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「負ける戦は戦わない」というのが首相・菅直人の「政治信条」のように見える。政権の「信任度」を占う北海道5区の選挙応援に選挙期間中一度も行かず、政党のリーダーとしての立場を放棄したかに見える。首相が「候補者を見捨てる」姿勢では閣僚もやる気を無くし、たるむ。行政刷新担当相・蓮舫に至っては、街頭演説で候補者の名前を間違えるという失態。民主党候補は負けるべくして負けたし、菅は自ら求心力低下を“選択”したのが実態だ。
選挙は少しでもおごりや油断があると勝てない。2月の長崎知事選がいい例だ。おごりにおごった民主党幹部が小沢以下応援したはいいが、利益誘導発言で選挙民を甘く見て敗北。落ち目の首相・鳩山由紀夫に退陣への追い打ちを掛けたが、今回も政権直撃型敗北だ。確かに菅は9月9日に代表選の札幌街頭演説会で候補者・中前茂之を壇上にのせ挨拶させている。まさかそれでいいと思ったわけではあるまい。いやいいと思ったのかも知れない。選挙の勝負は言うまでもなく12日の告示で選挙選に入ってからとなる。候補者側が敬遠した森喜朗は補選の応援に行けなかったが、今回は菅はまだ敬遠されていない。明らかに自分の意思で行かなかったのだ。
原因は何か。菅が尖閣事件のビデオを見ないことと同じではないかと思う。近ごろ菅は「逃げ菅」が高じて「閉じこもり政治症候群」とでも言うべき精神状態に陥っているのではないかと思われるほどだ。国のリーダーとしての役割を果たしていない。中国首相・温家宝との会談では焦点のゼネコン社員の解放を求めていない。何のための会談かという追及を国会で受けている。漁船衝突のビデオは見ていない。国会答弁は菅を名指しされたにもかかわらず官房長官・仙谷由人に任せっきりで、仙谷の迷走を引き起こしている。加えて小沢の国会招致も煮え切らない。そして今度の「負ける選挙には応援に行かない」である。総選挙で華々しく消費増税を打ち出した積極姿勢と様変わりである。
消費税の反発の大きさに、あつものに懲りてなますを吹いているのであろう。この菅の政治姿勢が閣僚に影響を及ぼさないわけがない。蓮舫の“国会ファッションショー”はその際たるものだが、蓮舫は応援演説でも中前を前にして「知名度が上がらないんです。古い政治のウミを洗い出すため助けてください」と言ったまではよかったが、「前原…あぁ、中前さんだ」と間違えたという。知名度は上がらないわけだ。
もちろん敗因は小沢強制起訴に象徴される「政治とカネ」に始まって、「戦後最大の対中外交の敗北」、仙谷の国会審議における暴言、マニフェストの幻影化などで、民主党政権の“政治”そのものが問われた結果だ。とりわけ「政治とカネでは」違法献金事件で団体として有罪判決を受けた北教組が、表立って動くことができず、有権者の反発も強かった。共同通信社が実施した出口調査によると、政治とカネ問題を「投票の判断材料にした」との回答は58.5%に達した。加えて菅の消極姿勢が補選を負けるべくして負けさせ、民主党に国政選挙での連敗をもたらした。民主党は応援に行って負けると批判の出るような政党なのだろうか。
野党はこれで勢いずく。小沢の証人喚問要求で民主党に揺さぶりを掛けて、国会運営の主導権を握ろうとするだろう。しかし度が過ぎて、国民生活に影響の出る補正予算案を人質に取るようなことをすれば、世論の反発を招く。いずれにせよ国会は対決基調で推移する。民主党はますます解散できない状況となり、自民党は早期解散を狙う。
【朝刊トップ3分勝負】
★朝日
センター入試、難易度別に2種類 16年導入を検討
大学入試センター試験を難易度別に2種類にする検討を、独立行政法人「大学入試センター」が始める。新しい学習指導要領で学んだ高校3年生(現在の中1)が受験する2016年1月実施が目標になる。えり好みさえしなければ誰でも大学に入れる「全入時代」が迫り、受験生の学力の幅が広がったことなどから、1回1種類のセンター試験で学力をつかむのが難しくなったためだ。
★毎日
衆院北海道5区補選:自民・町村氏が圧勝 民主に逆風
菅改造内閣発足後初の国政選挙となった衆院北海道5区補選は24日投開票され、自民前職の町村信孝氏(66)が民主新人の中前茂之氏(38)=社民、国民新推薦=ら新人4氏を大差で破り、10回目の当選を果たした。続きを読む
.★読売
自民・町村氏が当選、菅政権に打撃当選が確実となり、拳を突き上げ喜び合う町村信孝氏(中央)=三浦邦彦撮影 菅改造内閣発足後、初の国政選挙となった衆院北海道5区補欠選挙は24日投開票され、自民党前衆院議員で元官房長官の町村信孝氏(66)が、民主党新人で元国土交通省職員の中前茂之氏(38)(社民党、国民新党推薦)ら4人を破って10回目の当選を果たした。菅首相率いる民主党は7月の参院選に続く国政選挙での大敗で、今後の政権運営は厳しさを増しそうだ
★産経
衆院補選、民主敗北 自民・町村氏制す
菅改造内閣発足後、初の国政選挙となる衆院北海道5区補欠選挙は24日投票が行われ、自民党前職の元官房長官、町村信孝氏(66)が、民主党新人で社民、国民新両党推薦の元国土交通省職員、中前(なかまえ)茂之氏(38)ら4新人を破り、10回目の当選を確実にした。
★日経
羽田・成田、アジア便自由化
12年度にも政府実施 韓国などと協定改定 格安航空参入に弾み
政府は航空会社が路線や便数を自由に設定できる航空自由化協定で羽田、成田空港を米国に続きアジア各国・地域にも開放する方針を決めた。韓国やマレーシア、シンガポールなどと協定の改定交渉に入り、2012年度にも実施する。格安航空などの参入で航空会社間の競争は激しさを増し、利便性の向上や航空運賃の低下が予想される。
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/
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