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2010年10月05日22:45
予想外の小沢一郎氏の東京第5検察審査会2度目の「起訴相当」議決について
はじめに
(1)昨日(2010年10月4日)、授業をしていると、マナーモードにしていた携帯電話が振動した。
それも1回だけではない。何度も振動した。
どうも「ただ事ではないことが起った」のかと思ったものの、まさか小沢一郎氏の2度目の「起訴相当」議決がなされたとはその時点でも全く予想してはいなかった。
(2)しかし、授業終了後、こちらから電話をかけて、電話の用件を尋ねると、驚いた。
驚きの第一は、東京第5検察審査会の議決が出た時期が今月(10月)末ではなかったからだ。
驚きの第二は、議決の結論が、出ないと予想していた「起訴相当」だったことだ。
後で、議決(要旨)を読んで、さらに2度驚いた。
議決そのものは先月(9月)14日に出ていたからである(民主党代表選の日でもあった)。
審査員の11名中その半数は1ヶ月半程度で結論を出したことになる。
そして、議決の理由を読んで、1回目と同じように実質的には「状況証拠」だけで「起訴相当」を結論づけていたので、またまた驚いた。
(3)昨日、東京新聞、日経新聞、神戸新聞、時事通信の各記者の電話取材に答えた。
今朝の東京新聞、日経新聞、神戸新聞で私のコメントが紹介されただろう。
時事通信の配信記事を採用したところも、同様である。
実は、ほかにもう一つ電話取材があったが、私の結論を聞いてボツになった。
(4)その報道のお陰で、今日は、東京のFMラジオ局「J−WAVE」(午後8時〜10時)の電話取材を受け、その番組の約10分程度のコーナー(8時20分頃?から)で、私のインタビューが放送された。
これは、事前収録で、生出演ではなかった。
他に、あるテレビが夕方の番組への生出演の依頼があったが、「話がうまくないので生放送ではなく事前収録であればOK」と返事したので、私の電話出演はなかった。
(5)以下、報道の一部を紹介し、私の感想を簡単に書いておこう。
1.報道
東京新聞2010年10月5日 朝刊
国民の責任で起訴 検審の意義強調
自民党政権時代から政界の中枢にいた小沢一郎元民主党幹事長(68)が、刑事被告人として法廷に立つことになった。自身の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で四日、発表された検察審査会の起訴議決。小沢氏のこれまでの供述の信用性を強く否定し、「国民の責任において、法廷で黒白をつけて」と望んだ。司法に民意を反映させる制度改革が進む中、政治家に対する強制起訴は初めてで、小沢氏を支持する国会議員からは戸惑いの声が上がった。
「虚偽記入への関与を強く疑わせる」
東京第五検察審査会の議決要旨は、A4判六ページ。四月に出された一度目の議決要旨の二倍の分量で、陸山会による東京・世田谷区の土地購入資金四億円や元秘書三人の供述を詳細に検討、起訴の理由を説明した。
今回の議決は、四億円の出所について、小沢氏の説明が変遷していることをとらえて「不合理で到底信用できない」と指摘。「小沢氏が四億円の出所について明らかにしようとしないことは、収支報告書の不記載、虚偽記入の動機があったことを示している」と判断した。
土地購入後、陸山会が四億円の銀行融資を受けたことについても、「小沢氏は四億円を手持ち資金から出したと供述しながら、金利負担を伴う融資に応じたのは極めて不自然で、不合理」と疑問を呈した。
東京地検特捜部は、衆院議員石川知裕被告(37)ら元秘書らの「収支報告書の提出前に、小沢氏に報告、相談し、了承を得た」とする供述は具体性に欠け、小沢氏の虚偽記入への関与を明確に示す証拠としては不十分として、二度にわたり不起訴にした。
これに対し、検審の一度目の議決は元秘書三人の供述について、四行ほどの記載しかなかったが、今回の議決は、なぜ信用できる供述なのかをじっくり検討している。
石川被告の供述については「小沢氏を尊敬し、師と仰いでおり、小沢氏の関与を実際より強める方向で虚偽の供述をすることは考え難い」とし、再捜査でも同様の供述をしていることと併せ、信用できると判断した。
供述に具体性が乏しい点についても「取り調べを受けたのは、報告から五年ほど経過しており、やり取りや状況の記憶に特に残るものがなかったとしても、不自然ではなく、具体的で迫真性のある供述の方が作為性を感じ、違和感を覚える」とした。
議決は、陸山会が所有する多くの不動産について、登記上の名義人が小沢氏個人となっている問題にも踏み込んだ。
小沢氏が二〇〇七年、不動産が陸山会所有であることを示すため、作成年月日を偽装した確認書を公表したことを挙げ、虚偽記入への小沢氏の関与を疑わせる根拠の一つとした。
検察内には「検察と検察審査会では起訴の基準が違う」という声がある。だが、議決ではあえて、「検察官が説明した起訴基準に照らしても、不起訴の判断は首肯し難い」と言い切った。
さらに議決要旨は、検察審査会の制度の意義を「国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる」と強調し、締めくくっている。
2.感想
(1)私は、すでに何度かの投稿で指摘したように、小沢一郎氏が「政治とカネ」についてクリーンな政治家とは思っていない、むしろ、重大な問題を抱えている政治家である、と受けとめている。
だが、この度の件での「起訴相当」議決の理由には、第1回目の場合と同様、納得できない。むしろ問題であると考えている。
(2)まず、1回目の議決と同様、今回の「起訴相当」議決も「状況証拠」に基づくだけの結論になっている。
議決理由には直接証拠として小沢氏が会計責任者ら3名と具体的にどのようにやりとりしたのか、一切挙げられていない。
会計責任者らが「被疑者(小沢氏に)不利となる報告・相談等を認める供述をした」と書かれているが(括弧内は上脇による)、それは、厳密に言えば、「虚偽記載をするとの報告・相談等を認める供述」と同じではない。
実は、東京第5検察審査会は、小沢氏を有罪にする十分な証拠がないことを認めているようだ。
それが分かる一つは、以下のような記述内容である。
検察官は再捜査において、被疑者、A、B、Cを再度取調べているが、いずれも形式的な取調べの域を出ておらず、本件を解明するために、十分な再捜査が行われたとは言い難い。
結局、会計責任者ら3人が小沢氏を「尊敬し、師として仰いで」いるとして小沢氏が「当然に不記載・虚偽記載についても了承していた」と推認し「共謀」を認定しているにすぎないのである。
乱暴な結論である。
私は、証拠資料を読んでいないので断定はできないが、これでは強制起訴して有罪判決が出るのか疑問である。
(3)東京第5検察審査会は、小沢氏が「4億円の出所について明らかにしようとしてないこと」をもって「動機があった」と断言しているが、この前半は、政治的説明責任論としては理解できる。
しかし、それは、刑事責任とは別の次元の話である。
政治的説明責任論と刑事責任を混同しているようにも読めなくもない。
(4)以下も、東京第5検察審査会が小沢氏を有罪にする十分な証拠がないことを認めている箇所だろう。
検察官は、起訴するためには、的確な証拠により有罪判決を得られる高度の見込みがあること、すなわち、刑事裁判において合理的な疑いの余地がない証明ができるだけの証拠が必要になると説明しているが、検察官が説明した起訴基準に照らしても、本件において嫌疑不十分として不起訴処分とした検察官の判断は首肯し難い。
検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに、検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思つて起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によってほんとうに無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものである。そして、嫌疑不十分として検察官が起訴を躊躇した場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる。
これを読むと、東京第5検察審査会は、「的確な証拠により有罪を得られる高度の見込み」がなくても、「有罪の可能性がある」以上、「国民は裁判所によってほんとうに無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利」があると帰結していることになりそうだ。
しかし、そのように、改正検察審査会法における2度の「起訴相当」議決による強制起訴制度を理解することは、間違っているのではなかろうか。
そのように制度を理解する立場があることは知っているが、それは問題ではなかろうか。
私からすると、制度を誤解しているとしか言いようがない。
審査補助員の弁護士が補助しながら、何故そのような判断がなされたのか不可解でならない。
制度をそのように理解するから、審査員の半分が1ヵ月半程度でも「起訴相当」の議決が下せたのであろう。
今後、同じような制度理解で他の検察審査会も議決をするようであれば、簡単に「起訴相当」が出ることだろう。
(5)会計責任者ら3名が、実際には、明らかに「違法である不記載・虚偽記載をすることの了解を小沢氏から得た」と供述しているのであれば話は別であるが(その供述の任意性については、一応ここでは取り上げない)、単に「政治資金収支報告書の提出の了解を小沢氏から得た」と供述している程度であれば、有罪判決が出る可能性はきわめて低いのではなかろうか。
強制起訴がなされ、第一審で「無罪」判決が下されるようなことになれば、国会議員や国民の中から、改正検察審査会法の見直し論議が起り、「強制起訴制度そのものを止めるべきだ」とか、「選挙にも影響が出る政治家はこの制度の対象から除外すべきだ」という意見が出て、制度が後退するのではないか、と危惧される。
現に、その種の意見はすでに1回目の議決の時点で出ている。
東京第5検察審査会の審査員は、そのような危惧を抱かなかったのであろうか!?
もちろん、小沢氏が「状況証拠」だけで有罪になれば、制度は存続できても、その裁判は批判されるべき、ということになる。
(6)国民は、有罪判決が確定するまでは、冷静な判断をすべきである。
そして、企業・団体献金の全面禁止を含む本来行うべき政治資金規正法の抜本改正を、政党・政治家に求めるべきである。
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