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発足1カ月を迎えた菅改造内閣で、仙谷由人官房長官の存在感が際立っている。深刻な外交問題に発展した尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件では、日中関係修復に向け水面下で奮闘。一方、国会論戦では菅直人首相を差し置く形で答弁に立ち、長広舌をふるう場面がしばしばだ。はぐらかしや挑発も目立つ「仙谷流」には、民主党内からも懸念の声が漏れている。
15日まで4日間にわたり開かれた衆参両院の予算委員会は、さながら仙谷氏の「独り舞台」のようだった。漁船衝突事件への政府の対応を批判した自民党の石原伸晃幹事長には、「弱腰と思っていない。『柳腰』というしたたかで強い腰の入れ方もある」と切り返し、新聞報道を引用して事実関係をただした同党の山本一太参院政審会長に対しては、「最も拙劣な質問方法」と声を荒らげて非難した。
質問されていないのに答弁することも多く、政府参考人として出席した経済産業省の古賀茂明氏が公務員制度改革への政府の取り組みを批判すると、仙谷氏は「こういうやり方は彼の将来を傷つける」と発言。野党が「どう喝だ」と反発し、審議は中断した。
◇秘書官10人、首相超す
鳩山前内閣から閣僚を務める仙谷氏は、横滑りのたびに秘書官を増やし、今や総勢10人と首相秘書官の6人を超す。15日には、東大の同級生でブレーンと目される松本健一麗澤大教授を内閣官房参与に起用。首相官邸の「仙谷色」は一段と強まった。仙谷氏のもとには「前任者の平野博文氏の時よりも多くの政策案件が殺到している」(周辺)という。
漁船衝突事件でも仙谷氏は、外務省を尻目に、独自の中国人脈を持つとされる民間コンサルタントの協力を得て、悪化した日中関係の改善を模索。戴秉国国務委員と極秘に電話で会談するなど、対中折衝で主導的な役割を果たした。
首相の前で立ちはだかるかのような仙谷氏に対し、自民党は「百も承知で乱暴な答弁をしている。手ごわい」(幹部)と攻めあぐねている。
もっとも、仙谷氏は15日の記者会見で、野党時代に自らも新聞報道に基づいた質問をしていたことを指摘されると、「私の質問もある意味で拙劣だった」と認めた。参院での与党過半数割れを踏まえ、首相は「熟議の国会」を呼び掛けるが、質問者をいら立たせる仙谷氏の答弁ぶりには、民主党内から「見ている方は痛快だが、配慮、謙虚さがない」(幹部)との指摘も出ている。
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol
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