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尖閣とは直接利害関係のない内陸部であいついで起こっているのが異様である。当初は上海閥につながる習近平を後押しするため上海ブループが裏で糸でも引いている疑いがあったが、その線は薄れたのではないかと思う。今回の中央委員会で習近平が軍事委員会副主席に選出されてもデモは激しさを増しているようでもある。
TBSが現地取材したところによると、「尖閣」のスローガンのほかに他のスローガンも少し混じっていたという。デモ解散後、参加者に取材しようとしたら、彼らはデモには参加していないと言い張った。彼らには「尖閣」の名を借りて日頃の憤懣をぶちまけている暗黙の連帯があるのではないかと思う。そのように答えたものもいた。ゆえに堂々と「尖閣デモ」に参加したと言えないのではないか。当局のチャックを恐れているのではないのか。
中国国内ではこれまでにも大規模な反政府暴動が頻発していた。ウロ覚えで言うと、地方当局の高官の息子が殺人か交通事故を起こしたのを警察がうやむやに処理しようとして暴動が起こった。農民が地方当局から勝手に土地を取り上げられて、それに抵抗すると暴力団まがいの男たちが出てきて、棍棒で手当たり次第になぐりつけた(その映像もTVに出た)。
今回のデモの参加者の多くが学生や若者だという。内陸部では仕事もなく、沿岸部との大きな格差もあり憤懣がうずまいているはずだ。「尖閣」の旗を掲げればさしあたり当局から容認される。このようなデモを繰り返しながら、機会をみて彼らの本当の要求を前面に出してくる可能性がある。
日本は中国国内のことを普段からよく研究しておくべきだ。少なくとも中国各地の情報収集をはかり分析を積み重ねていく。こんな仕事をこそ国家戦略局が行うべきで、その内容はたとえ政権が変わっても引き継いで行くべきである。
中国は口では尖閣の領有権を主張しているが、最近現われた漁業監視船は日本の経済水域ぎりぎりのところまでしか近付かないで去っていった。これにも重大な意味がある。
(やや古いが…)
「中国が反日を捨てる日」清水美和/講談社α新書‘06年から抜粋
<「反日」は政権の延命か>
・デモの発動や対応をめぐっても党指導部に重大な不一致がみられることを見逃してはならない。実は、こうした反日デモの発動そのものが、2020年までに農村を含む全国を「小康」(まずまずの生活水準)の状態に到達させるという、共産党大6回大会(2002年)の決定からの大きな逸脱であった。
・中国の共産党政権は反日で延命することはできず、逆に反日は改革。開放そのものの命取りにもなりかねないのだ。現在の指導部は改革・開放以来、30年近い体験を経てそのことを熟知しているはずである。
それにもかかわらず、外国資本で繁栄が支えられ、外資企業の看板が氾濫する沿岸の大都市で反日デモが激発するグロテスクな事態を、一体だれが望んだのか。
それは開放政策が損なわれるリスクを冒しても、こうした事態を出現させることで胡錦濤政権を窮地に追い込み、自らの政治目的を達成しようとした政治勢力にほかならない。…実際には共産党政権はもはや、一枚岩ではありえない。中国の市場経済化が進み、社会が多元化するのに伴い、党はさまざまな階層の利益を代表する政治勢力が相争う対立と調整の機関と化している。共産党に対する過去の思い込みに基づいて対中戦略を立てることは、それを根本から誤らせることになりかねない。
<反日活動家たちの「変臉(けん)」>
・中国の代表的全国紙で反日の論陣を張ってきたある記者は匿名を条件に、今回のデモには「法輪功や民主活動家、米CIAなどが関与した疑いがある」と語る。…彼らは一体何を恐れていたのか。それは反日デモの責任追及の背後に、日本政府以上に今回のデモを自らへの挑戦と受け止め、危機感を募らせ、その「黒幕」を追及しようとする中国トップの姿が浮かび上がるからにほかならない。
<江沢民の南京大虐殺記念館訪問>
・胡錦濤が自らの主導で対日関係を緩和させようとした1ヶ月の間に、中国では日本のマスコミがあまり注目しなかった重大な政治的事件が起きていた。それは5月4日に突然行われた前国家主席の江沢民による南京大虐殺記念館の訪問である。
2005年4月初めから始まった反日運動はこの記念日に全国で大規模なデモを展開することを呼びかけていた。このため胡錦濤政権は全国の党組織を通して一人一人の党員にデモに参加しないことを誓約させる徹底した抑制を行うと同時に、大量の公安部隊を動員してデモの封じ込めを図った。その当日に江沢民は南京大虐殺記念館を訪れたのである。
<反日デモの得失>
・(胡錦濤より1歳若い)李長春こそ、今回の反日キャンペーンを主導した党の宣伝部門の最高責任者である…。李長春が江沢民をはじめ上海グループの後押しを受ければ、政治局常務委員会で圧倒的な多数派を形成するし、日本への対応をめぐって民衆や党員の批判を胡錦濤政権が浴びるような事態になれば、最高権力を手にする道も開けていくのだ。
翻弄される日中関係
・実は党内に「二つの司令部」が拮抗する情勢に最も激しく翻弄されたのが対日外交にほかならない。中国現代史を振り返れば、「反日」を掲げた大衆行動が噴出するのは必ず、党の上層部に亀裂があったときである。
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