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民主党代表選は、「菅対小沢」ではなく、「反小沢対小沢」の戦いだったのだ。次のリーダーを狙う世代にとっては、どう転んでもトロイカ三人組の誰かが消えるのだから
すでに旧聞に属する話かもしれないが、敢えて民主党代表選について触れてみたい。というのも、洪水のように溢れていた代表選絡みの報道を眺めながら、「何か違う」という気分を度々、味わっていたからだ。はっきり言えば、各種の報道が、時として「的外れ」な視点でなされていたということ。
まず、なんといっても今回の代表選は、だれもが「菅対小沢」の戦いと思っていたはずである。無論、マスコミもその視点で報道していた。しかし、本当にそうだったのだろうか。
当初、大半の関係者は「小沢出馬」を受けて、小沢陣営の勝利を予感していたはずだ。だが、現実には菅総理が勝利した。これには世論の追い風など、様々な勝因が考えられる。だが、なんといっても最大の要因は、「鉄の団結」を誇っていたはずの小沢陣営が、意外に“締まり”がない一方、前原、野田グループなど、まとまることが大の苦手だったはずの菅支持グループが、「意外」な結束力を見せたことだったのではないか。そして、その背景にあったのが、「菅対小沢」の戦いではなく、実は「反小沢対小沢」の戦いだったという事実である。
前原、野田グループや岡田克也幹事長らが菅総理を支持したのは、別に菅総理が大好きだから、あるいはその能力を高く評価したからというわけではない。ではなぜ支持したのか。「小沢復活だけは阻止したい」という一点で一致していたからだろう。彼らは「反小沢」という意識を共有していた。だからこそ、珍しく(?)まとまっていたと考えるべきではないか。
また、代表選の過程や終わったあとも、盛んに流されていたのが「小沢不敗神話」というやつ。「小沢は選挙で負けたことがない」「小沢は、戦えば必ず勝つ」といった類の「神話」である。だが、これはまさに「神話」に過ぎない。過去の小沢の戦いを検証してみれば、自民党幹事長時代の東京都知事選、新進党党首として指揮を執った九六年総選挙など、「敗北の歴史」はいくらでもある。何より、小沢にとって最大の「傷」は九二年、当時、自民党を実質支配していた経世会(竹下派)の「跡目相続争い」で、小渕恵三(元総理)に敗れたことだ。小沢陣営が、「神話」を大いに活用するのは当然だが、事実を検証もせずに、「神話」に頼る報道には、かなりの問題があると思うのだが……。
さて、今回の代表選挙を見るうえで、極めて重要であるにもかかわらず、ほとんど触れられなかったことが一つある。それは「すでに次世代戦争が始まっている」という視点である。
「どっちが勝っても、トロイカのうちの一人か二人が消える。勝ったほうも最後のトロイカだ。その意味では気楽だね」
代表選の最中、民主党の次のリーダー候補の一人にカウントされている人物が、こんなことを呟いていた。彼らにとって小沢、鳩山、菅という「トロイカ三人組」は“第一世代”であり、同時に頭の上に重くのしかかる「笠雲」のような存在だといってもいい。要するに早く退場してほしい人たちなのである。
その意味で、この代表選挙は彼らにとって、どちらが勝っても「一歩前進」だったのではないか。小沢が勝てば菅が消える、菅が勝てば小沢と鳩山が消える。勝ち残ったものも、これで終わり、というわけ。
今回、次世代リーダーと目される連中のうち、岡田克也(幹事長)、前原誠司(外相)、枝野幸男(幹事長代理)ら大半が、菅支持にまわった。これに対し、原口一博(前総務相)や、松本剛明(外務副大臣)などが小沢陣営に加わったわけだが、この色分けの背景にも、次世代のリーダーを目指す彼らの微妙な駆け引きが感じられる。「あいつが菅につくなら、俺は小沢に賭けてみよう」といった思惑がチラつくのである。今回の代表選の結果、菅支持派が有利なポジションを占めたことは間違いない。だが、もしも菅政権が失敗に終われば、形勢逆転で小沢支持派が一挙に息を吹き返すことも考えられる。
加えて、今回、国交相に昇格した馬淵澄夫や細野豪志(前幹事長代理)ら「次の次」の世代の戦いも、すでに水面下で始まっているようだ。
もっとも、彼らが“主役”の座を占めるためには、民主党が分裂せず、なおかつ政権の座にしばらく留まれることが前提だが。
(了)
いとうあつお=政治アナリスト
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20101012-00000302-chuokou-pol
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