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「高校生であることと市民であることは矛盾しない」 (仏年金カイカク反対の高校生運動指導者の言葉)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-2061.html
ジャンル : 政治・経済 スレッドテーマ : 教育問題
フランスのサルコジー保守政権による年金カイカクへの反対の波の中から、高校生の年金カイカク反対運動を指導するリーダーが生まれているようです。レクスプレス誌の記事を読みましょう。
●L'EXPRESS
"Être lycéen n'est pas incompatible avec le fait d'être citoyen"
http://www.lexpress.fr/actualite/societe/etre-lyceen-n-est-pas-incompatible-avec-le-fait-d-etre-citoyen_928858.html
Par Julien Van Caeyseele, publié le 19/10/2010 à 07:00
「高校生であることと市民であることは矛盾しない」
2010年10月19日
ジュリアン・ヴァン・カエセール記者
年金改革反対の高校生のデモが、高校生の組合、独立民主高校生連盟(Fidl)の代表であるマシラ・バラジを闘いの最前線に駆り立てた。彼の横顔。
マシラ・バラジはとても忙しい若者だ。年金改革に反対する高校生のデモ参加が始まって以来、独立民主高校生連盟(Fidl)の代表である彼は寝る時間がほとんどない。「僕はもう時間を数えてない。家族とも二週間くらい会ってないよ!」とセナールの新興市セナールのショッピングセンターで目を半分閉じてこの若者は語る。
彼の母親、マリー=ジョゼ・バラジによると、マシラは「頑固」で、自分の考えを守り通すことを決してためらわないのだそうだ。金曜日、デモの行列の中で、彼の年齢と高校生は年金改革反対のデモなんてできないとからかった二人の若い女性に対して、「あなたたちのためにも僕たちは闘っているんだよ。団結して未来のことを考えなければなりません。高校生であることと市民であることは矛盾しない。」と反論している。19歳という彼の年齢から、この若者はすでに気高い口調をしている。退職年金の問題を彼は「労働の人生の後での報酬」であるととらえ、彼はこの問題にはっきりした考えを持っている。「ゲットー高校の後、ゲットー住居、ゲットー引退生活をするなんてごめんだよ。」
デモ行進、インタビュー、ワーキングミーティングと、マシラは前線に立つ。「彼はいつも自分の仕事には厳格で、彼の年齢にしては厳格すぎるくらい。彼は自分の生活のことだってときどきは考えるべきなのに、自分の任務にとことん没頭してるわ。」こう証言するのは彼の親友で独立民主高校生連盟の仲間でもある女性、マチルドである。「そう考えると本当に私は怖い。彼が何の免状も学歴もなしになってほしくない。彼の社会闘争はいいけど、彼の職業生活も同じように大切だから。」そう母親は心配する。マシラは二週間も授業に出ていないので、遅れを取り戻すために家庭教師を頼もうかと思っている。」
この若者は(大学より格上のグランゼコールの一つである)政治科学学院(シアンスポ)にすすみたいと思っているが、自分の将来の職業についてはまだはっきりした考えを持っていない。「独立民主高校生連盟の活動をやってそれからどうなるか、考えるよ。」と彼は言う。政治家としてのキャリアを目指すまで?「社会を動かしたいけど、大衆人気を得たくはない。それはしばしば、何もしないことといっしょだから。」
彼のメディアでの登場が目立つようになったのは最近のことだが、この若者はすでに意思伝達の争いに疲れている。「やっと僕は本当にジャーナリストにも慣れた。ロベール・メナール(i-Téléのインタビューアー)だってもう怖くないよ。」笑みを浮かべて彼はこう言い放つ。最近このようにメディアにさらされたが、彼の周囲の人を信じるなら、彼は変わらなかった。彼は今も「寛容」で「気まぐれ」なままである。「何よりもまず、僕は高校生なんだよ。」彼はこう断言する。
彼の社会闘争の始まりは2008年にさかのぼる。当時、アレはクロミエの町の高校の最高学年の一年前だった。彼の仲間の一人であるワリドが追放の危機にさらされて、独立民主高校生連盟は彼がフランスでの生活を続けられるように闘った。「そのせいで、僕は社会のための闘いをしたいと思うようになった。」とマシラは語る。なぜ独立民主高校生連盟で?「なぜなら、ほかの高校生団体にはない、(男女、他人種)共同参画を提唱しているから。」こう若者は説明する。「独立民主高校生連盟は(反人種差別運動である)SOSラシスムと結びつきがとても強く、人種差別問題についてよく活動していて、誰にも依存していないし、どんな左派政党にも依存していない。社会党にもね。」
簡単な経歴
1991年9月28日、マシラ・バラジはモワシー・クラマイエルで生まれる。彼は五人家族の三番目の子どもだった。
2008年、彼は独立民主高校生連盟に活動家として参加。すぐに組織の階段を駆け上がる。全国本部のために広報と報道機関担当をつとめ、次いでスポークスマンとなり、次いで事務局長となる。
2010年6月5日、独立民主高校生連盟の代表に選出される。
(翻訳転載ここまで)
この記事の中で出てくる「SOSラシスム」は次の記事でも触れた、フランスでも古くからある反人種差別団体です。
■「国民としてのアイデンティティという名の人種差別」への抗議 (フランスで)
http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-1578.html
話を元に戻しますと、このような社会運動に身を投じる彼や高校生の様子を報じるインターネット報道には、「高校生は学校で勉強していろ」、「高校生に関係ないことに首を突っ込むな」みたいな、ネトウヨ(?)コメントもついていますが、高校生の行動を支持する声もまた多いです。
デモの規模は相変わらず大きく、上院での可決後もストを続けるべきだという意見も、「改革」を休止せよという意見も世論調査によると半数を超えています。
変な言い方ですが、ストの目的が共感や賛同を呼んでいるとき、フランス人はストやデモの『迷惑』を積極的に容認する、とでも言いましょうか。「迷惑」と言ったって期間限定なんだし、それ以上に重要なことのために行動しているのだし、それが意思表示の手段として確立しているのだし、これだけ多くの人たちがデモに参加するのですから、当然ですけど。
●AFPBB News
フランス全土で年金制度改革法案への抗議デモ、過去最大規模
http://www.afpbb.com/article/politics/2765926/6319755
2010年10月13日 09:38
●LADEPECHE.fr
Les plus grandes manifestations en France depuis 15 ans
http://www.ladepeche.fr/article/2010/10/19/930714-Les-plus-grandes-manifestations-depuis-15-ans.html
Publié le 19/10/2010 19:05 - Modifié le 19/10/2010 à 22:46 | © 2010 AFP
ラ・デペッシュ紙
『ここ15年のフランスで最大のデモの一つ』
(引用ここまで)
●LExpress.fr
59% des Français pour la poursuite de la contestation, selon BVA
http://www.lexpress.fr/actualites/2/59-des-francais-pour-la-poursuite-de-la-contestation-selon-bva_929332.html
Par Reuters, publié le 20/10/2010 à 07:05
ロイター/レクスプレス誌
『フランス人の59%が抗議の継続に賛成』
(引用ここまで)
●Nouvelobs.com
62% des Français souhaitent une pause dans les réformes
http://tempsreel.nouvelobs.com/actualite/politique/20101020.OBS1526/62-des-francais-souhaitent-une-pause-dans-les-reformes.html
20/10/10 07:54
ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール誌
『フランス人の62%が改革の休止を望む』
(引用ここまで)
●Rue89
■« Tout le monde a intérêt à entendre les lycéens »
http://www.rue89.com/2010/10/19/tout-le-monde-a-interet-a-entendre-les-lyceens-172096
Par Julien Martin | Rue89 | 19/10/2010 | 18H17
■Réforme des retraites : choisissez votre scénario
http://www.rue89.com/2010/10/18/reforme-des-retraites-choisissez-votre-scenario-171796
Par Rue89 | 18/10/2010 | 14H02
リュ・キャトルヴァンヌフ
『皆、高校生の言い分に耳を傾ける意味がある』
『年金改革:あなたのシナリオを選んでみましょう』
(引用ここまで)
●東京新聞 (TOKYO Web)
仏労組、空港への道路を封鎖 年金改革法案に反対
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010102101000142.html
2010年10月21日 08時56分
激しい渋滞が起きたパリのオルリ空港付近の道路=20日(ロイター=共同)
【パリ共同】フランス政府の年金制度改革法案に反対する主要労組は20日、抗議行動の一環としてパリのシャルル・ドゴール、オルリ両空港など各地の空港へ通じる道路を封鎖した。製油所のストによる燃料不足はさらに深刻化、給油所の約4分の1に当たる約3200カ所が営業停止に追い込まれた。
サルコジ大統領は同日、治安部隊に対し燃料備蓄基地を封鎖する労組員の強制排除を命令。燃料の流通確保に乗り出したがガソリン不足への懸念は広がる一方で、営業している給油所には数百メートルの車の列ができた。
空港への道路が封鎖されたのは、パリのほか南部トゥールーズ、西部ナント、中部クレルモンフェランなど。また、パリ郊外やリヨンなどではデモ参加者の一部が暴徒化し、警官隊と衝突。政府によると、この1週間での拘束者は約1400人、負傷した警官は62人となった。
改革法案は21日にも上院採決にかけられる見通し。
(転載ここまで)
●毎日jp(毎日新聞)
フランス:上院が年金改革法案採択、労組側はデモ継続へ
http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20101023k0000e030016000c.html
2010年10月23日
【パリ福原直樹】フランス上院は22日、同国で続くスト・デモの原因となってきたサルコジ政権の年金改革法案を、賛成多数で採択した。来週、上下院で署名され、発効する見込み。だが、これを不満とする労組側は、正式署名の阻止などを目指して11月上旬までデモなどを続ける方針で、交通機関のマヒや石油不足などの混乱は、まだ続きそうだ。
法案はサルコジ政権の支持母体「国民運動連合」などが支持、賛成177票、反対153票で採択した。
これに対し、デモなどを主導してきた労働組合側は、退職年齢を62歳に延長する法案を「労働者など弱者いじめだ」と主張。28日と11月6日にも大規模なデモを行う予定だ。11日間続く石油精製所(全国12カ所)のストも継続され、石油不足が一層深刻化しそうなほか、高校生もデモや学校閉鎖を続ける見込み。22日の調査では、国民の7割がストを依然、支持している。
法案は年金赤字解消のため▽年金支給開始年齢(退職年齢)の60歳から62歳への引き上げ▽年金保険料支払期間(現行40年)の約1年間延長などを規定。現在、先進国の平均退職年齢は65歳で、仏の新たな退職年齢よりはまだ高く、サルコジ政権は仏での改革の必要性を訴えていた。
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フランス:高校生が過激化 年金改革に反発
毎日新聞 2010年10月23日 10時51分
(転載ここまで)
このようにサルコジー改革は見直しを迫られています。今後の動きはまだ予断を許しませんし、何年かたってみたあとで、この年金改革がどうなっているかはまだわかりません。
しかし、おかしいことに対して臆せずにおかしいと声をあげて抗議することを年少のうちから学んでおかないと、肝心の時に政治の暴走に歯止めをかけられない国民が出来上がるのではないかと、この高校生、マシラ・バラジさんの活躍ぶりをみて思うのでした。最初にリンクしたレクスプレス誌の記事に出ている写真を見ると、目元に幼さが残っているように見えるのに、すごいなと。
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