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先週23日土曜のTBS番組「報道特集」で、検察審査会のことを取り上げていた。この番組では、東京と大阪で、審査員を経験した人へのインタビューがあった。大阪の審査員経験者が顔を出しているのに対して、東京の審査員経験者は顔を出さず、胸から下の映像だけであった。その東京の審査員が盛んに「市民感覚」と言うのに、いささか違和感を抱いたのは筆者だけではないだろう。
もともと検察審査会に民意を反映させ、強制起訴を導入したのは、警察官が取調べ中に容疑者に暴力を振るった事件を検察が公訴しなかった。また、交通事故の被害者が死亡した時、加害者の言い分だけで、加害者を不起訴にした。このようなことが頻発したことにある。審査申立する者を、公権力による被害者とか、事故などで死亡した遺族と想定し、検察が、弱者を放置していないかをチェックすることにあった。
今回の小沢氏のケースのように、100人以上の検察官が1年半も捜査した結果、嫌疑不十分として、不起訴にしたケースは想定していなかった。従って今回、検察審査会法の不備と、その運用に問題があることが明らかになった。中でも、強制起訴の制度を導入したにも拘わらず、検察審査会の趣旨を明確にしていない処に問題がある。
裁判所のホームページに「検察審査会」に関するQ&Aがある。そこに、審査会の趣旨は「公訴権の行使に民意を反映させて,その適正を図ることです」と書いてある。これでは、分かったようで何も分からない。また、審査員は「法律の知識は必要ありません。ご自身の良識に基づいて判断していただければ結構です」とある。法律のプロから見れば、法曹関係者以外は全て「法律の知識」に欠ける者だ。従って、このような表現になることは理解できる。だが、この「良識」とはいったい何だろう。
検察による「公訴権に民意を反映させる」からには、審査員の「良識」の中に、最低でも、被疑者に対する「法の下の平等」、人権を保障する「罪刑法定主義」、有罪と判決されるまでは「推定無罪」など、法曹関係者にとって常識的なことを、審査員も持っていると考えたのだろう。そうでなければ「良識に基づいて判断」はおかしい。
テレビ番組を視ていて、特におかしいと思ったのは「疑わしきは罰せずというのが裁判所・検察官の考え方。市民感覚では、これだけ疑わしいのであれば、裁判ではっきりさせろ」という発言であった。たとえ審査員に法律の知識がなくてよいとしても、審査員が「疑わしい」と感じたら「お白州」行きになる。これではリンチ(=私刑)である。そして今一つおかしいと感じたのは「市民感覚」と云う言葉である。
ここで彼らが言う「市民」は、横浜市民とか大阪市民と言うのとは違う。むかし観た西部劇の名作「真昼の決闘」では、いざ悪漢たちが町に来るとなるや、主人公の保安官を応援しようともしない町の人々(=市民)の姿が描かれていた。また、ある西部劇では、無実の者をリンチしようとする町の人々に対し、主人公の保安官が、一人で立ち向かう。そう云う場面があった。
審査員は、抽選ではあるが、質問票に答えて多くの中から選ばれた者である。自分は裁判所から常識のある者と見做された。審査員の多くはそう自負している。だが、その実は、上に書いた西部劇に出てくる「町の人々」と、何も変わりはしない。顔を見せないし、名前も知られない。何を発言しても責任は無い。だから、テレビで顔を隠した審査員は「権力が強い人には厳しい判断が出ると思います」と発言できるのだ。
東京の顔を隠した審査員のこの発言は、小沢氏を起訴相当した議決を意識したもの。この発言は明らかに、「審査員が検察官の代わりに判断する」と言っているのだが、審査会の趣旨に反している。法律は、審査会に「公訴権」を与えていない。法律が審査員に求めていることは、検察が「不起訴とした判断」についての適否だけである。被疑者に擬せられた者が、疑わしいかどうかではない。
これからは起訴相当を議決する審査員は、「市民感覚」とか「国民目線」だとか、他人に責任を転嫁すべきではない。名前を出すことはないが、審査員11人の責任で議決すべきだ。
小沢氏に限らず、国会議員は選挙区の有権者から選ばれている。その有権者より、抽選で選ばれた法律に素人の11人の審査員が、密室でした議決が優先される。そのようなことが許される国は、民主主義国家とは決して言えない。
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