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東京新聞 筆洗
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2010102502000047.html
2010年10月25日
自民党時代よりも、前のめりになっているのではないか。政府や民主党内で武器輸出三原則の見直し機運が高まるのを見ていると、そんな不安を抱いてしまう▼多国間の武器共同開発に参加できなければ、最新の技術競争に乗り遅れ防衛力整備はコスト高になる。見直し議論の背景にあるのは、防衛産業や防衛省の危機感だ。共同開発に踏み切れば第三国への売却に歯止めがかけられるか不透明になり、三原則はなし崩しになる恐れもある▼憲法の平和主義に基づく「国是」ともいえる三原則は、地雷を除去するための探知機の輸出ですら、閣議決定を要する拘束力があった。その国是が民主党政権下でいま、揺らいでいる▼国連の軍縮大使だった猪口邦子参院議員は七年前、小銃や携帯ミサイルなどの小型武器を規制する国連の会合の議長を務め、非合法の武器の拡散防止を目指す最終報告を全会一致で採択した▼「困難な局面を乗り越えられたのは、三原則を持つ日本が議長国だったから」と猪口さんは語っていた。三原則を自らに課す日本は世界の軍縮をリードする資格がある。それを捨てることが「国益」にかなうとは思えない▼<理想主義のない現実主義は無意味である。現実主義のない理想主義は無血液である>と語ったのはフランスの作家ロマン・ロランだ。戦後四回目となる防衛大綱はこの年末に策定される。
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