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「これは権力闘争ですから」というごますり議員に、小沢一郎は「そうだな」と涙を流したと言うが、本当はうれし涙ではないか。というのも東京第5検察審査会の起訴議決に民主党首脳は首相・菅直人以下腰が引けて、ただ一人真正面から批判した国会対策委員長代理・牧野聖修に至っては5日、辞任に追い込まれた。言論の自由まで封じるとは民主主義政党かと言いたくなる。異常事態であることに政権は気づいていない。おまけに見当外れの検察審査会批判まで横行している。
小沢擁護派が小沢を守る発言をするのは当然だ。国民感情との落差は、代表選挙での小沢支持票が200票に達したことからも十分立証されており、次の選挙での落選を覚悟したものであろう。問題は菅以下閣僚や執行部に、自浄能力を感じさせる発言がないことだ。とりわけひどいのは菅が口をつぐんでいることだ。先の代表選挙における9月2日の公開討論では小沢の国会招致を明言、紛れもない政権公約になっているしていることをとんと忘れている。一時は「幹事長辞任がけじめ」と述べてきた菅は、同討論会で「今回、改めて代表選に小沢さんが立候補したので、より国民の皆さんが納得できる形での説明はされなければならない。そういう国民の皆さんのいわば常識というものが国会においてもきちっと受け入れられなければならないだろうと思っています」と発言したのだ。新聞も政党も忘れているが、明らかに国会招致に応ずる姿勢を鮮明にしている。「有言実行内閣」を掲げる以上、国会招致の実行は避けられない。
外相・前原誠司に至っては、俗語を使えば「ずるい」対応だ。先に第1審査会が不起訴不当の議決をした際には「自ら政治倫理審査会に出て説明しても構わないことだ」と国会招致を公言していたにもかかわらず、今回は「本人が決めること」一転弱腰になった。しかしこうした首相や閣僚の公式発言は、いわば臨時国会で野党が言質として使えるものであり、国会審議では答弁によっては変節が問われるだろう。それに比べると牧野は6日朝もテレビで「小沢さんは愛党精神がない。あれば自ら身を引くだろう。それが小沢さんの限界だ」といささかもぶれていない。
加えてひどいのは検察審議会批判。レベルの低いコメンテーターが「無罪があり得るのにおかしい」と、とんちんかんな批判するのはともかくとして、民主党幹部からの批判は容認しがたいものがある。川内博史は「取調べの全面可視化を実現する議員連盟」で「あるマスコミ関係者が、『今回の審査会の議決は検察審査会の暴走だ』と言っていた」とマスコミの名を借りて審査会を批判した。
しかし審査会の議決内容を見ると、その基本認識は「政治家の場合疑わしきは司法の場へ」とする新たな論拠が見られる。とりわけ小沢が土地購入資金4億円があるにもかかわらず、銀行から借り入れた問題は誰が見ても隠ぺい工作ではないかと思いたくなる。検察が120%の確証がなければ起訴しないところを100%の確証で起訴するのは、高度の政治倫理を要求される政治家の場合許されて当然ではないか。とりわけ政治家が秘書に責任を転嫁することを現行政治資金規正法では、十分な対応ができない。秘書への監督責任を強化する方向で法改正の動きがあるが、法改正されるまでは検察審がその間隙を埋める対応をする役割を担ってもよい。検察審査会法が第1条で「公訴権の実行に関し民意を反映させてその適正を図る」としている趣旨に全く合致している。
野党は小沢の証人喚問要求に踏み切ったが、今の菅の立ち位置から見れば民主党はこれに応じまい。全会一致が原則だから実現は困難とみられる。しかし菅と外相がかって参考人招致などに前向きな姿勢を示していることに加え、小沢も代表選で「何のやましいことはないから国会で説明する」と公言しており、少なくとも参考人招致か政治倫理審査会への出席は実現しなければ国会全体の浄化能力が問われる。
【朝刊トップ3分勝負】
★朝日
日銀、ゼロ金利復活 量的緩和政策を導入へ
日本銀行は5日の金融政策決定会合で追加の金融緩和を決めた。政策金利の誘導目標を従来の「年0.1%前後」から「0〜0.1%」へ引き下げ、2006年7月以来4年3カ月ぶりに事実上の「ゼロ金利政策」に復帰した。さらに、新たに5兆円規模で株価や不動産価格に連動する投資信託などを買い取り、従来の資金供給と合わせて計35兆円規模の基金をつくる。政策金利の引き下げ余地がほぼなくなったため、今後はこの基金の増額などで金融緩和を進める「量的緩和政策」に踏み込む見通しだ。
★毎日
ゼロ金利復活:物価上昇1%程度まで継続
日銀が実質ゼロ金利政策を復活させる追加金融緩和策を決め、記者会見する白川方明総裁=日銀で2010年10月5日午後4時8分、佐々木順一撮影 日銀は5日の金融政策決定会合で、政策金利(無担保コール翌日物)の誘導目標を現行の「年0.1%前後」から「年0〜0.1%程度」に引き下げ、4年3カ月ぶりに実質ゼロ金利政策を復活させた。消費者物価指数の上昇率が前年比1%程度になるまで継続することも表明した。
★読売
日銀、実質的ゼロ金利…デフレ脱却まで継続
日本銀行は5日の金融政策決定会合で、実質的なゼロ金利政策を復活させた上、基金を新設して長期国債などの買い入れ額を増やす「包括緩和」に踏み切ることを決めた。
海外経済の減速懸念や円高進行などにより、日銀が考えていた回復シナリオよりも、現実の回復力は弱いことが明らかになってきたためだ。異例の措置をとることで、政府と協調しデフレ脱却を目指す姿勢を明確にした。
★産経
日中首脳会談尖閣は平行線 自画自賛の“茶番会談”
「私が帰ったら首相公邸で、今後のあり方について話をしよう」
日本時間の5日午前6時すぎ。菅直人首相はブリュッセルから日本に向かう政府専用機の中から前原誠司外相にわざわざ電話をかけた。一度は断念したアジア欧州会議(ASEM)で日中関係の改善に向けた糸口をつかみたかっただけに、日中首脳会談の実現にこぎつけたことがよほどうれしかったようだ。
★日経
日銀、4年ぶりゼロ金利 デフレ脱却へ量的緩和
日銀は5日開いた金融政策決定会合で、政策金利を現在の年0.1%から「0〜0.1%」に引き下げ、ゼロ金利を容認する追加金融緩和を決めた。ゼロ金利は2006年7月以来で、1%程度の物価上昇が見通せるまでゼロ金利を継続する。国債や社債など5兆円規模の資産の買い取りも決定。今後は金利だけでなく、資産の買い取り量などを政策の目安にし、デフレ脱却に向け市場に潤沢に資金を供給する量的緩和に踏み出す。
http://thenagatachou.blog.so-net.ne.jp/
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