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私を有罪に追い込んだ東京地検特捜部の「供述証拠」改竄 「復讐するは我にあり」/会計評論家 細野祐二
http://www.asyura2.com/10/senkyo97/msg/313.html
投稿者 赤かぶ 日時 2010 年 10 月 10 日 07:30:31: igsppGRN/E9PQ
 

 10月1日深夜、大坪弘道前大阪地検特捜部長と佐賀元明前大阪地検特捜副部長が逮捕され、特捜神話のパンドラの箱が開いた。蜂の巣をつついた様な大騒ぎである。

 だが、特捜検察に対する絶対的信頼が失墜するあまり、次々と特捜検事を血祭りに挙げるというのでは、中世の魔女狩りと変わらない。ここで少し頭を冷やして、事態の推移を振り返ってみる必要がある。

 もともと、前代未聞のことの発端は、本年9月10日の厚生労働省元局長の無罪判決にあった。この時は、冤罪を生む特捜検察の構造こそが問題とされていた。

 ここでの指摘は、特捜検察が事件のストーリーを書いてはそのストーリーに沿った供述を無理強いし、裁判所もその供述証拠を無批判に証拠採用しては有罪判決を書いているのではないかという、至極もっともな社会の疑問だった。ところが、大阪地検特捜部前田恒彦主任検事が逮捕された後のマスコミ報道は、フロッピーディスクの改竄疑惑一色となっている。

 今では、改竄の事実を上司のどこまでが知っていたかが問題とされ、「意図的に改竄したと報告した」とか、「そんな話は聞いてない」などといった不毛なやり取りが、連日のように新聞紙上を賑わしている。事件は一不良検察官の犯罪行為の共犯者捜査に矮小化され、いつの間にか特捜検察の冤罪構造などどこかに行ってしまった。

 しかし主任検事や特捜部長あるいは副部長といった検察官個人を何人逮捕してみたところで、組織的問題の構造的解決にはつながらない。

 厚生労働省元局長に無罪判決が出た翌11日、事件の主任弁護にあたった弘中淳一郎弁護士は、大阪弁護士会主催の市民集会に出席して、

「検察は密室の中で、利益誘導や威迫などあらゆる手段を使って調書にサインをさせている」

 と話し、取調べ可視化の必要性を訴えた。

 そして朝日新聞が朝刊一面でフロッピーディスクの改竄疑惑をスクープしたのが9月21日のことである。この間10日ある。

 ところが、1月27日の村木元局長の初公判で、弁護人は、(正しい日付の記載された)捜査報告書に基づく検察側主張と、(改竄後の)フロッピーディスクの日付の矛盾点を指摘して無罪主張を行っている。

 これだけの事件だから、当然、朝日新聞も初公判の取材を行っているはずだ。とすれば朝日新聞は少なくとも1月27日の段階で、フロッピーディスクの矛盾という決定的事実を知っていたのである。朝日どころかすべての司法記者クラブ加盟メディアはこのことを知っていた。村木元局長無実の決定的証拠を知りながら、誰もそのことを書かなかったのである。

 初公判でフロッピーディスクの矛盾を指摘された1月末、実は、大阪地検特捜部は上を下への大騒ぎとなっていたことが、現在では判明している。ということは、1月29日の段階で記事にさえなっていれば、歴史に恥ずべきこの冤罪裁判は初公判で終わっていた可能性が高い。メディアの消極的報道姿勢は積極的人権被害を伴うのである。

 さて、初公判で衝撃を受けた國井弘樹検事(村木元局長取調担当)は、その公判直後に、東京出張中の前田検事に電話で確認したところ、前田検事は「フロッピーディスクに時限爆弾を仕掛けた」などと言って、意図的な改竄を認めたという。

 そこで、翌1月30日、國井検事は公判担当の塚部貴子検事(41歳)とともに佐賀副部長の執務室を訪れ、前田検事の意図的な証拠改竄を報告した。その際、塚部貴子検事は、「村木さんは無実です。このことを公表してください。公表しないなら私は検事を辞めます」と涙ながらに訴えたという。

 ところが佐賀副部長は、「待て」と二人を制止し、その後、前田検事に「過失で行くぞ」などと言って隠蔽工作に入っていく。佐賀副部長は、この隠蔽工作が大坪特捜部長の指示で行われたと主張しており、大坪特捜部長はこれを否定しているが、いずれにしても大阪地検特捜部が証拠改竄の事実を組織的に闇に葬り去ろうとした事には変わりがない。

 結局、前田検事の証拠改竄は公表されることがなかったが、塚部貴子検事も、なぜかそのまま大阪地検にとどまり、検事を辞めることはなかった。その後も塚部貴子検事は、村木局長が無実であることを知りながら、しっかりと有罪論告を行っている。涙の抗議の話が出てきたのは前田検事の逮捕後のことだ。前田検事を逮捕してから、検察は「実は内部告発があった」などと言い出したのである。

 この内部告発をもって美談とする論調が多いが、私には、この人の涙がそんなにきれいなものとは思えない。このことはもう一人の國井検事も同じことで、両人とも、被告人が無実であることを知りながら有罪立証を行った点において、前田主任検事以下3名の逮捕者と同罪であろう。

 犯人隠避容疑で逮捕された大坪元特捜部長と佐賀元副部長は、容疑を全面的に否認して徹底抗戦の構えを見せているという。あたり前であろう。この二人は、大坪主任検事のフロッピーディスク改竄がイケナイことだとは、さらさら思っていないからである。

 現に佐賀副部長は、前田主任検事に対して、「フロッピーディスクにまで触らせて苦労をかけた」などと、労いの言葉をかけているではないか。この人たちにしてみれば、検察官がストーリーに沿った形で証拠を改竄するのは、労いに値することではあっても違法行為にはあたらないのである。

 この認識は、内部告発をしたという塚部検事と國井検事にしても同じことだ。両人は、大坪主任検事のフロッピーディスク改竄がイケナイことだとは思っていたであろうが、それでも、それが違法行為にあたるとまでは思わなかったのである。

 この人たちも司法試験に合格した法律家なのだから、同じことを特捜検察以外の人がやれば、それは証拠隠滅で重罪にあたると模範解答を答えることになる。一度特捜検察の内に入ると、なぜかくも異様な論理飛躍が起きてしまうのか?

 彼らにしてみれば、特捜検察という絶対正義の下ではすべてが許されるからである。そして、その絶対正義の下で、証拠改竄を日常茶飯事として行っているからだ。しかもすべての捜査機関の中で唯一つ、特捜検察だけは誰のチェックも受けることがない。何をしてもばれないことが制度上保証されているからである。

 絶対正義に生きる特捜検察の下では、絶対的に正しい特捜検察作成のストーリーに沿った証拠改竄は一貫して許されてきた。特捜検察における証拠隠滅罪とは、ストーリーに沿わない証拠改竄しかあり得ないのである。

 この絶対原則の下での運用については、検察官によって多少解釈の幅がある。前田主任検事、大坪元特捜部長、佐賀元副部長の三名は、ストーリーに沿っている限りフロッピーディスクという物証の改竄も許されると解釈している。塚部検事と國井検事は、いくらストーリーに沿っていても、物証の改竄だけは許されないと解釈している。しかし、塚部検事や國井検事も、ストーリーに沿った供述証拠の改竄はかまわないと考えているのではないか。それでなければ、なぜ彼らはFD改竄という決定的事実を知っていながら、有罪立証を行ったのか。

 現に、この事件の無罪判決後、ストーリー通り嘘の供述調書を取った特捜検事の一人は、マスコミに対して、

 「間違ったことをしたつもりはなく、いつも通りにやっただけだ」

 と答えているではないか。大阪地検特捜部では、ストーリーに沿った供述証拠の改竄は、間違ったことではなく、いつも通りやっているに過ぎないと自白している。

 よくよく考えてみれば、フロッピーディスクといった物証であろうが、密室で作成された供述調書であろうが、法廷において一旦それが証拠採用されてしまえば、どちらも有罪無罪を左右する証拠であることには変わりがない。

 司法関係者は、供述証拠はその任意性が厳しく検証されるので物証とは違うというが、特捜検察の供述調書は、任意性の検証が厳しくされることなどなく、常に無条件かつ絶対的な特信状況が認められてきた。特捜検察の供述調書だけは物証等価物なのである。

 こと、特捜検察に限っては、ストーリーに沿った供述証拠の改竄は物証の改竄と等価であり、供述証拠の改竄だからかまわないという理屈はおよそ成り立たない。

 元東京地検特捜部長なる人たちが最近盛んにマスコミに登場し、大阪地検特捜部廃止論の観測気球を打ち上げている。この人たちの主張によれば、大阪地検特捜部は、東京地検特捜部とは組織文化がまったく異なり、物証の改竄とその組織的隠蔽をやらかすのであるから、ここは一旦廃止して、東京地検特捜部の管理下で信頼回復につとめるべきだということになる。

 目糞鼻糞とはこのことを言う。東京地検特捜部では物証の改竄こそ見つかっていないものの、常軌を逸した供述証拠の改竄が日常的に行われているではないか。証拠を挙げる。

 私の有罪判決が確定したキャッツの粉飾決算事件において、検察官の行なった異常な証人テストの実態が控訴審公判で暴露されている。

 この事件の一審での二人の最重要関係者の証言は、実は、二人ともに、検察官に捏造されたストーリーを40〜50回の証人テストと称するリハーサルにより丸暗記させられた。弁護側の反対尋問についても模範解答が検察官により作成されて、それを丸暗記させられた。

 しかも弁護側からの反対尋問に対しては、「証人テストの回数を聞かれたら15回くらいと答えるように」とか、「検察官とお昼を一緒にしていたことは言わないように」といった嘘を証言するよう、検察官による偽証教唆まで行なわれた結果であることも判明した。控訴審においては40回という証人テストの回数が記載された手帳が証拠提出され、検察官はこの証拠に同意している。

 これらの事実は、最重要関係者らがこぞって供述調書を否定するという逆転証言の中で出てきたものである。彼らも当初から記憶に反するいいかげんなことを供述していたのではなく、ストーリーを決め付けている検察官の圧力の前に絶望して抵抗の気力を失い、一方実刑や逮捕、保釈と行った自らの打算ともあいまって検察官に迎合した旨を証言した。

 彼らが逆転証言に至るのは、彼らの供述調書に書かれた検察官ストーリーに対して、アリバイ、動機、共謀を否定する物証が次々と出てきて、検察ストーリーが完全に崩壊したからでもある。彼らとすれば、本当のことを話しても、もはや偽証罪に問われる危険性がなくなったからである。

 西のフロッピーディスク改竄を嗤うのであれば、東には40〜50回の証人テストがある。

 ことは、証拠改竄が物証か供述かの違いに過ぎず、これだけあくどい供述証拠の改竄を行っている以上、東京地検特捜部が大阪地検特捜部を批判することは出来ない。

 さて、キャッツ粉飾決算事件では、それでも取調べ段階での関係者の供述調書は全体として信用できるとして、その一部分を取り出して有罪判決となった。しかし、ここにおいて、村木元局長の無罪判決文では次の判断をしている。

「人間の供述というものが、認識、記憶、表現の3段階で誤りが混入する可能性があり、また、供述内容の具体性、迫真性というものは後で作り出すことも可能である以上、客観的な証拠による裏付けのない供述については、供述自体の信用性判断は慎重になされるべきであり、各々の供述に、いろいろな評価や見方を踏まえても、客観的証拠、あるいは証拠上、明らかに認められる事実に照らして不合理な点がある場合には、いかに供述内容に具体的、迫真性があるようにみえ、各々の供述が符合していても、その信用性は大きく低下するといわざるを得ない」

 この司法判断は今までの裁判所の慣例とはまったく異なる。今までは、たとえ供述証拠が客観的証拠と矛盾していても、供述証拠が具体的、迫真性をもってそれぞれに符合していれば、裁判所はやはり供述は全体として信用できるとし、客観的証拠と矛盾した部分を除いて信用性を認めていたのである。同様の理屈から、キャッツ事件の裁判では逆転証言の信用性も認められなかった。

 今回の司法判断では、供述証拠が具体的、迫真性をもってそれぞれに符合していても、客観的証拠、あるいは証拠上、明らかに認められる事実に照らして不合理な点がある場合にはその信用性は大きく低下するとしている。司法判断の歴史的大転換である。

 その大転換がなされた背景には、今回の大阪地検特捜部の証拠改竄がある。さて、証拠の改竄は、一前田主任検事の問題ではなく、大阪地検特捜部に限定される訳でもない。すべての特捜案件はことごとく証拠の改竄の可能性があり、その改竄証拠に基づき有罪判決が出されている以上、特捜事件はすべからく冤罪の可能性がある。

 私は、私の全知全霊をかけた特捜検察との刑事裁判を6年間闘い、力及ばず、本年5月31日に最高裁での上告棄却を受けた者である。刑の確定後、失意と失望の夏を過ごしたが、いつか秋風が吹き始めるや、突如として特捜検察の地獄の釜が開くのを見た。

 私があれだけ力を尽くしてもビクともしなかった特捜検察の闇が、怒涛の如き見えざる力によって、満天下の下に曝され始めているではないか。復讐するは我にあり。(注)

 想起すれば、特捜検察などという絶対権力をこの世に創り出したのは人のなせる業であり、その絶対権力に対する絶対的信頼は偶像崇拝に他ならない。今神の怒りは強く、その結末は人知の及ぶところではないであろう。

(注)愛するものよ、自ら復讐するな、ただ神の怒りに任せまつれ。録して「主いい給う。復讐するは我にあり、我これを報いん。」(ローマ人への手紙第12章第19節)

細野祐二(ほそのゆうじ)
昭和28年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、公認会計士登録。KPMG日本(現あずさ監査法人)およびロンドンにおいて会計監査並びにコンサルタント業務に従事した後に独立、有能な会計士として知られた。しかし、シロアリ駆除の上場企業「キャッツ」経営陣による株価操縦事件に絡み、東京地検特捜部に粉飾決算の容疑で逮捕。裁判では会計学者から粉飾ではないとの鑑定意見が出され、また他の容疑者のよる被告に有利な証言が相次いだにもかかわらず、敗訴。その不可解な捜査の内幕と裁判の過程を描いた『公認会計士vs特捜検察』は話題になった。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/1338  

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コメント
 
01. 2010年10月10日 08:15:07: 48fycdNZDw
黙っていては大阪地検の問題として矮小化されてしまう。現にマスゴミはその方向で動いているし、国策捜査されたとして有名になった佐藤優という胡散臭い男までがグルになって「特捜は拠悪のためには絶対必要」などとぬかし始めている。このままでは元の木阿弥になってしまうから国民運動を起こさなければならない。小沢一郎の問題も検察の問題として声を上げなければならない。

02. 2010年10月10日 20:21:16: GdJAMKBIOQ
>朝日新聞は少なくとも1月27日の段階で、フロッピーディスクの矛盾という決定的事実を知っていたのである。朝日どころかすべての司法記者クラブ加盟メディアはこのことを知っていた。

これはすごいね。マスコミは、ほとんど反社会的存在というわけだ。
村木裁判で無罪判決が出て、村木さん逮捕時に自らの調査報道の成果だと胸を張っていた朝日は、逆に窮地におちいることに。
だから、保身のために検察不祥事をスクープ?した。
しかし、大阪地検は徹底的に叩くが、東京地検は温存するというストーリーを、検察と合意した上で。。。


03. 2010年10月10日 22:20:32: mp6fw9MOwA
村木さん事件で筋書きを描いたのは誰かを明確にする必要がある。
経緯から前田主任検事が描いた筋書きではなさそうで。
(FDにまで触らせて苦労をかけたが証明している)
筋書きを描いた人が分かれば、改竄が故意か、ミスかの理論は不要となる。
最高検察庁からの筋書きによる調査の指示が出ていたとしたら、この事実が国民の知るところとなるのだろうか。
知る所となっても、最高検察庁は、筋書きを認めても、法と証拠に基づく捜査で実証するよう指示しただけで、証拠の改竄までしていいとは言わなかったと逃げるのだろうか。
筋書きを描いた人及びその部下は、証拠品の取り扱いに不審な点が有るとの指摘が有れば、改竄が有ったと推定出来る筈であり、意図的とは聞いていないとの逃げは成立しないと考えるべきである。
筋書きをだれが書いたかを調べるのが捜査の第一歩である。

04. 2010年10月11日 13:55:19: kbjD6Oqr1Y

03氏のご指摘に納得です。

05. 2010年10月11日 17:36:57: 5PlxumyLXz
赤かぶさん自分の意見をかきなさい。
毎回誰かの意見を引用するか、もしくはこの記事のようにまるまる転載など
もうやめなさい。
だからあなたが何を言いたいのかわからない。
ただ目立ちたいだけですか。
いただけない!

06. 2011年2月17日 03:52:11: TZcBg4A45A
フロッピーがどうのこうのじゃなく、机の中にン千万の札束が入っていて、『預かった』なんて言い訳して逃げようとしたのを皆さんはご存じないんですか?
挙句に『貰ったけど返そうと思ってた』なんて苦しい言い訳も・・・

まあ本人は無罪を主張してますが、ちょっと無理があるんじゃ???


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