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日中首脳会談が、今月末にもベトナム・ハノイで行われることになった。菅直人首相(64)率いる民主党政権は、漁船衝突事件を忘れたかのように、中国との関係修復に突き進むが、この陰で中国側の狡猾な尖閣強奪作戦の一端が発覚した。民間団体が現在、「尖閣諸島は中国の領土」というプロパガンダ映画を製作しているうえ、来年夏、数百隻の民間船団による尖閣襲来も計画されているという。事実無根の主張を世界に訴え、実力行使に踏み切るつもりなのか。
「撮影は終わり、現在編集作業中のようだ。俳優も出演するドキュメンタリー的なプロパガンダ映画で、来年2月の公開予定。私の中国の情報源によると『国内での大ヒットは間違いない』と話している」
こう語るのは、世界を舞台に活動しているフォトジャーナリストの山本皓一氏(67)。尖閣を含む日本の国境の島々についても、20年近く、取材してきた。中国政府(中華民国)が、魚約島の島民らに送った「感謝状」を探し出し、中国のウソを暴いた人物だ。
問題の映画を製作しているのは「中国民間保釣連合会」。昨年9月に香港で行われた製作発表によると、映画は全10編で1編40分。製作日数は約1年。尖閣諸島の中国領有を主張する反日運動「保釣運動」を振り返るもので、尖閣周辺での撮影も計画していた。
完成後には、中国や台湾、香港のほか、世界各国で上映するといい、製作者側は「尖閣問題に対する(中国人民の)決意の理解を広げていきたい」と話していた。
尖閣諸島は1895年、日本政府がどの国にも属していないことを確認して領有を宣言したわが国固有の領土。中国が領有を主張し始めたのは1971年以降で、「天然ガスなど海底資源の存在に気付いたため」(外務省筋)といわれており、中国側の映画は許し難い歴史の歪曲といえる。
中国は、自分たちに都合よく歴史映画を製作してきた過去がある。
南京事件から70周年となる2007年ごろ、おびただしい史料の誤読などが指摘された故アイリス・チャン氏の著書「レイプ・オブ・南京」を題材に取り込んだ映画がいくつも製作・公開され、日本のイメージダウンに拍車をかけた。
今回、尖閣映画を製作している「中国民間保釣連合会」のメンバーは、漁船衝突事件後の9月8日、北京の日本大使館で抗議デモを行った。
日中外交筋は「共産党一党独裁の中国では、民間団体であっても政府の影響やコントロールを受ける。民主活動家である劉暁波氏(54)のノーベル平和賞受賞が中国国内でほぼ報じられなかったのとは逆に、問題の民間団体が、日本大使館前でデモをできたことには背景がある」と指摘する。
菅首相や「影の宰相」こと仙谷由人官房長官(64)は中国漁船衝突事件の様子を収めたビデオテープの公開に慎重姿勢を示すなど、中国との関係修復に前のめりだが、さらに看過できない計画がある事を山本氏は指摘する。
「来年6月17日は、沖縄返還協定調印40周年にあたる。これに合わせて、世界に散らばる華人系団体が『米国が日本に尖閣諸島を返還したのは無効』『中華民族が団結して釣魚島(=尖閣諸島の中国名)領有を回復する』として、600隻から800隻の民間船団を組んで、尖閣に押し寄せる計画を立てている。上陸して旗を立てるつもりのようだ」
■座礁→海軍上陸の可能性も
海上保安庁によると、今年8月以降、尖閣周辺で操業する中国漁船が増え始め、多い日では約270隻を確認。1日に70隻程度が領海侵犯した日もあるとか。海保の巡視船が、領海侵犯をしている中国船にマイクで『ここは日本の領海です』と退去を要求すると、中国漁船からは『バカ野郎、ここは中国の海だ!』と日本語で返答してくるという。
一度に数百隻も船舶が尖閣に押し寄せてきたら、とても海保だけでは対応できない。
防衛省関係者は「もし、船団の1隻が尖閣で座礁し、乗組員が負傷した場合、中国海軍が『人命救助のため』として尖閣に上陸してくる可能性がある。そのまま居座ったらどうするのか。中国が南沙諸島などを実行支配した時も、似たケースはあった」と警戒する。
笑顔で握手をするフリをしながら、背中にこん棒を隠し持っているのが中国外交である。仙谷氏のいう「柳腰外交」など、せせら笑っているに違いない。
元公安調査庁調査第二部長の菅沼光弘氏は「菅首相や仙谷氏は必死に釈明しているが、世界各国は『日本は中国の圧力に屈した』とみている。尖閣についても『領土問題が存在するようだ』『日本にも負い目があるのでは』と思われかねない。このタイミングで、プロパガンダ映画を公開され、大船団でアピールされたら、さらに厳しい立場に立たされる。菅政権は日本に拭い難い汚点を残した」と語る。
山本氏も「中国は尖閣だけでなく、東シナ海や西太平洋で制海権を確保するため、国家100年の大計で日本に迫ってきている。菅首相は『国家、国民、領土を守る』という指導者の職責が分かっていない。日本を中国の属国にするつもりなのか」と憤っている。
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20101015/plt1010151613002-n1.htm
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