http://www.asyura2.com/10/senkyo97/msg/462.html
Tweet |
「週刊ポスト」10.22日号
平成22年10月11日(月)発売
小学館 (通知)
(画像)記事初頁 http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/2212.jpg
これで法治国家か!?
人民裁判と暗黒ニッポン
「たった1人」にころされた小沢一郎
推定有罪≠セけで政治家を「私刑」にする検察審査会の暴走
───────────────────
「親小沢」「反小沢」の問題ではない。日本が本当に法治国家と呼べるのか、国民は司法・検察を信頼できるのかが揺らいでいる。10月4日に公表された東京第五検察審査会の小沢一郎代表に関する「起訴相当」議決は、すべての国民が真剣に読むべき内容だ。誰でも簡単に法廷に引きずり出されて社会的に抹殺される暗黒社会でいいのか。「小沢が起訴されて、ざまあみろ」では済まない重大問題が明らかになった。
───────────────────
(写真)「重大疑惑」とは一体何だったのか 右は「起訴相当」を示す検察の議決書
専門家は「恐ろしい議決」
小沢氏が起訴される「容疑」は次章で検証するが、まず目につくのは議決理由のデタラメぶりだ。驚くのは、秘書3人の供述調書の評価である。石川知裕氏、池田光智氏の供述は、いずれも小沢氏の指示や関与を具体的に示す部分はないのだが、なんと、〈本件では、細かな事項や情景が浮かぶようないわゆる具体的、迫真的な供述がなされている方が、むしろ、作為性を感じ、違和感を覚えることになる〉
と記し、「具体的な供述がないから犯罪があった」という無茶苦茶な推理を展開しているのである。そのくせに、問題とされている土地を購入した資金の調達や政治資金収支報告書への記載に関する供述は、
〈真の動機を明らかにできないことから、苦し紛れの説明をせざるを得なかったもの〉
と断じて嘘だとする。しかも報告書への記述を〈偽装工作〉と表現し、最初から「推定有罪」である。
もっとおかしいのは、会計責任者だった大久保隆規氏の供述を検証していない点だ。理由は容易に推測できる。大久保供述調書を作成したのは、「村木冤罪事件」を引き起こした前田恒彦・検事であり、さすがに「信用できる」といえなかったのだろう。議決があった9月14日から発表された10月4日までに削られた可能性も指摘されている。
そもそも、政治資金規正法は、会計責任者の責任を定めた法律だ。小沢氏を「共犯」とするためには、会計責任者に対して積極的に「指示」や「共謀」をした証拠が必要になる。今回の議決が指摘した「報告して了承していた」程度では共犯にはならない。
同じく小沢氏を政治資金規正法違反に問うべきだと申し立てを受けた東京第一検察審査会は、共犯の証拠はないとして、「起訴相当」とはしなかったのである。
そして最大の疑問が、告発されてもいない点について有罪認定≠オ、起訴すべきとしたことである。
名城大学教授で弁護士の郷原信郎氏が指摘する。
「看過できないのは、当初の検案への告発内容に含まれず、また1回目の議決で起訴相当とされた被疑事実に含まれていない『小沢氏からの資金4億円の不記載』が、2回目の議決の起訴すべき『犯罪事実』に追加されていることです。議決理由では、その原資まで問題にしている。検察が扱った小沢氏の容疑の範囲を超えた議決は検察審査会法を逸脱した行為であり、この件で『2回の起訴相当』が出たことにならない以上、議決の法的効力にも疑問が残ります」
問題の箇所はこうだ。
〈被疑者(小沢氏)から合計4億円の借入れをしたのに、平成16年分の収支報告書にこれらを収入として記載せず、(中略)総務大臣に提出した〉
このような「勝手な犯罪事実の追加」は、小沢強制起訴を喜ぶ人たちにとっても疑問が大きかったようで、あるヤメ検弁護士のテレビコメンテーターは、「検察が気付かない部分を市民が指摘した」 と大いに評価してみせたが、それが許されるなら、検者は独断で捜査もせずに罪状を新たに作れてしまう。
この問題については、小沢氏の弁護団も法的に争う意向を示している。
憲法学の権威、上脇博之・神戸学院大法科大学院教授はこう語る。
「議決は誤っています。『まとめ』の最後に、検察審査会を〈国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度である〉検審は検察のチェック機関であり、おかしい。容疑事実ではない点を問題にしたり、秘書が師と仰いでいるから共犯≠ネどと独自の法解釈を持ち出したりして起訴のハードルを下げているのは恐ろしいことです」
「重大疑惑」などなかった
審査会の問題はいったん措く。国民が最も知りたいのは「小沢氏は遵法行為をしたのかしだ。テレビの街頭インタビューでは、「起訴は当然」という声が多いが、それは、大新聞やテレビが「小沢はクロ」と印象操作を繰り返した結果だ。
(写真)件の東京・世田谷の土地登記簿謄本(2筆分なので登記は2枚。文面は同一)。所有権移転が05年であったことが記されている。
大事なのは事実である。今回の「起訴相当のポイントを整理しておく。
@問題は「期ずれ」だけ
法廷で問われる「容疑」は、「土地取得が04年だったのに05年の報告書に書いた」という「期ずれ」問題である。マスコミが多用する「資金疑惑」や「不正蓄財」、「闇献金」などは争われない。
A「土地購入」記載はある
これもよく「不記載だった」と報じられるが、別掲資料A(36n)のように、きちんと記載ざれている。
検察は「04年の報告書に不記載」といっているだけだ。
B「期ずれ」もない?
上掲の通り、陸山会が土地の所有権を取得したのは05年であり、04年には「仮登記」しただけ。だから陸山会は「05年に取得」と報告したが、検察は「契約は04年だから04年に報告すべきだった」」とした。
C「4億円」は収支報告書に記載されている
これも報道で誤解している国民が多いが、別掲資料C(39n) の通り、04年の報告書には、収入欄にはっきりと「借入金 小澤一郎4億円」と書かれている。
問題にされているのは、いったん小沢氏が提供した4億円を、後に銀行借り入れに切り替えたことが記載されていないという点だ。小沢氏側は「他の政治家なら修正申告で済む問題」としている。
Dそもそも「資金繰り」は記載しなくてよい
総務省政治資金課は本誌取材に、「一時的に用立てる仮受金などは政治資金収支報告書に記載する必要はない」と答えている。それは当然で、ほぼすべての議員は個人で事務所の資金を立て替えており(そうしなければ、献金が集まるまで秘書の給与も払えない)、報告書には記載していない。小沢氏は、そもそも個人資金で立て替えたことを記載する義務がなかった。
以上の事実から、いわゆる「陸山会問題」の争点とは、土地取引を「契約時に記載すべきか、所有権移転時にすべきか」という点と、「個人で立て替えた資金は記載する必要はなく、銀行から借り入れた時点で記載すべきだった」という点だけなのだ。これが総理を目指す政治家の政治生命を断つべき重大疑惑なのだろうか。
また、検審は「4億円の個人資産」の原資を疑問視するが、この点については小沢氏自身が詳細に明らかにしており、本誌は今年2月、それを裏付ける元信託銀行員の告白をスクープした(※)。それ以降、特捜部は「原資問題」を捜査対象から外したのである。
検審は、「個人資金があるのに銀行から借りたのは不自然で不合理」ともいうが、一度でも事業経営をした人間なら笑ってしまうだろう。資金繰りは常に心配の種であり、金庫が空になるよりは、金利負担があってもあえて借りるものだ。
「100万分の7」の奇跡
審査会の問題に戻る。
上脇教授が指摘したように、検審は「検察捜査の正当性を審査する場」であるにもかかわらず、議決は「小沢はクロ」と印象づける解説で埋められている。検察を監視するどころか、むしろ検察と息がピッタリだ。
実は、検察審査会に対する法務・検察官僚の影響力を懸念する声は多くある。
「審査会は裁判所に付随する組織ですが、裁判所と検察の関係は深い。99・9%という有罪率がその関係を物語っています。しかも、審査会の事務局と法務官僚には人事交流がある。独立性は疑われますね」(検察・司法制度に詳しいジャーナリスト・伊藤博敏氏)
審査会が審査したケースは15万件以上あるが、検察の判断を覆して「起訴相当」としたのはわずか1・5%、実際に起訴されたのは1%以下である。審査会がおおむね検察の判断を追認してきたことがわかる。
確率の話を続ける。
今回の小沢起訴を議決した審査員は11人いるが、その平均年齢は30・9歳だったとされる。有権者から「くじ」で選ばれることになっているが、有権者の平均年齢は約52歳。この大きな差から、「本当にくじで選ばれているのか」という疑問が湧いている。
本誌はそのような偏りが生じる確率を求めた。東京都の年齢層別の人口をもとに、多摩大学経営情報学部・統計分析グループの助力を得て、「くじで選んだ11人の平均年齢が、30・9歳以下になる確率」を計算したのである。
※本誌2月12日号は、「『小沢4億円口座』銀行担当幹部が爆弾証言!」と題し、当時、小沢氏が資産運用を任せていた信託銀行の担当者の証言を掲載した。担当者は、報道や検察の見立ての間違いと、その間違いが起きた原因を詳細に指摘したうえで、小沢氏が実父から引き継いで運用していた個人資産が4億円以上あり、土地購入の原資になったことに不自然さは全くないと語った。
結果は「0・005%」。70歳以上は審査員を断われる制度があるから、70歳未満の都民だけを母数にしても、「0・075%」。
さらに驚くべきは、1回目の議決をした審査員の平均年齢も34・3歳(2回目とは全員が別人)。平均年齢がこれ以下になる確率(母数70歳未満限定)は「0・89%」で、両方が続けて起きる確率となると、「0・00067%」、つまり「100万回くじを実施すれば7回起きる」という奇跡≠セったことになる。これは本当に偶然なのだろうか。
また、今回の審査は2000ページといわれる膨大な捜査資料を読み込む必要があったにもかかわらず、「8月時点で補助員弁護士が決まっていなかった」(伊藤氏)。1か月程度で、平均30歳余りの審査員が資料を読破し、法解釈を論議し、あの独創的な結論をまとめたというのは無理がある。
補助員弁護士の正確な就任時期にも疑問がある。検審法は「2回目の議決には必ず補助員弁護士をつけること」と定めている。ところが、今回の弁護士が就任した時期は明らかにされていない。9月はじめに「就任情報」が流れ、メディアは確認に動いたが、検審事務局も裁判所も明らかにしなかった。当人は、議決を終えていた9月20日頃になっても、記者に対し、「(自分が補助員になるという報道は)事実と違う」と就任を否定していた。
もし議決当時に正式に就任していなかったとすれば、議決そのものが法的に無効になる重大事だが、それすら国民も小沢氏側も確認する方法がないのである。
その一方で、弁護士も検事関係者も「1回目の議決は11人金員が起訴相当だった」とか、審査の様子などをリークしている。これは検審法が禁じる「情報漏洩」に当たるが、こちらは問題にもされていない。
しかも、小沢氏が総理大臣に決まるかもしれない民主党代表選の直前に議決したのである。補助員弁護士や事務局に、「小沢をクロにする」というバイアスがなかったか検証が必要だ。
人が人を裁く制度では、主観は完全に排除できない。だからこそ、民主主義国家では裁判も議会も公開され、行政情報には開示義務がある。国民が望めば、権力がどのように行使されているか監視できるわけだ。
ところが、検審は全くの密室である。誰がどのように選ばれ、どんな議論がいつ行なわれたか、国民は知るすべがない。「市民感覚」「市民参加」を金科玉条にしているが、実際には申立人は1人(別稿参照)、審査では補助員弁護士の意見が議決を左右するというケースもあるのだから、せめて議論を公開し、裁判員のように審査員の記者会見くらいは開くべきだろう。
「市民が裁く」といえば聞こえはいいが、それが進めば「私刑(リンチ)社会」になる。それでは民主主義にならないから、文明は法治主義を作った。小沢嫌いの大メディアは、揃って「小沢は身を引け」という。なかには「村木さんも休職したのだから小沢も休職しろ」と書いた新聞まであるが、私刑を奨励し、冤罪被害を広げたいのか。
隣国を「法治主義がない」と罵倒する前に、この国の「法治」こそが疑われる窮状なのだ。
*平成22年住民基本台帳の年齢別人口(5歳刻み)のデータを用いた。80歳以上は5歳刻みで分けられていないので、便宜上、その範囲に該当する人口の平均年齢を80歳として計算した。
───────────────────
「小沢抹殺」の申立人は、元新聞記者1人だった!
検察審査会に「小沢起訴」を申し立てたのは、新聞やテレビでは「市民団体」と紹介され、「元教師や行政書士、元新聞記者など10数人の団体」などと、良識ある市民の集まり≠ニいう印象が強調されている。
なぜか大マスコミは匿名扱いするが、団体名は『真実を求める会』という。そして、極めて政治色の強い団体である。中心メンバーである元新聞記者が語る。
「我々は日本を憂える者の集まり。民主党に政権を委ねるのは危険だと感じて結成し、何か行動をせねばと考えていたところに小沢氏の政治資金問題が浮上したので告発したのです」
しかも驚くべきことに、今回の申し立てをしたのは団体ではなく、この元新聞記者1人だったのである。
「申立人は私1人です。最初は皆で出す予定だったが、徐々に腰が引けてきた。私も身の危険を感じているので名前が出ないように求めました(検審の議決では、申立人は『甲』と記されている)。議決がされていたことは知りませんでしたが、国民の要望の表われた当然のものと考えます」
───────────────────
p-39
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK97掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。