http://www.asyura2.com/10/senkyo97/msg/910.html
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毎年10月15日は「新聞の日」だそうで、15日から20日までは「新聞週間」とされ、その行事のひとつとして新聞協会賞の授与があり、今年は朝日新聞の「大阪地検特捜部のFD改ざんスクープ記事」がそれに選ばれたことは読者諸兄姉もご存じのことと思う。
その受賞の評価は論を置くとして、改めて世論調査報道の信憑性について考えたい。
10月15日の読売新聞東京本社では『新聞週間 報道の使命を確認する機会に』と題して以下の社説を載せた。
◆新聞週間 報道の使命を確認する機会に(10月15日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101014-OYT1T01340.htm
取材源と信頼関係を築いて歴史の真実を明らかにする。冤罪を生み出す検事の不正を調査報道で暴き出す――。
今年度の新聞協会賞(編集部門)を受賞した二つの特報記事は、報道の使命、記者の原点を具体的に語って余りある。
<中略>
朝日新聞の「大阪地検特捜部の主任検事による押収資料改ざん事件」の特報は、他紙ながら見事というほかない。
主任検事がフロッピーディスクを改ざんしたようだ、との情報をつかみ、取材班は関係者からディスクを借り受け、その解析結果を検察幹部にぶつけた。
最高検が捜査に乗り出し、今や検察組織の見直しが迫られる事態にまで発展した。新聞の調査報道の威力を十分に見せつけた。
最近のメディア批判の中には、公権力機関とメディアの「距離の近さ」を指摘する声が多い。
郵便不正事件でも、捜査段階では検察情報に寄りかかった報道が散見された、との批判がある。客観的で対等な報道を心がけてはいるが、そうした指摘は真摯(しんし)に受け止めたい。
常に公権力をチェックし、不正や不作為、うそがあればそれを批判的に報道するのがメディア本来の役割だ。読者が期待するのも、そうした調査報道だろう。
本紙の世論調査では、新聞の報道を「信頼できる」と答えた人は87%で、ここ30年、高い率を維持している。
新聞や放送の報道に携わる者は、読者・視聴者の信頼を裏切ってはなるまい。先日は、NHK記者が大相撲野球賭博事件のさなか、捜査情報を親方に漏らしていたという不祥事が露呈した。
きょうから新聞週間。「きっかけは小さな記事の一行だった」が代表標語だ。記事の一行が読者の背中を未来へ押すこともある。
日頃の報道を再点検したい。
(2010年10月15日01時21分 読売新聞)より
同業ギルド化し、闇カルテルを結んでいると言っても過言ではない記者クラブメディアの呉越同舟ぶりは論を待たないが、それでも「日頃の報道を再点検したい」と宣言するのであれば大いに精勤願いたいところである。
さて、この社説の中で「87%の人が新聞報道を信頼できると答えている」世論調査があると書かれている。
その世論調査の中身が社説と同日に紙面に掲載されたが、それが以下の調査結果である。
その一部を抜粋して紹介させていただくが、お手盛り感満載の大変興味深いデータが得られるので、是非精読していただきたい。
(※桁ずれは請ご容赦)
◆「新聞週間」 2010年9月面接全国世論調査
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe6100/koumoku/20101015.htm
▽調査日:2010年9月25-26日
対象者:全国有権者3000人(250地点、層化二段無作為抽出法)
方法:個別訪問面接聴取法、回収:1815人(回収率61%)
Q 新聞などのメディアについてお聞きします。
S1 あなたは、新聞があなたの必要とする情報や日常生活に役立つ情報を提供していると思いますか、そうは思いませんか。
答え 1.十分に提供している 36 3.あまり提供していない 7
2.だいたい提供している 52 4.ほとんど提供していない 2
5.答えない 2
S2 あなたは、新聞が事実やいろいろな立場の意見などを公平に伝えていると思いますか、そうは思いませんか。
答え 1.十分公平に伝えている 17 3.あまり公平に伝えていない 19
2.だいたい公平に伝えている 53 4.ほとんど公平に伝えていない 8
5.答えない 3
S3 あなたは、新聞の報道が国民の人権やプライバシーを侵さないように気を配っていると思いますか、そうは思いませんか。
答え 1.十分に気を配っている 22 3.あまり気を配っていない 17
2.だいたい気を配っている 54 4.ほとんど気を配っていない 4
5.答えない 3
S4 あなたは、全体として、新聞の報道を信頼できますか、信頼できませんか。
答え 1.大いに信頼できる 22 3.あまり信頼できない 9
2.だいたい信頼できる 65 4.ほとんど信頼できない 2
5.答えない 2
<以下、設問項目のみ>
Q 次の4つの点について、大きな役割を果たしていると思うメディアを、回答リストの中から、それぞれ3つまであげて下さい。
S1 「世の中の出来事を早く伝える」という点で、大きな役割を果たしていると思うものを、3つまであげて下さい。
S2 「ニュースの背景や問題点を掘り下げて解説する」という点ではどうですか。
S3 「権力者や世の中の不正を追及する」という点ではどうですか。
S4 「社会の懸案や課題に対する解決策を提案する」という点ではどうですか。
Q 最近、インターネットの利用者が増えていますが、あなたは、情報や知識を得るために、新聞はこれからも必要だと思いますか、必要ないと思いますか。
Q あなたは、平均して、1日にどのくらいの時間、新聞を読みますか。回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
Q あなたは、平均して、1日にどのくらいの時間、パソコンや携帯電話でインターネットを利用しますか。回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
SQ1【前問の答えが(1)〜(8)の人だけ】
あなたが、ニュースを見るために、よく利用するインターネットのサイトがあれば、回答リストの中から、いくつでもあげて下さい。
SQ2【前問の答えが(1)〜(8)の人だけ】
インターネットで流れているニュースのうち、あなたが最も信頼度が高いと思うものを、回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
Q インターネットで有料で見ることができる電子版の新聞がありますが、あなたは、利用したことがありますか、あるいは、利用したいと思いますか。回答リストの中から、1つだけあげて下さい。
Q 最近、学校の授業で、教材として新聞を活用する動きが広がっています。あなたは、授業に新聞を活用することを、評価しますか、評価しませんか。
SQ【前問の答えが(1)の人だけ】
あなたは、教材として新聞を活用すると、どのような良い点があると思いますか。
回答リストの中から、あれば、いくつでもあげて下さい。
さて、この調査を突き詰め、もう一つの調査を重ね合わせると「世論調査」なるものの実態が明らかになる。
今回の調査は9月25-26日の金曜日・土曜日に個別訪問面接によって実施されたことになっている。
まさか夜間に訪問したとは考えられず、昼間在宅する人に限定しての面接となるから、平日においてはいきおい離職者・専業主婦等に限られる。土曜日には勤労者も在宅していた可能性は高いとしても、平滑して考えれば金曜日に回答を得られた分は非勤労層であることはほぼ推定できる。「層化二段無作為抽出法」というのは内閣府などでも使う標本抽出法の一手法だが、全国を行政区分毎に分類し、住民基本台帳を元に人口偏差などを補正したサンプリングであり、年齢区分や男女の人口統計は反映されていない。
こういった母数を元にした意識調査がはたして国民世論を反映しているのかがいつものことながら疑問視される所以である。
それを証明するもう一つの調査というのがNHK放送文化研究所が公表しているデータだ。
【NHK放送文化研究所】
http://www.nhk.or.jp/bunken/index.html
この中で、【放送評価調査(2010.9月分)】というのを10月12日に公表している。
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/housou/housou_10101201.pdf
内容は上記リンク先の結果を閲覧していただくとして、注視すべきはその調査母数である。
この調査は電話によるRDD追跡法(新聞各社が内閣支持率などを調査するときに使う手法)だが、最終頁の「サンプル構成」を見て欲しい。
10年9月の調査では、1374人(男女比:42.6%/57.4%)の内、60歳以上の割合が、男性で48.3%、女性で51.3%となっており、全体の合計としてもちょうど50%である。。
一方、20代と30代の若年層は男女を合わせても僅かに16.2%にしかならない。
この調査は07年度から5回目になるようだが、年々60歳以上の高齢者の占める割合が高くなっている。
もうひとつNHK放送文化研究所が調査したデータで、対象者の職業等も設問している調査がある。
今年の8月6日に公表された「原爆意識調査」がそれだが、あらあら「無職」と「専業主婦・パート勤めの主婦」で50.5%と半数を占めている。
年齢でも、こちらも男女合わせて60代以上で45.9%で、だいたい上の調査母数と重なる。
【2010年6月 原爆意識調査 単純集計表(広島市・長崎市・全国)】
http://www.nhk.or.jp/bunken/research/yoron/shakai/shakai_10080601.pdf
こういった母数傾向は他のメディアによる意識調査にもほぼ当てはまり(そうでなければ同じ手法のサンプル抽出の構成要素を否定する)、これまで多くの非マスメディアで疑問とされてきた意識調査・世論調査の背景を物語るデータである。
つまりは3つのデータから、「新聞・テレビというマスメディアが示す世論調査の実態は、それらの報道を一義的に信用してしまう60歳以上の昼間在宅者を中心とした声であり、国民全体の声とは言えない・・という推論が成り立つ」と言えるのではないだろうか。
今回、読売新聞とNHKという2大マスメディアの自己に対する評価を重ね合わせてみたのだが、期せずして標準的な一般国民との偏差を証明したことになる。
ちなみにCIAの【The World Facebook】に依れば、日本人の平均年齢は男性42.9歳、女性:46.5歳で全体では44.6歳だそうである(2010年調べ)
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/fields/2177.html
成人男女の平均でも53歳程度というデータもあったので、60歳以上が半数を占めるRDD調査は母数として偏りがあることは間違いがない。
増して、小沢陸山会問題の「検察審査会審査員」の年齢構成をや・・である。
以下は、政治に悪影響を及ぼす「世論調査」についての、上杉隆氏のコラム
【問題点だらけの「世論調査」という怪物が独り歩きする危険】〜上杉隆(DIAMOND Online)
http://diamond.jp/articles/-/9800
上記の推論を重ね合わせて読んで欲しい。
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