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消費税増税論はもちろん、説明不足のまま前進するTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加や企業・団体献金の一部解禁−。よくよく国民を驚かすのが得意な菅政権だが、熱い期待を集めて歴史的な政権交代を果たしてから1年余り、改めて民主党のマニフェストなどを眺めてみると、多くは後退し、米国や中国との外交関係も悪化。中には、結果が180度違うものもあり、野党からは詐欺よばわりされる始末。「恫喝」や「開き直り」「先延ばし」だけでは、いつまでも通用しない。日本は大丈夫なのか。
「すべての力をもって特別会計に切り込んでいきたい。政官業癒着が特別会計の裏にあったのかもしれない。国民のためになっているか、という視点で仕分けてほしい」
蓮舫行政刷新担当相は27日、事業仕分けの着手にあたって檄を飛ばしたが、報道陣には悪い冗談にしか聞こえなかった。同日朝の新聞各紙には、民主党が「政官業癒着の温床」として、マニフェストで禁止を打ち出していた企業・団体献金の一部解禁が報じられていたからだ。
完全な公約違反。昨年11月のスタート時には、拍手喝采を浴びた事業仕分けだが、民主党の現状を示すかのように、東京・池袋の会場には空席が目立った。
政権交代から1年以上たつが、別表のように、民主党が昨年の衆院選などで掲げたマニフェストの達成状況は「遅延・停滞」というより、「詐欺的といった言葉がふさわしい」(自民党筋)との声まで上がる。
鳩山由紀夫前首相が「最低県外」と公言していた米軍普天間飛行場の移転は、今年5月、「沖縄県名護市辺野古への移設」で日米合意した。沖縄県民を裏切り、日米関係を悪化させた鳩山氏は翌6月に首相を辞任。当初、「次の衆院選には出ない」と語っていたが、最近になって突如、引退方針を撤回して批判を浴びている。
昨年の衆院選マニフェストには「国の総予算207兆円を全面組み替え」と大きく書かれ、節約額として9・1兆円(2013年の実現目標)とある。しかし、今年度予算の一般会計総額は過去最大の約92兆円で、新規国債の発行額は過去最大の約44兆円にまで膨らんでいる。
蓮舫氏が前面に立つ事業仕分けにしても、3兆円圧縮を目指した昨年の第1回事業仕分けは、結果的に約6700億円の削減のみ。自民党の小泉進次郎衆院議員に「民主党マニフェストを仕分け対象にしたらどうか」と皮肉られるほどなのだ。
この体たらくをどう見るか。「本当にガッカリ。企業団体献金も、事業仕分けも、すべてが期待外れ」というのは、経済ジャーナリストの荻原博子氏。
「自民党もひどかったが、期待しただけ民主党への失望は大きい。最大の原因は、菅首相に『この国をどうするか』というグランドデザインがないこと。このままでは、FTA(自由貿易協定)で先行する韓国に地位を奪われる。日本は滅びかねない」と、危機感をあらわにする。
政治評論家の小林吉弥氏も「佐藤栄作政権(1964年発足)以降、永田町を取材してきたが、これほどひどい政権はない。首相や閣僚らが自信過剰で傲慢になり、官僚も使いこなせず、浮遊している。年末には、内閣支持率は30%台以下の危険水域に突入しているだろう」と語る。
政権交代から1年、“自公政権”のせいにする閣僚・幹部の発言も多いが、責任政党として、まさに死に物狂いになる時期ではないか。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101028/plt1010281630003-n1.htm
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