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2010年10月13日 掲載
逆命利君、いや逆命利「民」の覚悟なれ
財政難を理由に様々な住民サーヴィスを切り捨てる一方、全国の都道府県、市区町村の大半は、公務員の退職金を満額支給する為、毎年巨額の退職手当債を発行しています。発行額は平成19年度5389億円、20年度5691億円、21年度4865億円。起債残高は2兆円に達します。
返済義務を負うのは国民。平成27年度まで今後5年余りも退職手当債の起債を特例措置で認める地方財政法の見直しを、可及的速やかに行ってこそ、口先に留まらぬ、真の地域主権の覚悟を各自治体に齎(もたら)す筈。
加えて、養護学校教諭や管理栄養士といった職種毎に、親方日の丸ならぬ親方自治体の労働組合が既得権益として獲得した地方公務員の調整額も抜本的廃止が急務です。民間でも支給される危険な作業等への諸手当とは異なり、その額がボーナスや退職金にも反映される、摩訶不思議な存在なのですから。
先週7日の衆議院本会議の代表質問で、与党統一会派「国民新党・新党日本」を代表して僕は、片山善博総務大臣に答弁を求めました。地方公務員の退職手当債、給料の調整額は即時撤廃すべきではないか、と。
「どこの世界に経営状態と関係なく従業員の給与を決める企業があるか」と大臣就任直前にも「東京新聞」へ寄稿していた彼は、知事在任中、僕と同じく退職手当債を発行せず、調整額の抜本的廃止も断行しているからです。因(ちな)みに47都道府県中44都道府県で、調整額は未だに温存されています。
「内閣総理大臣が地方の給与をどうこう言うのは、それこそ地方分権の考え方として問題だ」と奇妙な地方丸投げ論を語った菅直人首相の答弁とは異なる、謂(い)わば「逆命利君」な覚悟を期待しました。
が、豈図(あにはか)らんや、片山氏は、「安易な発行は許されない。将来に負担を先送りするだけ」と冒頭では同調したものの、ニャンとも腰の引けた答弁に終始しました。
曰(いわ)く、「実際に認めているものだから、認めるのが常識的な取り扱いだ」、「廃止せよと各自治体に総務省から、政府から指示する事は出来ない。法律上、それは許されていない」、「情報公開を徹底して(地方)議会でよく議論をして下さいと助言はしていく」と。
脱しがらみ・脱なれあいの覚悟を抱いて「有言実行」してこそ、逆命利「民」の民間登用大臣として拍手喝采されるのにね。元霞ヶ関官僚のDNAをかなぐり捨てての奮闘を、彼に期待するや大、なんだけどなぁ。
カテゴリー:日刊ゲンダイ にっぽん改国
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