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仙谷官房長官のナイーブな中国観と小室直樹氏の逝去(杜父魚文庫ブログ)
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投稿者 そのまんま西 日時 2010 年 10 月 29 日 23:16:20: sypgvaaYz82Hc
 

仙谷官房長官のナイーブな中国観と小室直樹氏の逝去(杜父魚文庫ブログ)
阿比留瑠比 2010.09.30 Thursday name : kajikablog


昨夜は政治部の歓送迎会があったため、きょうは二日酔い気味です。そろそろ、本気で酒を控えないと、命取りだなと思いつつ、夜になるとつい…。さきほど書店に立ち寄ったところ、好きな漫画、ベルセルクの最新刊(35巻)が発売されていたので早速購入しましたが、一杯やりながら読むと余計に楽しめるし…ああ心は千々に乱れます。

それはともかく、本日午前の定例記者会見で、仙谷由人官房長官が沖縄・尖閣諸島沖の漁船衝突事件に関し「中国様はあまりお変わりになっていない」という認識を示して、反省の弁を述べたので紹介します。あまりに中国に対する見方がナイーブなので笑ってしまいました。少なくとも、これまでの日本の対中外交から何も学んでこなかったということがよく分かります。

記者会見では、某社の記者が仙谷氏が13日の記者会見で「(船長を除く)14名と船がお帰りになれば、また違った状況が開けてくるのではないか」と楽観論を述べていた点についてただしました。私も13日にその部分を聞いて、ずいぶんと甘いことを言うなと感じたのでよく覚えていました。

「お帰りになれば」、ねえ。それで、きょうは仙谷氏は、そのときの判断についてこう悄然と語りました。いつもは強弁とすり替えで誤魔化すことの多いこの人にしては珍しく素直な口ぶりでした。

「多分、これでいいんだろうと。というよりも、中国側も理解してくれるだろうと、ある種、判断をしておったわけですが、やっぱり司法過程についての理解がまったくここまで異なるということについて、もう少しわれわれが習熟すべきだったのかなと思います。もっと言えば、『20年前ならいざ知らず』という気分が、私にはありました。つまり、司法権の独立とか、政治・行政と司法の関係というものがこの間近代化されて、随分、変わってきているなあという認識を持っていたんですけども、そこはあまりお変わりになっていないんだなあと改めて考えたところです」

…まあ、今さら遅いですが、本当に反省をして中国への見方を改めたのなら、全く無反省であるよりはマシですね。それにしても、なぜ仙谷氏は中国に対しては「お変わりになっていない」などと敬語を使うのか。昨日の記者会見でも、東シナ海のガス田、白樺付近で中国の海洋調査船がうろついていることについてこう述べました。


「まあ、周辺にいらっしゃるということは確認をしているようです。」


いったいどんなトラウマから、中国の船にまで敬語を使うような精神状態に陥っているのか分かりませんが、いやはや不思議です。よほど恐ろしい目にでも遭ったのか。それとも、深く心にしみこんだ何かのコンプレックスがそうさせているのか。

それで、全然違う話なのですが、今朝の朝刊に社会学者の小室直樹氏の訃報が載っていました。小室氏といえば、ソ連崩壊を予測した「ソビエト帝国の崩壊」など数々のベストセラーを書いた人であり、私も大学生のころに著書を片っ端から読んだ記憶があります。中には、「これはちょっと…」というものもなくはありませんでしたが、該博な知識と独特の理論に基づく一本筋の通った論はとても勉強になりました。

たまたま、以前何かの折に職場に持ってきてそのままになっていた小室氏の著書「これでも国家と呼べるのか」(クレスト社、平成8年刊)が手元にあるので、追悼の意を込めて少しそこから引用します。

《日本人はまだ「土下座外交」の本当の恐ろしさを理解していない。国際慣行上、みずから謝罪するとは責任を取ることである。責任を取るとは補償に応じることである。このとき、挙証責任はこっちに押し付けられてしまうのだから、相手の言いなり以外にどうしようもない。(中略)

国際法上、講和条約またはそれに該当する条約(例、日中共同声明、日韓基本条約など)を結べば、それ以前のことは一切なかったことになる。もはや賠償の義務はない。それなのに、日本のほうから謝罪したので、一切が蒸し返されてしまった。佐藤内閣の日韓基本条約や田中角栄が周恩来に賠償を放棄させた日中共同声明など、せっかくの努力がみんな無駄になった。》(第一章 謝罪外交は国際法違反)

《「歴史観」は個人の内面の問題である。権力がこれに介入することは絶対に許されない。これ「デモクラシー」の、いやそれよりずっと前の「リベラリズム」の鉄則ではないか。個人の内面の「歴史観」に、外国の権力者が介入し、これを必ず改めさせる。これ、日本を属国(植民地)視したことである。いや、属国視しただけではない。奴隷扱いしたことでもある》(第二章 誰がデモクラシーの敵か)

《大蔵省銀行局は、アメリカの法律も慣行も知らなかった。ルールに反して、大蔵省は、大和銀行から不正の報告を受けながら、米当局に六週間も通告を怠ったのであった。通報を怠ったことに関する榊原英資国際金融局長の説明が、日本の金融機関と当局の信用を泥土に落とした。榊原局長は通報遅延の理由説明で、何と、「日米の文化の違い」に言及し、「対米連絡の遅れについては不適切な措置は何もなかった」と述べた。(中略)

この「文化の違い」という説明は、大蔵省(特に国際金融局、銀行局)が、自由市場について何も知らないことの告白である。自由市場においては、完全情報が前提である。何の法律もルールもなくても、それは当たり前のことである。それと正反対の解釈をして、通報を遅延させるとは。これは文化の差ではない。自由市場の何たるかを知らない白痴的無能ぶりが招来させた結果にほかならない。(中略)

ちなみに、この榊原英資という男、昭和六十年、理財局国庫課長として「昭和天皇在位60年記念10万円金貨」発行を画策した人物である。だが翌年に発行された金貨の原価は4万円。販売価格の10万円とは6万円の差があった。日本経済バブル化第一号の事件を起こした犯人だが、ここに逸早く着目した海外の偽造団は偽金貨を大量に偽造。結局、大蔵省でも見通しが甘かったということで、改修策を講じることになった。だが、この大事件を犯した榊原は、国際金融局長に上りつめ、日米交渉の最高実務責任者となっている》(第六章 ただちに、大蔵省を解体せよ)

…ちょっと引用が長くなってしまいましたが、快刀乱麻を断つかのような小室氏の文章がもう読めないかと思うと残念です。謹んでご冥福をお祈りいたします。

杜父魚文庫

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コメント
 
01. 2010年10月30日 09:37:19: jGj6xs9gII
小室直樹は旧ソ連が崩壊することを的確に予測したこと、刑事被告人になった田中角栄を感情的になってでも擁護していたこと。このあたりは記憶にとどめておくべき。

他の誰もがそんなことは出来なかった。


02. 2010年10月30日 10:43:37: 3S8W0YP3xw
> 国際法上、講和条約またはそれに該当する条約(例、日中共同声明、日韓基本条約など)を結べば、それ以前のことは一切なかったことになる。もはや賠償の義務はない。それなのに、日本のほうから謝罪したので、一切が蒸し返されてしまった。佐藤内閣の日韓基本条約や田中角栄が周恩来に賠償を放棄させた日中共同声明など、せっかくの努力がみんな無駄になった。》(第一章 謝罪外交は国際法違反)

全く同感する。

日韓基本条約の関係諸協定、日韓請求権並びに経済協力協定(1965年6月22日)
(財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定)では
http://www.cc.matsuyama-u.ac.jp/~tamura/nikkannkyoutei.htm
第2条
@ 両締約国は、両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産、権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題が、1951年9月8日にサン・フランシスコ市で署名された日本国との平和条約第四条(a)に規定されたものを含めて、完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。
ーーー

と明記されているにも拘わらず、岡崎トミ子は慰安婦に対する日本の謝罪と賠償を求める戦時性的強制被害者問題の解決の促進に関する法律案の主な提案者の一人であり、ソウルで元慰安婦関係者が行う日本大使館へ対する恒例の抗議行動(通称水曜デモ)に参加(大使館の公用車で送迎)、「国費を利用しての反日デモ参加」した。

岡崎トミ子
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E5%B4%8E%E3%83%88%E3%83%9F%E5%AD%90

菅直人は彼女の今後の活動に期待して、2010年9月、菅改造内閣において国家公安委員長兼消費者・食品安全・少子化・男女共同参画担当大臣として初入閣させた。

民主党は、菅直人首相や仙谷官房長官を筆頭とする国際法違反の謝罪外交をする人々の集まりであり、仙谷官房長官だけがナイーブと言うわけではない。

これは、民主党の代表選では、在日韓国・朝鮮人にも投票権があり、民主党は実質的に在日韓国・朝鮮人に日本の首相に対する投票権を与えている事からも分かる。


03. 2010年10月30日 11:12:47: co8v739Imc
阿比留瑠比・・・
「国を憂い、われとわが身を甘やかすの記」
http://abirur.iza.ne.jp/blog/entry/1820394/

>田中角栄を感情的になってでも擁護

[引用][テレビ朝日モーニングショー生出演で] 「政治家は賄賂を取ってもよいし、汚職をしてもよい。それで国民が豊かになればよい。政治家の道義と小市民的な道義はちがう。政治家に小市民的な道義を求めることは間違いだ。政治家は人を殺したってよい。黒田清隆は自分の奥さんを殺したって何でもなかった」などと叫び、そのまま放送された。
ウィキペディア 「小室直樹」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E5%AE%A4%E7%9B%B4%E6%A8%B9

pandora.tv 「故小室直樹の本当の功績」 平成22年10月1日 宮台真司
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=w5ww555&prgid=39436234


04. 2010年10月30日 11:21:12: EJniQ3GxYY
知の巨星 小室直樹氏が逝去されたことは、残念でなりません。
田中角栄元首相を、当時、擁護された数少ない一人でした。

氏の優れた著書は、今後も多くの人に読み継がれるでしょう。


05. 2010年10月30日 21:30:25: FY85d2EJNU
小室直樹氏の著書に「痛快/憲法学」と言うのがあります。
私は、この本で民主主義や憲法などがキリスト教と密接な関係があることを知りました。本当に目から鱗の内容です。
今は「憲法概論」と言う書名で図書館に行けばあると思います。
小室先生は今の日本の閉塞状況(アノミー)を予見しておりました。
やはり教育が一番大事なのだなとつくづく思います。
中学・高校生には教科書より、この本を読ませるほうがよほどためになります。
(ただし、昭和天皇をあまりにも奉るのはちょっと引いてしまうが・・・)

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