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http://mainichi.jp/select/seiji/news/20101005ddm002010034000c.html
民主党の小沢一郎元代表が4日、検察審査会の2度目の議決で起訴が確実になったことで、同氏の影響力が低下するのは必至だ。89年に47歳で自民党幹事長に就任以来、20年以上政界のキーマンであり続けたが、田中角栄元首相、金丸信元副総理に続き刑事被告人になることで、政治生命を絶たれかねない危機に直面した。民主党内からは自発的な離党を求める声が出る一方、野党は小沢氏の国会への証人喚問などを求め攻勢を強める構えだ。
「小沢さんが首相になっていたら別だが、今は無役。民主党政権に徹底的な打撃を与えるまではいかないだろう」。連合幹部は強制起訴が政権運営に与える影響は限定的との見方を示した。
菅政権にとって気がかりなのは、来年の通常国会での予算案審議。小沢氏が党代表選で国会議員200人の支持を受けた力を背景に、野党と連携を強め政権に揺さぶりをかけないか懸念があった。また、権力から距離を置きつつ影響力を行使する「二重権力」への足がかりを小沢氏は残していたが、強制起訴で当面の動きは封じられたとの空気が政権内には広がった。
ただ、政権は表向きは慎重に対応した。小沢氏の自発的な離党への期待があり、小沢氏側を刺激したくないためだ。牧野聖修国対委員長代理は小沢氏への離党勧告と除名に言及したが、鉢呂吉雄国対委員長は「個人的な発言をするべきではなく軽率だ」と牧野氏を厳重注意した。閣僚の一人は「死者にむち打つようなことは言わない」と語り、小沢氏を追い込む離党勧告には慎重姿勢をみせた。
打撃を受けた小沢グループだが、側近議員の声は「離党や議員辞職の必要はない」が圧倒的だ。過去に政治資金規正法違反で起訴された国会議員は、ほとんどが離党や除名処分になっているが、原口一博前総務相は「公判でクロシロもはっきりしていないのに離党する理由は何か。シロであれば、離党を勧告した人は責任を取れるのか」とけん制した。
小沢氏側には、裁判で無罪になるとの見通しもある。松木謙公農水政務官は「表に出ることは難しくなると思うが、早く無罪を確定してほしい」と、早期の復権に期待をかけた。小沢氏は4日、周辺に「自分にとって最後の峠だ」と語った。
◇野党、攻勢 国会招致で一致
臨時国会での本格論戦を控え、野党共闘の構築に腐心してきた自民党にとって、「政治とカネ」問題の再浮上は好都合だ。焦点となる10年度補正予算案を巡り、政府・与党批判を強める自民党に対し、公明党は与党との連携に含みを残してきた。政治とカネ問題なら野党各党が足並みをそろえやすく、野党側は一斉に民主党批判を強めている。
公明党の山口那津男代表は4日、「民主党が事態を積極的に解決する姿勢はみられない。(小沢氏に)隠れていろとか、役職を解くとかでは解決にならない」と指摘。支持層が敏感な政治資金問題で、民主党との対決色を鮮明にした。野党各党は5日にも国対委員長会談を開き、小沢氏の国会招致で一致する見通しだ。
今後、民主党内で小沢氏の離党や除名処分の動きが出れば、次の展開を予想する声もある。自民党幹部は4日夜、「民主党から小沢グループが出ていけば、連立も見えてくる」ともらした。「小沢氏抜きの民主党」との連携論は、自民党の河野太郎前幹事長代理ら中堅・若手議員に根強い。
中堅・若手には「世代交代」への期待も広がる。当選14回の小沢氏が影響力を失うことで、野党側も世代交代を避けられないとの見方だ。自民党ではすでに石原伸晃幹事長が誕生するなど、若返りが進んでおり、中堅議員は「小沢氏が表に出なくなり、民主党の世代交代が進めば、自民党もより変わらなければならない」と語った。
【須藤孝、中田卓二】
毎日新聞 2010年10月5日 東京朝刊
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