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2010年10月15日
本澤二郎の「日本の風景」(600)
<永田町の新たな陰謀>
韓国ドラマが日本のテレビを占拠して久しい。韓国俳優を追いかけ回す不可解なおばさんたちのことを聞いているが、ここ数年来、NHKから民放まで毎日何本もの韓国ドラマを放映している。これこそ露骨な韓国懐柔の日米戦略を印象付ける材料だ。韓国に限らず、多くの国々の映画を放映してくれたほうがありがたいのだが、韓国ドラマの特徴の一つは宮廷内での陰謀のすごさである。永田町以上なのか。しかし、永田町でも政界再編に向けた巧妙な陰謀が渦巻いている。
熾烈な小沢攻撃は1年以上である。野党自民党の小沢叩きは熾烈を極めている。これに公明党やみんなの党、共産党までが悪乗りしている。肝心の財政破たん・財源問題を放置している。民衆の関心を小沢問題に集中させているのである。なぜか、ここは国民に頭の運動を要求している。
官僚政治のお陰で日本丸は難破している。この官僚支配・官尊民卑の事実さえわかっていない。それを良いことに、官僚退治に突進した小沢を血祭りにしようと必死である。裏では与党の菅内閣を支える松下政経塾も暗躍しているようだ。いうなれば与野党こぞって小沢を袋叩きにしている。憶測を逞しくすると、官閥や財閥、さらにCIAも支援している。小沢にとって、これは名誉なことだろう。政府与党と財官閥・ワシントンを手玉にとっているようなものだから。
むろん、与野党の小沢排除には隠された野望が存在する。共産党や公明党は理解できないだろう。マスコミも連携している。特に右翼メディアにその傾向が顕著である。そこから引き出される結論は、小沢を民主党から引き離すことなのだ。離婚・離縁させる陰謀である。
<小沢離婚の後釜狙い>
現在、小沢勢力は200人ほどである。先の民主党代表選挙が証明した。あなどれない数字である。この切り崩しが政経塾の菅内閣と野党自民党の目標と言っていい。そうしないと、彼らの改憲軍拡政権の誕生は実現しない。
国民にとってありがたいことは、今の小沢とその勢力は右翼・改憲派ではない。むしろリベラルである。ワシントンに服従する改憲軍拡論にはNOという立場にある。アジア重視・日中友好である。
東アジアに経済共同体を立ち上げて平和と安定、さらには繁栄を期待している好ましい構想を描いているようなのだ。先に鳩山内閣が打ち出した。ワシントンのネオコンが一番嫌う変化なのである。
そんなワシントンに服従しているのが、菅内閣を実質牛耳っている松下政経塾と自民党、みんなの党なのである。右翼の改憲軍拡派だ。かつての自民党官僚政治路線そのものなのだ。対決路線だから、平和を願う日本国民とアジアの人民にとって、決してすばらしい路線ではない。戦争国家のワシントンの将来は暗い。経済混迷は日米同時に進行している。敗北連合に明日は無い。
それなのに、相変わらず脱亜入欧の戦略を描く財官閥が支援する菅内閣と右翼メディアである。現に小沢・鳩山リベラル排除が、この1年余りの永田町の陰謀と捉えると、権力闘争の中身がよく見えてくるだろう。小沢勢力を排除することで、その後釜を狙っているのである。
<政界再編しか生きられない右翼・自民党>
ご存知、自民党官僚政治は中曽根バブル以後、失政に次ぐ失政を続けている。経済大国・福祉大国は過去の亡霊でしかない。沈没する太陽のままだ。自民党の再生はもはや絶望的といっていい。
国民の怒りは昨年8月の時点で爆発、政権交代を実現した。ワシントンからアジアに舵を切ったリベラルな鳩山内閣は、同時に明治以来から日本政治を掌握してきた官僚政治・霞が関政策を排除しようと必死になったのだが、悲しいことに小沢も鳩山も脇が甘かった。ここが悔やまれる。
検察とマスコミによる金銭スキャンダルによる総攻撃を受けて敗北、政権は同じ民主党だが、同党の偏狭とも言える右翼民族主義勢力の松下政経塾の手に落ちてしまった。尖閣問題もそうした関係から表面化したものである。
実は、この政経塾と自民党右翼議員、とくに防衛・軍事族は古くから太い結びつきの関係にある。再生不能の自民党にとって国民の目をくらます手立ては、政界再編で姿を変えるしか方法はない。
小沢排除に必死になる理由なのだ。愚かな公明・共産を撒きこんで、世論を操作しているのである。
<価値観外交へ舵を切った菅官内閣とCIA>
中国人反体制派のノーベル平和賞には政治的な陰謀、特にCIAの策略という見方が浮上しているが、ダライ・ラマの二番煎じであろう。中国叩きにノルウェーが一役買っているのだが、CIAワシントンがらみが怪しい。
オバマが「釈放を」と叫ぶと、菅もほぼ同調して見せた。仙谷官房長官は「今後、自由・人権・言論・表現の自由を中国政府に求めてゆく」と昨日の記者会見で表明した。安倍内閣や麻生内閣レベルの価値観外交をぶち上げたのだ。ワシントンに歩調を合わせているのである。
ワシントンに忠誠を誓う菅官内閣を露呈、隣国や隣人との関係を壊そうというのである
<わかりにくい日本政治>
昨夜、中国の友人とおしゃべりした。日本研究の第一人者の一人だろう。夜中に六本木のホテルに押しかけた。驚いたことに辺りの変化である。すばらしい街並みになったのだが、人気は多くは無い。友人も「以前と比べると活気がない」と話した。財政破たんの日本に彼も気付き始めたようだ。
確か1年半前に北京を訪問した。そこでの講演で筆者は鳩山・民主党政権を「よりましな政権」と分析、紹介した。彼は「それは違うではないか」と指摘してきたのだ。これには少々がっかりしてしまった。
鳩山や小沢の民主党と前原・仙谷・枝野・野田ら政経塾が実権を握る菅・民主党は、まるで天地が逆さまになるくらい違う。同じ民主党政権でも、中身は白と黒ほどの相異があるのである。そこがまるでわかってくれていなかった。
言葉と文化の違い、東京と北京の距離が、日本政治をわかりにくいものにさせている。彼らは日本の新聞やNHKの衛星テレビを見て、日本を分析している。そこに混乱の原因があるのだろう。
「PANASONIC効果」にしても不思議なのである。松下政経塾の正体を、まるでわかっていない。日本のマスコミ・レベルなのである。日本国民も理解していない。映像や活字で報道されていないからである。
これでは誤解が起きるわけである。隣人・隣国を正確に理解しないところに対立や抗争が起きてくる。
筆者も知らなかったのだが、日中間で漁業協定が存在していること、その協定によって漁船拿捕しないことになっているという彼の指摘には驚いた。これが事実であれば、彼らが怒り狂うわけである。「逮捕は俺がやった」と豪語しているという前原は、この協定を知っていたのかどうか。ネオコン政経塾の暴走は、これからもワシントンのネオコンと連携して強権外交を展開するのであろうか。
霞が関の官僚顔負けの対決外交を監視できない野党の不甲斐なさ、マスコミの腐敗にも辟易するばかりである。
歴史認識・台湾・尖閣が日中間の喉に突き刺さったトゲである。
2010年10月15日9時59分記
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