊を派遣して警備に当たらせている。
さらに、大学に対しては厳しく指導し、大学そのものを閉鎖して学生が大学外に出られないようにしたり休日にも授業や試験を行って、学生がデモに参加できないようにあの手この手の手を打っている。
しかし、それでもデモが鎮静化しないのは、違法となったデモへの参加者に対して中国政府が厳罰をもって対処できないという大きな問題が立ちはだかっているからである。
◆学生たちを厳しく処分できない中国政府の事情
インターネットの書き込みをすぐに消したり大学へ厳しく学生を監視させたりしても、その監視の目をかいくぐってデモが発生してしまえば、あとは学生たちやそこに加わる一般市民たちが過激化、暴徒化しないように制御してデモを安全に終わらせることしか打つ手がなくなるのだ。
もし、デモに参加した学生たちを厳しく処罰しようものなら、学生たちの不満に一気に火がつきかねない。そして、そもそも中国共産党は先の大戦で抗日戦争で勝利したことが存立基盤になっているために、反日デモを否定する理由を持ち合わせない。
つまり、抗日、反日は水戸黄門の葵のご紋が入った印籠のようなもので、これを目の前にかざされた以上、どんな役人であってもひれ伏さなければならない。
その安心感があるからこそ、言論の自由が許されていない中でも、たとえ当局からの通達があっても、デモへ参加しようという学生たちが絶えないのだ。(中略)
◆目の前しか見えないティーパーティー運動家
米国経済の低迷で失業率が跳ね上がった影響を最も受けて不満がたまっている。その矛先は自分たちよりも所得の低い人々に向かい、オバマ大統領が医療保険法改正などで低所得者の保護を打ち出したことを批判しているのだ。
ティーパーティー運動は1773年のボストン茶会事件に由来し、自主独立、小さな政府を志向する。米国の建国の精神を何よりも大切にする。
そして、ティーパーティーの運動家たちはオバマ大統領を社会主義者と決めつけ、米国を建国の精神と逆行させようとしていると批判する。
米国型民主主義の原理主義者と呼んでいいかもしれない。そうした人々の活発な活動に共和党が呼応して、来週の中間選挙では共和党の大躍進が予測されている。
しかし、「有権者がオバマ医師を訴えている理由」を書いた英フィナンシャル・タイムズ紙の超人気記者、マーティン・ウルフ氏は、オバマ大統領がリーマン・ショック後に採った財政出動は間違いではなかったと言う。
◆オバマ大統領の失敗は石橋を叩きすぎたこと
問題はその規模が小さすぎたために十分にショックを吸収できなかったのだと見る。
本来はもっと大胆に施策を行うべきで、オバマ大統領が石橋を叩いて渡ってしまった結果、米国の景気は本格回復する前に失速、デフレの危機に陥ってしまったと指摘する。
その理由として、日本がバブル経済に沸いていた1980年代に米国が経験した不動産バブルの崩壊と比較してみせている。
当時、消費者に無理な貸し出しを続けて不動産バブルを招き、そしてバブル崩壊で相次いで破綻したS&L(貯蓄貸付組合)に対して行った救済策に比べて、今回はショックがはるかに大きかったにもかかわらず、救済コストをケチってしまったというのである。
◆米国はデフレへの道をひた走るしかなくなった?
ティーパーティー活動家をはじめとする米国民の多くは、リーマン・ショックで世界全体が大恐慌に陥る危険性にあったことなどこの2年の間にすっかり忘れてしまい、今、目の前に広がっている失業率の高さを徹底的に問題にする。
その結果、オバマ政権は、現在、米国がデフレに陥るという世界を揺るがす危機にあるにもかかわらず、大きな政府への批判を恐れて、十分な経済対策が打てなくなってしまった。
米国が最も懸念していた日本と同じデフレの道を自動的に選択せざるを得なくなっているように見えるとFT紙は言うのである。これは明らかに歴史的、世界的な危機だ。
もし、米国が日本の後追いを始めて、失われた10年に突き進んでしまったら、世界経済はどうなってしまうのだろう。
英国のウィンストン・チャーチル元首相の有名な言葉に、「民主主義は最悪の政治形態である」というのがある。確かにリーダーシップの欠如した民主主義は最悪の形態といえる。
(私のコメント)
90年代から00年代にかけて、米中経済は同盟関係とも言うべき親密な関係になった。アメリカは製造業を中国に移転させて、安いコストで製品を作ってアメリカ国内で売りさばく経済モデルを構築した。アメリカのグローバル企業はそれで大きな利益を手にして株価も上昇して行った。
中国もアメリカからの資本投資と技術に移転で経済発展して、GDPで日本を追い抜いて世界第二位の経済大国になった。まさに米中の共存共栄体制は大成功で、アメリカはバブル景気に沸いて、中国は北京オリンピックと上海万博で経済的成功を世界にアピールした。
しかしそれらの成功はアメリカのグローバル企業と中国共産党幹部だけに利益を独占させるものであり、アメリカの製造業の労働者は失業し、中国の労働者は超低賃金で働かされた。それらの歪みが一気に表面に出たのが08年のリーマンショックであり不動産バブルの崩壊だ。
アメリカのグローバル企業と金融業は中国のおかげで大儲けをしても雇用は減る一方になり、金融のファンドマネージャーは1億円以上の年俸で優秀なエリートたちは金融業に集中するようになった。しかしリーマンショックで多くの人が失業した。お金でもってお金を稼ぐモデルはいつかはネズミ講のように破綻する。
中国の労働者も、貧しい農村から出稼ぎで稼いで平均賃金も3000ドルを越えるようになってきた。しかし豊かになったのは共産党幹部たちであり地方のボスたちであり、行政の許認可権で賄賂をもらって愛人を10人も囲うような豪勢な生活を送るようになった。不動産投資で巨額の利益を手にした人も大勢いる。
しかし、経済的な歪みが出てくるのは時間の問題であり、地域格差も拡大する一方で内陸部では不満が高まってきた。反日デモが起きているのは内陸部だけであり、反日デモに名を借りた反政府デモである事は明らかだ。政府はデモ自体を禁止したが反日デモになると中国人は抑制が効かなくなり暴走してしまう。
中国共産党にとっては反日デモが自爆装置になりつつある。江沢民から始まった当初は反日が共産党にとっての求心力になっていた。それまで脅威だったソ連が崩壊すれば、それに代わる敵国が必要であり日本が敵国として浮上した。
アメリカにおいてもソ連の崩壊で敵国を失い、ソ連に代わる敵国として日本が矢面になりジャパンバッシングが始まった。しかし同盟国を敵国とする経済戦略は日本においてアメリカ離れを誘発する事になる。だからブッシュ政権になってからはテロを敵国にしてイラクやアフガニスタンで戦うようになりましたが、イスラム諸国全体を敵にしかねない危険な戦略だ。
アメリカや中国やロシアのような多民族が集まった連合国家は常に敵国を必要としている。日本は国境が海であり単一言語や単一民族で国家としてまとめる苦労が少ないが、米中ロは一つにまとめる苦労は並大抵ではない。だから日本としてはこのような超大国と付き合うには敵になったり味方になったりと外交も大変だ。
アメリカも中国も新自由主義経済で格差拡大で国民の間でも対立が生じている。双方とも失業者が増え続けて政権を揺さぶる事態になっていますが、中国が生産してアメリカが消費すると言う循環が止まり始めている。アメリカも製造業を復活させないと失業者を吸収できないし、中国も輸出頼みの経済でアメリカと対立関係になってきた。
日本のようにアメリカに工場を作って雇用を生み出せば摩擦も解消されますが、中国にはこれと言ったグローバル企業が無い。いわば世界の下請工場ばかりであり独自のブランドがほとんどない。中国はGDP世界第二位となった現在では国際的な枠組みに従う必要がありますが、国内の反発があってそれが出来ない。
アメリカも国内消費の拡大をさせるためにドル札をばら撒いていますが、デフレを解消する事は出来ないだろう。金融というシステムが信用不安で収縮する一方だからだ。消費が減れば景気が落ち込み失業者が増大する。失業者の増大は財政の負担になるからティーパーティーの反乱が始まる。
失業者や社会的弱者救済のための社会主義的な政策にNOと言う人たちですが、医療保険制度にも反対する人たちだ。日本やヨーロッパの国では社会主義的な政策が進んでいますが、アメリカや中国のような超大国では社会主義的な政策が難しい構造を持っている。ソ連は社会主義国として社会主義政策を進めてきましたが91年に破綻した。
多民族国家では国民皆で助け合いましょうと言った社会主義的な政策が難しい。国土も広ければ民族も多様では国民の税金で弱者を救済するといった政策が難しい。経済が好調なうちはいいが、いったん経済が不調になると国内対立が生じて、中国もアメリカも大変な状況になりつつある。
小泉構造改革の失敗はアメリカ型の新自由主義経済を取り入れようとしたことであり、弱者救済システムが機能不全になってしまった。その批判が民主党政権の誕生に繋がりましたが、年金や健康保険制度は赤字で苦しんでいる。しかしアメリカのティーパーティーのような弱者救済に反対するような運動は起きていない。
日本やヨーロッパの国から見ればアメリカや中国は異質な国であり、遠い将来的には国家が分裂して行くだろう。そうしなければ社会主義的な政策もうまく機能させていくことが出来ない。アメリカは盛んに日本に対して移民を受け入れろと言ってきますが、多民族国家化は社会主義的な政策がとりにくくなる。弱者である少数民族が生活保護で暮らすようになってしまう。
アメリカや中国は格差がますます拡大していって、内部対立がますます過激化するだろう。そうなれば国家が分裂して格差の少ない国家にして行かなければならない。中国も豊かな沿岸部と貧しい内陸部とに国家は分裂していくのだろう。内陸部に生じている反日デモはそれに繋がるものだ。
『株式日記』ではアメリカと中国は抱き合い心中するだろうと書いてきましたが、内部崩壊でソ連が崩壊したような形で分裂して行く。ロシアにしても国家としては大きすぎるのであり、再分裂の危機が生じている。チェチェン紛争などが良い例ですが、民族対立のために社会主義的な政策がやりにくいからだ。
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