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2010年10月05日(火)
検察審の欠陥をさらした小沢強制起訴議決
制度というものは、いかにその目的が正しくとも、使い方を間違えると、人を抹殺する凶器になることもある。
できの悪い学生のレポートのような東京第5検察審査会の文面により、小沢一郎氏にふりかかった「強制起訴」という災難は、根拠なく誰でもが法廷に引っ張り出される可能性があることを天下に知らしめた衝撃的、かつ危険な歴史的出来事である。
筆者はこの、稚拙かつ予断と偏見と非論理性に満ちた、およそ法治の精神とは縁遠い「起訴相当」議決の文面を、静かに読者の方々とともに吟味するにあたり、まず、肩書きや修飾語、ダブりなど、不要なものを取り除いた文章に直してみることにした。これにより、骨組みがしっかり分かるはずである。
そして、それに対しコメントを付け加えることで、まず、筆者なりの疑念を今回の議決に対して呈してみたい。
被疑事実については前回議決と同じである。念のため、ごく簡単にまとめておく。
「小沢氏が代表をつとめる陸山会は04年10月に代金3億4264万円を支払い、東京都世田谷区の土地2筆を取得したのに、04年分の陸山会の収支報告書に記載せず、05年分の陸山会の収支報告書に、本件土地代金分過大の4億1525万4243円を事務所費として支出した」
これについて当ブログでは、04年10月に3億4264万円で土地を購入したのは、陸山会ではなく、小沢氏個人であることが登記簿謄本などから確認でき、04年分の陸山会の報告書に記載すべきものではないことを再三、指摘してきた。
そもそも陸山会は権利なき団体であり、不動産を所有したり登記することはできない。そこで、登記上の所有者を小沢一郎個人としたまま、実質的な所有者を陸山会にするため、登記が完了した05年1月7日の日付で、陸山会と小沢一郎個人との間で、確認書を交わした。
その内容にしたがって、陸山会は同じ1月7日に、3億4264万円の土地代金に登記料、登記手数料等の諸費用を加算した4億1500万円を小沢一郎個人に支払って05年の収支報告書に記載した。
登記簿謄本や確認書などを素直に解釈すると、そうなるはずである。詳しくは10月1日の記事「検察審に知ってほしい小沢土地取引の真実」 を参照されたい。
さて、今回の「検察審査会の議決」についてである。
1 再捜査について
「検察官は小沢氏、大久保隆規、石川知裕、池田光智を再度取り調べたが、形式的な取り調べの域を出ておらず十分な再捜査とは言い難い」
形式的な取り調べとは何か。静かにじっくり相手の話に耳を傾けることであろうか。実質的な取り調べとは何か。脅したりすかしたりして心理的に追い詰め、筋立てどおりの供述を得ることであろうか。
2 石川被告供述の信用性
「石川被告の供述は、4億円の出所や土地取得資金の記載を翌年にずらした偽装工作の動機に不合理・不自然な点もみられるが、真の動機を明らかにできないことから、苦し紛れの説明をせざるを得なかったものだ」
どうして、偽装工作と決めつけられるのであろうか。まず「偽装」ありき、を出発点にした論理では、たどり着く先は決まっており、それこそ真相究明を阻むものとなる。
「石川被告は尊敬する小沢氏を罪に陥れる虚偽の供述をするとは考え難い。再捜査でも、検察官から小沢氏に不利となる報告・相談などを認める供述をした理由を聞かれ、合理的に説明し再捜査前の供述を維持していることなどから、石川被告の供述には信用性が認められる。」
「小沢氏に報告・相談し了解を得た場面での具体的なやりとりがなく、迫真性があるものとまで言えないとして、また、石川被告の説明に対する小沢氏の反応も受け身のものであるとして、石川被告の供述の信用性を消極的に評価することは適切ではない」
石川氏の供述が曖昧なものであったことがうかがえる文面だ。曖昧でも、捜査段階で、供述を翻していないから信用性があるという。短絡的であるといわざるを得ない。
大久保、石川、池田の三氏がすでに、公判で罪状を否認することを表明していることで分るとおり、検事のプレッシャーがない状況では、供述が覆る可能性が高い。
3 池田被告供述の信用性
「池田被告は『05年分の報告書を提出する前に、小沢氏に土地代金計上を報告し、了承を得た』と供述していたが、再捜査でこの供述を否定した。尊敬する小沢氏を罪に陥れる虚偽の供述をすることは考え難いから、変遷前の供述に信用性が認められる」
「前供述では、あいまいな記憶に基づいて話したが、冷静に記憶を呼び戻した結果、はっきりなかったと思い至った旨の説明をしているが、池田被告は逮捕前から、大久保被告への報告を否定しつつ、小沢氏への報告、了承を供述しており、記憶に従って供述していたことが認められることから、不合理な説明である。再捜査での取り調べでは、自らの供述が小沢氏の刑事処分に影響を及ぼしかねないことを恐れていることが明らかで、変遷後の供述は信用できない」
前の供述が信用できて、後の供述が信用できないという。その根拠としての上記に説得力があるだろうか。すべて、前の供述の信用性を主張するための屁理屈の類である。
4 小沢氏供述の信用性
「小沢氏が4億円の出所について明らかにしようとしないことは、小沢氏に収支報告書の不記載、虚偽記入に係る動機があったことを示している」
小沢氏は、土地の代金3億4264万円について、湯島の自宅を売り、現在の自宅を建てた際に残った2億円と、家族名義の口座からの3億6千万円の計5億6千万円の一部であると出所を明らかにしている。「出所について明らかにしようとしない」というのは事実誤認である。
「小沢氏は、土地購入の原資を偽装するために、銀行から陸山会の定期預金4億円を担保に小沢氏個人が4億円を借り入れるに際して、融資申込書や約束手形に署名・押印した・・・」
「小沢氏は、土地購入資金として4億円を自己の手持ち資金から出したと供述しており、そうであれば土地購入資金として銀行から4億円を借り入れる必要は全くなかったわけである・・・」
土地購入の原資を偽装したという検察の当初の筋書きを鵜呑みにした論理展開でありながら、「小沢不起訴」という検察の判断を否定するのは、大いなる矛盾である。
5 状況証拠
「小沢氏は、07年2月20日の記者会見にあたり、土地の登記が小沢氏個人の名義になっていることから、土地が小沢個人の財産ではなく、陸山会の財産である旨の確認書を05年1月7日付で作成させ、記者会見の場で自らこの偽装した確認書を示して説明を行っている。作成年月日の偽装は事後的なものであるが、収支報告書の不記載・虚偽記入についての小沢氏の関与を強くうかがわせる」
確認書が偽装であるという、きわめて情緒的な判断がなされているが、これも、もともと検察の主張に過ぎず、現に、検察は小沢氏を不起訴としている。
確かなことは、登記簿謄本に記された客観的事実、すなわち前述したことの繰り返しになるが以下の通りである。
そもそも陸山会は権利なき団体で、不動産を所有したり登記することはできない。そこで、登記上の所有者を小沢一郎個人としたまま、実質的な所有者を陸山会にするため、登記が完了した05年1月7日の日付で、陸山会と小沢一郎個人との間で、確認書を交わした。 その内容にしたがって、陸山会は同じ1月7日に、3億4264万円の土地代金に登記料、登記手数料等の諸費用を加算した4億1500万円を小沢一郎個人に支払って05年の収支報告書に記載した。
6 まとめ
「検察審査会の制度は、有罪の可能性があるのに検察官だけの判断で有罪になる高度の見込みがないと思って起訴しないのは不当であり、国民は裁判所によって本当に無罪なのかそれとも有罪なのかを判断してもらう権利があるという考えに基づくものだ。そして嫌疑不十分として検察官が起訴をちゅうちょした場合に、いわば国民の責任において、公正な刑事裁判の法廷で黒白をつけようとする制度であると考えられる」
これは、市民が悪いと思えば、とりあえず起訴してしまえ、という論理だ。市民では分らないから「裁判官さんよろしく」という、安易な丸投げの「新権力」がついに、牙をむき始めたということだ。
小沢氏の場合、二月の不起訴を受けて、東京と岩手の審査会に申し立てがあった。しかも、申し立てた市民団体は代表者名など素性を明らかにしていないばかりか、市民オンブズマンのようにHPを立ち上げて公開することもない。
まさに、市民感情という得体の知れないものを旗印に、気に入らぬ人間を潰してまわる、現代の魔女狩りがはじまっているのである。法治国家の危機というほかない。
しかし、いずれにせよ、どのような側面から見ても小沢氏の無罪は明らかである。検察審査会制度の欠陥という問題は残るが、とりあえずここは冷静に見守りたい。
新 恭 (ツイッターアカウント:aratakyo)
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