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検察審査会は「秘密のベールに閉ざされている」と小沢一郎元民主党代表は言う(7日、記者会見)。
「あなただって知らないでしょ? 中身分かる? 知らないでしょ?」
闘将のド迫力に押される形で会見は終わったが、小沢を強制起訴に追い込んだ議決の理由自体は明快だ。どう明快かは後で見るとして、小沢の怒りと戸惑いは理解できる。
こんな制度は昨春まではなかった。検察審のメンバーは抽選で選ばれた市民である。組織自体は1948年以来、全国の裁判所に設置されているが、昨年5月施行の改正刑事訴訟法で権限が強化された。
法律のプロである検察庁が不起訴と決めても、アマチュアの検察審が2回「起訴相当」を出せば、強制的に起訴しなければならなくなった。
市民の健全な常識を取り込む司法の刷新か、「人民裁判」への転落・暴走か。小沢の強制起訴は近年の司法制度改革の意味と問題点を確かめる生きた教材といえるだろう。
検察審の強化は、裁判員制度の創設とともに、司法制度改革審議会の意見書(01年)から生まれた。関連法案を審議した04年国会に参考人として招かれた憲法学者の佐藤幸治(審議会会長)は、一連の改革の狙いをこう説明している。
「身近でわかりやすく、公正で力強く、利用しやすく速い司法を実現するために、司法が国民の中にしっかりした基盤を持ち、国民によって支えられることが必要であります」(04年4月6日、衆院法務委)
当時は小泉内閣。国会論戦の中心は自衛隊のイラク派遣だった。検察審をめぐる論戦の記録もわずかにあるが、国民の関心を呼ばないまま04年5月に改正刑訴法が成立した。
新制度は、兵庫県明石市の歩道橋事故やJR福知山線脱線事故の責任者の強制起訴(いずれも10年)で注目された。今回は矛先が小沢に向いたことで大騒ぎになった。
検察審は11人から成り、8人が「起訴すべきだ」と判断すれば、それが議決になる。審査員の任期は半年。メンバーの異なる検察審が立て続けに「起訴相当」と議決した。市民常識の反映か、小沢批判の世論に惑わされたアマチュアの暴走かという議論が起きている。
そこで、今回の議決の中身だ。政治資金規正法違反で小沢の元秘書3人が起訴され、小沢自身は不起訴になった。
問題の背景は、小沢の政治資金管理団体「陸山会」の土地取引だ。陸山会は04年、東京・世田谷に3億5200万円の土地を買った。そのカネの出所が不透明であるうえ、収支報告に明白な偽装があった。
購入資金について小沢は「政治資金」→「銀行融資」→「自分のタンス預金」と説明を変えた。検察審は「不合理で信用できない」と判断した。小沢と秘書の間には「強い上下関係があり、秘書が勝手に工作する必要も理由もない」のだから、小沢も起訴し、法廷で黒白を争えばいいという議決だ。
これは、とんでもない暴論だろうか。印象に基づく判断ではあるが、まず合理的推定というレベルではないか。
折しも、長く国民に信頼されてきた検察の威信が崩れた。刑事司法は、検事調書中心から公開の法廷での立証中心へ転換しつつある。そういう時代潮流の中で、小沢は法廷闘争に臨むことになる。(敬称略)(毎週月曜日掲載)
毎日新聞 2010年10月11日 東京朝刊
http://mainichi.jp/select/seiji/fuchisou/news/20101011ddm002070079000c.html
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