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まるで負けることが前提でリングに立つボクサーみたいだ。行政刷新会議が、やっと特別会計に切り込む「事業仕分け」の第3弾である。27日からの本番を前に、担当大臣の蓮舫が「お金を出そうとは思っていない」「期待感はなくしていただきたい」と、ハナから財源捻出をあきらめた発言を連発。闘う前から、すっかり腰が引けているのだ。
前任者の仙谷が官僚との闘い放棄
全18会計・51勘定に及ぶ特会の歳出額は176.4兆円(10年度)と、一般会計92兆円をはるかに上回る。その実態はずっと不透明で、霞が関の“隠れたサイフ”にされてきたのだが、この税金のムダの温床にメスを入れようとしたのが、民主党だ。
昨年の衆院選マニフェストで「特会をゼロベースで見直し、必要不可欠なもの以外は廃止」と明記し、予算の全面組み替えと埋蔵金発掘を柱に計16.8兆円を生み出すと約束した。この勇ましさに国民は期待し、政権交代が実現したのだ。それだけに蓮舫大臣の負け犬発言には本当にガッカリだ。
「特別会計への道案内」の著者で国会議員の政策秘書だった松浦武志氏が言う。「予算の全面組み替えを約束した以上、蓮舫氏の弱気発言は国民を欺いたのと同じ。初めから『お金は出ない』という結論ありきで、予算の組み替えに貢献できないのなら、税金で仕分けを行う意味はない。壮大な八百長に血税を使うようなもので、それこそムダ遣いです」
まったく正論だ。しかも、デタラメはこれだけじゃない。蓮舫は財源捻出を捨てたばかりか、「特会にある『埋蔵借金』の情報も徹底公開し、これまで向き合えなかった現実を直視する」なんて言っている。「現実を直視」と言うと格好いいが、返済のメドが立たず「塩漬け」状態にある特会の借金をことさら強調しているだけだから、悪質だ。
大マスコミも競い合うように「『交付税及び譲与税配布特会』は33.6兆円の借金を抱える」「『国有林野事業特会』にも1.3兆円」と、特会に眠る借金の額を“暴き”始めた。読売新聞などは〈仕分けによって期待される「埋蔵金」発掘には限界があるとアピールすることで、消費税率引き上げを含む財政再建論議を加速する狙いがあるようだ〉と書いていた。
民主党の目玉政策は壮大なデキレースに変質した
やっとこぎつけた特会の事業仕分けが、埋蔵金発掘どころか、将来の増税論議に利用されるなんて、お門違いもはなはだしい。どこで、こんなデタラメ結論になってしまったのか。「現政権の事なかれ主義の表れですよ。『官僚の抵抗』なんて言い訳に過ぎません。特会は予算の全面組み替えの“本丸”。昨年暮れの第1弾で真っ先に埋蔵金をあぶり出すべきだったのです。ところが、昨年暮れに当時の担当大臣だった仙谷官房長官は、特会を仕分ける前から『埋蔵金はもう出てこない感じだ』と早々と結論付け、官僚との闘いを放棄してしまった。
この時の結論ありきで、特会をめぐる議論が進んでいるのが気になります。壮大なデキレースの中で、蓮舫大臣は操り人形になっているようにも映るのです」(松浦武志氏=前出)特会では自民党政権時代でさえも、毎年のように10兆円規模のムダ金が見つかったものだ。蓮舫も特会の3つや4つ廃止させ、20兆円ぐらいを捻出する気概がなければ、「必殺仕分け人」のイメージはガタ落ちである。単なるウルサ型の“かませメス犬”に成り下がるだけだ。
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