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民主党の小沢一郎元幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会は4日、「起訴すべきだ」とする議決を公表し、小沢氏は強制起訴されることになりました。刑事被告人という厳しい立場におかれることになったわけですが、小沢氏は7日、記者団に対して離党や議員辞職はせず、「政治活動は私が必要とされる限り続ける」と表明しました。
この小沢氏の姿勢については賛否が分かれると思いますが、小沢氏が今後、どう動くかは大きな関心事だと思いますので、今回は私なりの分析をしてみたいと思います。
まず、小沢氏が検察審の議決をどう受け止めているかです。小沢氏は7日、検察審について「11人の委員ということと、平均年齢30歳ということしか分からない。全く秘密のベールに閉ざされている。どういう議論がなされて結論がなされたのか、一般の国民の皆さんにも全く分からない」と述べました。
小沢氏は検察審査会という制度そのものへの見解を述べることは避けましたが、発言全体からは、小沢氏が今回の検察審の議決、さらに制度そのものについても疑問を持っていると読み取れます。
一方、小沢氏の弁護人は7日、「議決は重大な法的欠陥がある」として、議決の有効性を問う法的手続きを検討していることを明らかにしました。これについて、小沢氏周辺は(1)検察審は告発内容に対して審査を行うものなのに、議決には告発されていない内容が含まれている(2)議決の論旨からすれば「不起訴不当」であるにもかかわらず、検察審の存在意義を理由として「起訴すべきだ」と議決している−などの点が、「重大な法的欠陥」にあたると解説します。
どのような法的手続きをとるかはまだ検討中のようですが、検察審査会法には異議申し立ての制度がないことから、議決の無効を求める行政訴訟を念頭においているとみられます。
仮に行政訴訟を起こしたとしても無効の判決が出るかどうかはわかりませんが、小沢氏サイドとしては「検察審の議決に問題があることを指摘して、強制起訴は有罪を推定させるものではないことをアピールするとともに、検察審査会制度についても議論を巻き起こす」(小沢氏周辺)のがねらいのようです。
こうした検察審の議決に対する一連の小沢氏や小沢氏サイドの姿勢に対しては、批判もあると思います。しかし、検察審の議決に拘束力が与えられ、強制起訴の制度がつくられたのは、司法制度改革の一環として検察審査会法が平成21年5月に改正されてからのことで、まだ1年余りしかたっておらず、3件で5人が強制起訴されたにすぎません。
その意味で、私は改正された検察審査会の制度が本当に妥当なのかどうかは、強制起訴された事件の判決の行方なども見極めたうえで、改めて議論する必要があると考えます。
というのは、日本では起訴された刑事事件のほとんどに有罪判決が出てきたことから、社会的には「起訴イコール有罪」とみられる傾向があります。そのため、被告人は判決を待たずして、起訴の段階で個人の名誉や社会的地位などに大きなダメージを受けます。
刑事事件の起訴を検察だけに任せるのではなく、国民の意見も反映させるようにするという方向性自体には私も賛成です。ただ、改正された現在の検察審査会制度が本当に妥当なものになっているかどうかは分かりません。無作為に抽出された一般市民11人という構成や、審査の基準、強制起訴までの手続きなど、改めて議論してみる要素はあるのではないでしょうか。
話は変わって、小沢氏が今後、どのような政治活動をとっていくかです。小沢氏は7日、検察審の議決を受けて、離党や議員辞職について「そのような意思は持っていない」と否定し、「淡々と政治活動を続けていく」と述べました。
「淡々と」という言葉を使っていますが、小沢氏の本心は、9月の民主党代表選で述べた「政治生命をかけた自らの政治活動の総決算」ということに変わりはないと、私はみています。
小沢氏は平成5年、政治改革を掲げて自民党を離党して以来、度重なる政界再編を経て、昨年9月に政権交代を実現しました。しかし、まだ本来の政治目標は実現できていないと考えていると思います。
小沢氏は「政権獲得はあくまで手段で、それによって国家、国民のための政策をいかに実現するかこそが重要だ」と語ってきました。小沢氏周辺によると、「目指してきた政治目標を実現することに政治生命をかけて取り組む。それまでは政治家を辞めたくても辞めるわけにはいかないと考えている」ようです。
小沢氏の政治目標についてはこのコラムで何度も書いてきましたので、簡潔にとどめますが、(1)官僚政治から国民の手による政治主導の政治の実現(2)国民の生活を第1とした各種政策の実現(3)自立した国家として国際社会と協調する外交、安全保障の確立(4)地方主権の確立−などです。
民主党への政権交代で、これらが実現されているかといえば、まだ実現されていないのが現状です。いずれも大改革ですから、そう簡単に実現できるものではありません。小沢氏が民主党代表選に出馬したのは、「自分が先頭に立たなければ、これらの改革は実現できないと考えたから」のようです。その気持ちは、検察審の議決が出た今も変わっていないと思います。
ただ、強制起訴されることによって、小沢氏が今後、「自分が先頭に立つ」ことへのハードルはさらに高くなったのは間違いありません。各種報道機関の世論調査ではこれまでも、小沢氏の「政治とカネ」の問題に対する不信感は強く、これを払拭(ふっしょく)する努力はさらに求められることになるでしょう。
私は小沢氏の7日の発言から、裁判や国会などで説明責任を果たすことで苦境を乗り越え、今後も自らの政治活動の総決算ともいうべき「最終決戦」を続けていく決意だと感じました。ただ、それができるかどうかは、まさに小沢氏自身が今後の政治活動の前提条件としたように、国民が「政治家・小沢一郎を必要と考えるかどうか」にかかっているといえるでしょう。
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101011/stt1010111901001-n1.htm
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